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どんなに好きでも、別れなくちゃいけない時がある

何日かたっても、思うのは浩の事ばかり。

私、どうしたんだろう。


あの電話以来浩の事が頭から離れなくなってる。


もう、我慢できない、無理!!!


思い切って電話をかけた。


”もしもし”

出た!!!

少し低い浩の声。


”みすずです。”

”あ〜”と優しい声に変わる。それだけで、ドキドキしちゃう。

”用はないんだけど、かけてみた”

と言った私に、

”なんだ、そりゃ”と笑う浩。


でも、優しい声。

仕事中の声じゃない、心地いい声に私はやられた。

もっと声聞きたい。話したい。と思った。


仕事などの話しなどしてるうちに、浩が

”実はさ、仕事辞めようかと思って”と言った。


”えっ、なんで?”

一生懸命仕事している姿しか見た事がないから、その言葉にびっくりした。

”理由は、まあ色々あって”と言葉を濁す。

”そうなんだ”

”でも、みすずになら話してもいいかな”


聞きたい!!!


”でも、電話じゃちょっと話しづらいな”

とっさに私は、

”じゃあ、会って聞きたい。今すぐ!!!”

と言っていた。戸惑いを隠せず少し迷ってる浩。

その浩に

”だって、会わないと話せないんでしょ。なら、聞きたい。”

その言葉に決めたのか、

”わかった。どこで待ち合わせる?”


ほんとに会えるなんて思わなかった。会えるなんて思わなかったから軽くパニック。

急いで洋服選んで身支度整えて、待ち合わせ場所へ。

浩はもうできて、待っていた。


”お待たせ”と言って助手席に乗り込む。

ダメだ、心臓がバクバク言ってる。

まともに顔も見れない。

でも、悔しいから平常心を装う私。


しばらくを走らせ、浩は川沿いに止めた。


それから、少しして浩は話し始めた。

上司とうまくいってない事、今の仕事は自分に向いてないんじゃないかと悩んでいると。


”でも、そんなの向いてるか向いてないかなんてわからないじゃない。好きじゃなかったら、こんなハードな仕事続けてこれなかったんじゃないの?”

と、言った。

浩は、”そうだね”と言い、しばらく沈黙。。。


気まずい。生意気な事言ったかな。


そんな事を考えてたら、浩の手が私の手に重なった。


予想もしなかった出来事に身動き一つ取れない。

そして、引きよせられKissをされた。


あまりの急展開に私は目を閉じる事もできなかった。

でた言葉は、”えっ???えっ???”


そんなあたふたしている私を再び抱き寄せ

”好きだ”

と言った。


何か言わなくちゃっ焦り、”私も好き”と抱き着いたらなんと私の頭が浩のあごに頭突きしてしまった。


カッコ悪すぎ、私。


でも、浩も思っててくれたなんて思いもしなかったから嬉しくて涙がでそうだった。


こんな気持ちは初めてでどうしたらいいかわからない。


浩は黙って抱き寄せて頭を撫でてくれた。


浩が初めて付き合った人ではないけれど、やばい。

今まで好きだった人とは、好きのレベルが違う。

好きすぎて気持ちが溢れておかしくなりそう。


幸せ。。。


それから、何度かKissを重ねた。


夢みたいな時間。今まで感じた事のない、幸せな時間。

私、このまま死んでもいいかも。


結局明け方まで色々話して、まで送ってもらった。

全然、時間が足りない。もっと一緒にいたい、触れてもらいたい。


浩は、

”じゃあ、またね”と言ってで去っていった。


????

またね。っていつ会えるんだろう。

次はいつなんだ。どうやり取りすればいいの????????????


幸せな時間は終わり、不安な気持ちばかりが増えてくる。

いつ連絡くれるんだろう。

私から連絡していいのかな?

そんな事を考えてたら眠れずに朝を迎えた。


気持ちを切り替えて仕事行かなくちゃ。


不安なまま一日が終わった。


今までと変わった事。それは仕事中でも携帯を手放せなくなった。

いつ連絡くれるかわからない浩からの電話を、待つ為に。


22時。仕事が終わりに帰る途中、携帯が鳴った。

浩だ!!!

