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女神のお仕事  作者: 遠藤円
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日本を救え

読んで頂きありがとうございます

カクヨムコン用の作品です

コメント頂けると嬉しいです‼︎

「おはようございます」

 一人の少女が目の前に立っていました。

 見渡す限りの果てのない草原と椅子が2脚。

「おはようございます、ここは何処ですか?」

 私は自分が誰でここがどこかもわからない。

「ここは天界で、あなたはスクルド、運命を司る女神です」

「貴方にはこれから、女神のお仕事をして貰います」

「私は何をすれば良いんですか?」

「――を救って下さい」

 これが、私が気が付いてから、女神になるまでの話です。



「俺はまだ死ねない……死ぬ訳にはいかない。アイツらを見返すまでは――絶対に死ぬわけにはいけないんだ」

 意識が薄れていく。

「死にたくない、死にたくない、死にたくない」

 刺された腹部の痛みさえ感じなくなっていた。

「神様なんでもするので――まだ死にたくないです」


 

 心地よい音で気が着くと、そこには草原が広がっていた。

 草原に一台のピアノを弾く少女。

「気が付きましたか?」

「俺は死んだんですか?」

「はい、貴方は死にました」

 聞いた時は怒りが湧いてきたが、ここまであっさり言われると、逆に笑えてきた。

「大丈夫ですか?」

 俺はこの少女が何を言ってるか意味がわからなかった。

「何がですか?」

 「だって泣いてるから」

「え……」

 自分の涙が手に落ちてきて、ようやく泣いている事に気が付いた。悔しさや怒りなどの感情もあったが、俺は悲しかったんだ。一緒にやってきた仲間に裏切られて悲しかったんだ。

「俺の何がいけなかったんだ!」

 少女は諭す様な表情を向けてきた。

 「人は他人の才能に嫉妬してしまいます。」

「俺は……どうすれば良かったんでしょうか?」

「貴方にはどうする事もできません。遅かれ早かれ嫉妬した仲間に裏切られます」

「そうですか――」

「ですが……変えられることもあります」

 少女は下を向いている、俺の手を握りしめてきた。

 顔を上げると、少女の黄金に輝く瞳に吸い込まれそうになる。

「あなたは何故商人になったんですか?思い出して下さい」

「――俺は妹を救う為に」

 「そう、貴方は難病の妹さんを救う為に世界一の商人を目指していた筈です」

「俺は、妹を救えなかったのか」

「あなたは優しすぎるのです、みんなを救うことは出来ません、どうしても叶えたい事があるなら他の事は諦める必要もある筈です」

 「確かにそうですね」

 でも、死んだ後に気づいても遅すぎる。

「大事な事に気づいて頂けて良かったです、妹さんを救う為に貴方は何をくれますか?」

 「どうゆう事ですか?」

「妹さんを救う為、いえ、世界一の商人になる為だったら、あなたの何を私に代価として払いますか?」

 「俺の全てを!」

「その言葉忘れないでください、ドロシーさん」

「どうして俺の名前を?」

「秘密です」

 彼女の背中から純白の翼が羽ばたき、その幻想的な姿から察した。彼女は神なのだと。

「死んだらまたお会いしましょう」

 「え……」



 商人になって旅に出る前日にまで戻っていた。

 未来でこれから何が起きるのかが分かっているので、これから何が売れて何が売れなくなるかも知っているので富を築くのに時間は掛からなかった。

 余った時間で沢山勉強して、頭を使い誰が沢山富を持っていて、どうやったらそうなれるか考え、実行して行った。

 領主になり、町を貰い流通を発展させて商業都市して、今までのシステムを変えて人を増やして、最終的には国にまで発展していった。

 妹はもちろん病を完治して元気に暮らしている。

「陛下気を確かにして下さい」

 前回の時とは違い、家族や仲間が泣いてくれている。

 俺の夢も果たし、悔いは何も残っていない。

「みんな有難う、次の国王はお前だ我が息子よ」

「――はい」

 約束を果たす時が来たか。



 昔と同じようにピアノの旋律が聞こえる。

 目を覚ますと、夢に何度も見た、あの時の光景が広がっていた。

 見渡す限りの草原に、ピアノを弾く少女。

「お久しぶりです」

 「私からすると、それほど時は立っていないんですよ」

 確かに俺の記憶通りの姿だ。

 「前回お会いした時に名前を聞けなかったので、教えて頂けないでしょうか?」

「伝えそびれていましたね――私はスクルド運命を司る女神です」

 そうだと思っていたが……やはり女神様だったとは。

「それでスクルド様俺は何をすれば良いのですか?」

「はい、約束通り今度は私の願いを叶えて頂きたいと思います。」

 何をさせられるんだ、女神からのお願い……女神でも叶えられない願い。

 緊張で手から汗が止まらない。

「ドロシーさん貴方には、ある国を救ってもらいます」

「――ある国とは」

「日本という国です」

 俺は記憶の中から日本という国を思い出そうとしたが、全く記憶なかった。

「日本……初めて聞く名前の国です」

「違う世界なので知っている筈ないですよ」

「違う世界!?」

 俺の住んでいる世界以外にも世界があったとは、驚きが隠せなかった。

「はい、その世界には魔法が無く、その代わりに高度な文明が発達しています」

 理解しよとしても、理解できそうになかったので本題に入る事にした。

「日本を救うには何をすれば良いのですか?」

「ドロシーさんの才能を使って、ある少年を日本のトップにして頂きたいのです。」

「少年を王様にすれば良いのですね」

「日本では王様と言わないのですよ」

「では――何というのですか?」

 スクルド様は笑いながらこう言った。

「総理大臣」

 

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