緊張しながら、電話にでる。


”もしもし”

”あ、俺だけど”

”うん”

”今、仕事終わったんだ。”

”私も今終わって、に帰る途中だよ”

”会える?昨日の所で待ってる”嬉しさとホッとした気持ちが入り交じって、複雑な気持ち。

昨日の事が嘘のようで、もう連絡ないんじゃないかと思ったから。


急いで自転車こいで、待ち合わせの場所へ。


はあったけど、浩は寝てる。

どうしよう。。。

迷ったけど、窓をコンコンと叩いたら起きた。


なんかひょうしぬけする。急いで来たのが馬鹿みたい。

浩は余裕。私だけ、あたふたしてるみたいで悔しい。


に乗り込み、ベイブリッジまでドライブ。

の中であんまり会話弾まなかった。

何しゃべっていいのかわからない。

浩は無口なタイプだし。


それに、私のどこを好きになってくれたのか。これから付き合っていけるのか不安だらけで泣きそうになった。


浩は”一度ベイブリッジ来てみたかったんだ”って言ってた。


何だか嬉しい。行きたかった所に連れてってくれたのが。


その後、遅い晩御飯を食べにファミレスへ。

浩は、ホットケーキ、私はサンドイッチ。

浩は、ホットケーキにありったけの蜜をかけた。


甘党なのかな。


仕事の話しとかしながら、食事は終わりもう1時。この後どうするんだろう。もっと一緒にいたいな。


そんな時、浩が

”うちに来る?”って言った。確かにそう聞こえた。

”うん、行きたい!!”


部屋に入れてもらえるなんて、彼女みたい。


ファミレスを出て、浩の部屋へ。

”汚いけど”って、ほんとに汚い。

洗濯かごに洗濯が山ずみ、食器はコップばかりがたまってるし、ゴミも溜まり気味。。。


浩らしいような気もする。

あまりの汚さに私が、

”今度、掃除しにきようか?”と言ったら、

”いいの、そりゃ助かる。じゃあ、鍵”

と合い鍵を渡された。


うわ、これは彼女っぽい。嬉しい。しばらく鍵を眺めてる私に浩はKissをした。


昨日と違う長くて深いKiss。


不安な気持ちが全部消えていく。私、思われてるのかな。

いいのかな。

そんな事聞く勇気ないけど、好きでいてくれてるのかな。


その日はそのまま浩ので朝を迎えた。


朝は、何事もなかったかのようにをでて仕事場へ。


彼女になれたような気がするけど、浩はどうしてあんなに変わらず冷静なんだろう。

それは、私がガキだから。浩が大人だから。

全然、わからない。


別れてから思うのは、に行っていいのかな。

連絡くるのかな。

それで、頭がいっぱい。

大丈夫だよね。と自分で自分を慰める。


疲れる。一人で色々考え、不安になってなんなんだろう。

これじゃ、片思いと変わらない。。。仕事をしながらでも、頭は浩の事でいっぱい。

頭がおかしくなりそう。


22時、本日もお仕事終わり。

やっと終わった。何だかとっても疲れた。


に帰り、自分から電話する勇気はなく携帯をにらめっこ。

電話しようか迷ってる時に、来た!!!

浩だ。


変わらず低い声で”もしもし、俺”

”うん。”

”会える?”

”うん。”

”じゃあ、待ち合わせはいつもの場所で”


よかった。連絡くれた。


待ち合わせの場所に行き、今日はそのまま浩のお家へ。途中、コンビニで遅い晩御飯を買った。

”晩御飯はいつも何食べてるの?外食?”

”うん、コンビニ”

”今度、私作ろうか?”

と勇気を出していってみた。


そんな私に浩は、

”メシ、作れるの?”と驚いてる。

”失礼ね、それなりに作れるわよ”


笑いながら

”じゃあ、今度ご飯作って”


嬉しい、次の約束ができた。

何作ろう。色々考えながら浩のへ到着。

二人でコンビニ弁当を食べた。


ふいに気になり浩に聞いてみた。

”ね、調味料とかってあるの?”

”あるよ、醤油と砂糖なら”


だよね、殺風景な台所に調味料など見当たらなかった。

フライパン一つとやかんがあるだけ。

炊飯器はあったけど、ホコリがかぶってる。。。


”今度、食材買ってくるね”

と言ったら、嬉しそうな照れた顔で、

”うん”と言った。ご飯を食べて、私はどうしたらいいのか身の置き場がなく落ち着かない。


浩が、

”俺、お風呂入ってくる”と言った。

”””あ、うん”

私、何してればいいんだろう。

なんか、落ち着かない。


浩が脱衣所から呼んだ。

”みすず”って。

名前で呼び捨てで呼ばれた。

きゃ〜嬉しい。彼女って感じ。


”は〜い”と返事して行くと、

”一緒に入ろう”とサラっと言われた。


”無理、無理無理無理!!

そんな裸なんて見せれないし、どうしたらいいかわからないもん。”

とまくし立てて言う私に、浩は、

”やだ?”と聞いた。

”いやとかじゃなくて、恥ずかしいし無理無理”

と言ったら、

”じゃあ、俺見ないし電気消そう。それなら、いいでしょう”


それならいいかと思う自分がいた。


真っ暗にしてもらい二人でお風呂へ。

湯舟に入り、後ろから抱きしめられた。


もう、死にそう。心臓バクバクして身動き一つできない。


結局、顔もみれずに話す事もできないまま、二人でお風呂をでた。


着替えなんて持ってきてないから、私は洋服。浩はTシャツに短パン。

なんか変な感じ。そして、

”そろそろ寝ようか”と言う浩にあわてふためく私。

一つしかないベットに、どう寝たらいいのか戸惑う私。

その時グイッと腕を掴まれ、引き寄せられた。


熱いKiss。長いKiss。もう、どうなってもいい。

浩に身を任せ、一つになる。

幸せすぎて、涙がでそうになった。


憧れの腕枕でせまい布団でくっついて寝る。

もう私は一人じゃない。


今までいつも一人だった。誰にも頼らず、自分で生きてきた。

人に甘える事も、頼る事も弱音をはく事もできないまま。


でも、これからは浩がいてくれる。一人じゃない。

生まれて初めてぐっすり寝れた気がした。


次の日から仕事が終わったら浩のに行くのが日課になった。


晩御飯作り、浩の洋服を洗濯するのが日課になった。

毎日が楽しかった。

ご飯も美味しいと何でも食べてくれた。

誰かの為に作るご飯作りはなんて楽しいんだろう。


ただ、調味料もな〜んにもなかったから調味料を揃えるのも一苦労だったけど。


私の誕生日の日がきた。浩は私の誕生日は知らない。自分から言うのもなんか変。

でも、知ってもらいたいし。

とあれこれ考える。

浩は仕事が忙しい。

お店の店長をやっているので、人が足りなければ自分がお店にでるしかない。

バイトの子が急に休んだりする事もあるので、ほぼお休みはない。


でも、今日は夕方から会えた。私も、夕方に仕事が終わり、早く会える事になった。


二人で仲良く晩御飯の買い出し。今日は浩のリクエストで”湯豆腐”♪


買い物の帰り、ふと目にとまったアクセサリー屋さん。

立ち止まってじっと見てる私に、浩が気付いた。

”どうした?”

”いや、何でもない”

”何か欲しいのあるの?”

”別にないよ”


”そういえば、みすずは誕生日いつ?”


ナイスタイミング自分でいうのは恥ずかしい

”実は今日なんだけど。。。”

”えっ、そうなの?じゃあ、何か欲しい物ある?”


あるよ、彼氏からプレゼントされて嬉しいのはやっぱり指輪でしょう。

でも、指輪って高いよね。

そんなの言いづらい。


黙ってた私を見て、浩がアクセサリーショップに連れていってくれた。

いいのかな。

何だか照れ臭い。


”何か気に入ったのある?”


あった、可愛いダイヤの指輪。可愛い。

でも、三万円もする。

高いよね、違うの探そうっと。


選んでいると店員さんが近寄ってきた。

”何かお探しですか?”

でも、何を選んだらいいのやら。


浩も選ばない私に、

”何か気に入るのない?”

あるんだけど。。。


聞いてみよう。

”指輪可愛いのあったんだけど、値段がね”

”どれ?いいじゃん。可愛いよ。気にいったならそれにしよう”


ほんとに?ほんとにほんとにいいの???


すごい、嬉しい。

大好きな彼氏から指輪をもらえるなんて。

最高の誕生日だ。


その日は、指輪を眺めながら寝た。


そんな幸せな毎日が続いた。ずっと一緒に入れると思ってた。

信じたかった。


クリスマスが近付いてきたある日。

浩から、電話がきた。

”実家の母親が倒れた。

九州に二、三日帰ってくる

帰る前に少し会いたい。”と。


あまりの急展開に頭がついていけない。

お母さんの容態は?

浩から実家の話しは聞いた事がなかった。


浩は、お父さん、お母さん、お姉さんの四人家族。

小さい頃は両親がよく喧嘩をして浩は泣いていたらしい。

両親から愛された記憶があまりない。

ご飯もあまり作ってもらった事もないと。


ただ、どんなんでも親には代わりないから心配だし、様子を見に行ってくると話していた。


私は、気をつけてね。と言う事しかできなかった。

何だろう、不安でいっぱい。

お母さんの事も、浩の事も。

今まで毎日会ってたから会えないのが辛い。寂しい。


でも、浩の方が辛いよね。

お母さんは、脳梗塞で倒れたっていってた。

あまり、いい状態じゃないみたいだし。

浩も頑張ってるんだから、私も頑張らなくっちゃ!

本日も仕事張り切って行こう!!!

あれから、三日たつけどなんの連絡もない。


お母さんの容態、よくないのかな。

不安がつのる。

電話もできない程なのかな。


五日たち、浩から電話がきた。

”会いたい。”と。


帰ってきたんだ。


五日会えなかっただけなのに、何ヶ月も会えなかったような気がする。

長い五日間だった。


浩に会い私は

”お帰りなさい”と言った。

浩は、

”ただいま”と。

お母さんの容態は意識は回復したけど、左半身に麻痺が残るだろうとお医者さんから言われたと。

病室入って、変わり果てた姿に泣けた。と言っていた。


今はお姉さんがついているけど、お姉さんも家庭があるからそうずっとは付き添えない。

そうなったら、自分が帰るしかない。と、浩は言った。


”九州に行くの?”

と聞いた私に、

”もし、そうなったらついてきてくれる?”と。

私は即答で、

”うん”と言った。

浩は照れ臭そうに微笑んでた。


ほんとだよ、私は何があっても浩についていくよ。


その晩、浩が

”少し甘えていい?”とだきついてきた。

私は浩の髪を撫でた。

こんな風に甘えてくるのは、初めて。

色々大変だったんだね。


それから、九州に行く前のような日々が続いた。


でも、ある日浩から別れ話しを切り出された。

”別れてほしい”と。


なんで、なんで。

急に。意味わからないよ。


混乱する私に浩は、話し始めた。


やっぱり、九州に自分が行くと。お母さんの容態は思っていた以上に、深刻だった。

命には別状なかったけど、後遺症として左半身麻痺、言語障害が残ってしまい誰かがついてないといけない状態だと。


お父さんは難聴の為、今までお母さんに頼りっぱなしだった。

お父さんにお母さんの介護は無理だと。

だから、自分が帰り両親を見ると。


”私も一緒に行く!!!”とすかさず言った。

浩は

”一緒に連れていく事はできない。みすずはまだ若い。

これからの人生、介護で終わらせる訳にはいかない”と。


私は”浩と一緒なら、やっていける。”と食い下がる。


でも、浩は聞き入れてくれなかった。

もう、決めた事だからと。


”私にはわからない。なんで、好きなのに別れなくちゃいけないの。

ずっと一緒にいよう。って言ったじゃない。

私の事、嫌いになったの?”

と聞いた私に浩は、一言

”そう、嫌いになったんだ”と言い放った。

涙が勝手に溢れてくる

”嘘だよね、嫌いになったって。

ほんとに??嫌いになったの、私の事?”

と詰め寄る私に、浩が突然私を抱きしめた。


”頼む。どんなに好きでも別れなくちゃいけない時もある。

俺以外の誰かと、幸せになってくれ”と吐き出すように言った。


私にはわからない。なんで好きなのに別れなくちゃいけないのか。


”私は、浩と幸せになりたい”と泣きじゃくりながら言った。


”俺では幸せにできない。一緒にいても不幸になるだけだ。

だから、これ以上一緒に入れない”と。朝方まで話し合った。

でも、浩の出した結論は変わらなかった。


”わかった。全然わからないけど、わかったフリする。

大好きだけど、別れる”

と私は言った。


納得なんてとてもできないけど、でも、別れなければいけない。

浩をこれ以上苦しめたくないと思った。


浩は、私を強く抱きしめ、”ごめんね、幸せになって”と言った。

その日は二人で抱き合いながら、朝を迎えた。

どんなに抱いてもらっても足りない。

どんなにKissしても足りない。

でも、朝がきたら、離れなくちゃ。

浩の手を離すなんて、できるのかな。

朝なんて、こなければいいのに。

なにもいらないから、お願いだから浩と一緒にいさせて下さい。

どんな辛い事でも堪えるから、お願いします。浩と一緒に私は生きていきたい。”ごめんね、幸せになって”と言った。

その日は二人で抱き合いながら、朝を迎えた。

どんなに抱いてもらっても足りない。

どんなにKissしても足りない。

でも、朝がきたら、離れなくちゃ。

浩の手を離すなんて、できるのかな。

朝なんて、こなければいいのに。

なにもいらないから、お願いだから浩と一緒にいさせて下さい。

どんな辛い事でも堪えるから、お願いします。浩と一緒に私は生きていきたい。


でも、それは叶わないんだね。

浩は言った。

”俺、こんなに愛されたの初めて”

”でも、別れを選ぶの?”

”うん。”


私には浩の決意を変える事ができなかった。



朝がきた。

浩は”じゃあね”といって抱きしめてくれた。そして、を後にした。


これで、終わり??

もう明日からは会えないの?声が聞けないの?


私は現実を受け入れられず、しばらく放心状態だった。


それでも、仕事がある。仕事で忙しくしてる時は、少し忘れていられる。

仕事が終わり帰り道、淋しさが襲ってきた。

もう携帯を気にする事も、晩御飯の献立を考える事もなくなった。

浩の声を聞く事もできなくなった。

私はこれからどう生きていけばいいの?


なんで別れなくちゃいけないのか、私にはわからない。

それは、浩と私の年の差のせい?

浩は大人。私との事はそんなに割り切れるものだったのかな。

好きなのに別れなくちゃいけないなんて、私には理解できない。でも、別れると決めた。

これ以上、浩を苦しめたくない。

どんなに淋しくても、頑張って生きていかなくちゃ!

浩が好きだといってくれた笑顔で。

大好きだよ、でも、さよならなんだね。

私、頑張るよ、浩がいなくても。

今は涙が止まらないけど、前を向いて歩いていくよ。


浩と別れて一ヶ月たった。

私は、まだ気持ちの切り替えはできていない。ご飯も喉を通らない。

夜も眠れない。


我慢できなくなって、浩に電話をした。

”もしもし”

浩だ、声を聞いただけで涙がでてくる。

”みすずだよ”

”あ〜、うん。元気??”

”元気じゃないけど、元気だよ”

”何だ、そりゃ”

と浩は笑った。


会いたい、会いたい、会いたいよ。


”浩、会いたい。会いたいよ”

浩は”うん。”と言った。 思い切って私は”会えないかな”と言った。

浩は、

”うん、今洗濯干してるからその後ならいいよ。いつもの所で待ち合わせでいい?”


”うん”と電話を切った。


嬉しい、浩にまた会える。


私は急いで支度をして、待ち合わせの場所にいった。

でも、浩は来ないかも知れない。そんな不安を抱えながら浩が来るのを待った。

しばらくして、浩が来た。

”久しぶり”と浩。

”うん。”


浩は前と変わらない。

”痩せた?”

”そう?”と心配させないようにはぐらかす。


ほんと言うと浩と別れてから、8㌔痩せた。

食べてるつもりだけど、眠れない日々が続いて気付いたら痩せていた。

今までどんなダイエットしても効果無かったのに、皮肉だ。


”ご飯、食べた?”

”まだだよ。”

”じゃあ、何か食べようか?”と二人で焼肉屋さんへ。


会話もあまり弾まない中、お肉を焼く音だけがなっている。


浩は、どう思ってるんだろう。どうしてたんだろう。

食事が終わり、浩は私のの前に車を止めたしばらく沈黙が続き、浩が”じゃあね”と言った。


私は必死に、

”また前みたいに会えない?私、浩じゃないとダメなんだよ”としがみついた。

困ってせつなそうな顔をする浩。

やっぱり困っちゃうんだ。と諦めて私は俯くしかなかった。

その時、浩が突然強く抱きしめKissをしてきた。

長いKiss。


もうどうなってもいいと思った。浩さえいてくれたら、なんでもできる気がした。

そのまま家にきて、一夜を共にした。

でも、浩は次の約束をしなかった。

それからは、私から連絡し一ヶ月に一度位会うようになった。

前みたいに戻れると思った。


次の日、会う約束をした。

ちょうどその日は私は仕事がお休み。

”じゃあ、エクレア作って待ってる”と浩に言い電話を切った。


約束ができた。明日が楽しみ。浩の好きな物を作ろう。

次の日、部屋の掃除、ご飯、エクレア作りと私は大忙し。


でも、待っても待っても浩からの連絡はない。

22時すぎに電話をかけたけど、繋がらない。

いつもなら、仕事が終わる時間。

今日は忙しいのかもと思い、23時に電話した。でも、今度も同じ。

しまいには、電源が入ってないとアナウンスが流れた。


今まで張り詰めてた糸がぷっつりと切れた気がした。

もうどうなってもいい。

浩には会えない。そう思いつめた私は、にある飲み薬を全て飲んだ。


この世にいても仕方ないと、消えたいと思った。


意識が朦朧とする中、友達が尋ねてきた。

私を見て友達が駆け寄ってきた。そこまでは、覚えてる。それからの記憶はない。

私は、二日生死をさ迷った。

でも、死ねなかった。

二日後、意識を取り戻した。


家族は心配して、ずっと付き添ってくれていた。

申し訳ないと思ったけど、死ねなかったのか。とがっかりした。


親友が心配して、お見舞いにきた。

そして、浩から頼まれた。と話しだした。


浩は、私といると別れられなくなる。

でも、それはお互いの為に、良くない。

でも、私を前にすると離れる事ができない。

だから、会う約束をし連絡を取れないようにしたら、私が裏切られたと思い、浩を嫌いになり、次の恋にいけると考えた。と。

みすずを頼むと、私の親友に託して浩は九州に旅立ったと。。。


そんな事って。。。

涙が溢れて止まらない。嫌いになんて、なれない。どうして一緒に九州に連れていってくれなかったのか。

全て一人で背負って行ってしまった。

私の幸せは浩といる事だったんだよ。

浩がいてくれたら、どんな事でも頑張れたのに。


すぐ浩の携帯に電話した。

でも、

”現在使われておりません”とアナウンスが流れた。

ほんとに一人でいっちゃったんだ。


浩の思いと私の思いは違ったんだね。

浩は一人でかっこつけて。

それは、浩が大人だからなのかな。

好きだったら、一緒にいればいいのに。


でも、どんなに泣いても、叫んでも浩はいない。

九州に行ってしまった浩には私は連絡のとりようがない。

ほんとにこの恋が終わったんだと思った。

それから、数カ月私は浩の事を思い出にできないまま日にちだけがすぎていった。


浩は言った。

私の笑顔が大好きだと。


もう一度笑えるように頑張らなくちゃと思った。

いつかまた、もし、浩に会えたらその時にがっかりされたくない。

こんな女に惚れたのかと思われたくない。


私は、仕事をやめた。夢に向かう為に。

私には夢があった、ケーキ職人になるという。

前に、浩に話したら、

”じゃあ、みすずがケーキ屋さんで働いたら食べに行くね”と言ってくれた。

その夢を実現しよう。

いつか浩に食べに来てもらえるように。


それからの私は、自分でも驚く程の行動力だった。

学校を調べ、受験し見事ケーキ専門学校に受かったのだ。

浩に一緒に喜んでもらいたかったかな。


でも、もう泣かない。泣いちゃうかもしれないけど、私は一人じゃない。

いつも、浩が側にいる。


言ってくれたよね、

”俺、こんなに愛されたの初めて。幸せだ。みすずを愛してる”と。

あの言葉は嘘じゃないよね。

”どんなに好きでも別れなくちゃいけない時がある”と言った浩。


私は子供だから、そんなのわからないけど浩も私の事好きでいてくれたんだよね。


だから、私頑張るよ!浩が愛してくれたから。

学校通って、ケーキ職人になる夢を叶えるよ。

そしたら、いつか食べに来てね。


まだ思い出にはできないけれど、私は、前を向いて歩いていくよ。


浩、愛してくれてありがとう。

大好きだよ。。。

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