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名前知らずになんか色々あったルート

塩バニラと塩キャラメル

作者: 朝霧

 本を読んでいたら玄関から物音が。

 どうやら帰ってきたらしい、別に読み続けていてもいいけど、嫌な予感しかしなかったので栞を挟んで本を閉じる。

 それをテーブルの上に置いた直後、奴が居間に入ってきた。

「おかえり。塩バニラと塩キャラメルどっちが」

 言ってる途中で抱きしめられた。

 無言だし力も強い、これは間違い無く重症だ、とても面倒臭い。

 手が自由なら頭でも撫でてやれば多少落ち着くが、両腕まとめて抱きしめられているので無理だった。

「おつかれ」

 なのでそれだけ言ってやった。


 しばらく放置していたら、多少は良くなったのか解放された。

「塩バニラと塩キャラメル、どっち食う?」

「……両方」

「わかった」

 予想通りの回答が返ってきたので、冷凍室のタッパーからアイスをよそった器を出した。

 自分もどっちも食べたかったのでダブルにした。

「お前、あいつらに何言った?」

「大したことは何も」

「お前のそれは信用ならない」

 不機嫌面でそう言われたので、仕方なく何があって何を話したのかをざっくりと話した。

 話終わった後、しばらく神妙な顔で黙りこまれてしまった。

「大したこと話したつもりないけど、なんか言ったらまずいことあった?」

「……別に、もういい。あの二人にお前の存在が知られたって時点でもう最悪一歩手前だから、今更お前があいつらに何言ってようが、誤差の範囲内だから」

「最悪って言われても……」

「……本当、最悪。あいつら経由でそのうち親にもバレそうなのが本当に嫌だ。卒業までは待とうと思ってたけど、もう準備始めるか」

「なんの準備を?」

「絶縁する準備」

「誰と?」

「親と」

「そこまでするか?」

 自分が好きで付き合ってる女と弟妹がうっかり遭遇しただけでなんで話がそんなところに行くんだ。

 意味不明すぎる。

「そこまでした方がまだ安全だし、元々そのつもりだったからそれが早くなるだけ……というかもう、本当に嫌気がさしたからさっさと縁切りたい……もう無理」

「そうか。……弟くん達はどうするんだ?」

 聞かない方がよかったんだろうが、気になったので聞いてみる。

「どうともしない」

「……そうか」

「幻滅した?」

「別に」

「……本当に?」

「どうともしないってか本当はどうにもできないんだろう? 話聞いてるだけで結構な毒親なのはわかってるし……それならまず余計なことは考えずにお前だけでも逃げ切ってくれっていう思いの方が強い。それに私は当事者じゃないからなんもいえない立場だよ」

 とはいえ、どうともしないと言いつつ手を回しそうな気がする、なんだかんだ言って過保護気質だし、自分で言ってるほどそこまで非情になりきれてない節がある。

 今日だってうまいこと騙くらかして追い返すのだろうと思ってたけど、なんだかんだちゃんと話は聞いてきたらしいし。

「私から言えるのは無責任な『頑張れ』だけだ。……だから頼りにはするなよ? わかっちゃいると思うが、私にそういうのどうにかする力はないからな」

「わかってるよ、最初からそれに期待はしていない」

「とはいえ、一応カノジョだからな。なんかあったら言ってくれ。できる範囲のことはするよ」

「じゃあ、一緒にいて。いつも通りでいい、というかいつも通りでいて」

「他は?」

「何も」

「……わかった」

 とか話していたらいつの間にか空になっていた器を差し出してくる。

 腹壊すからもうやめとけ、と言ったら思いっきり舌打ちされた。

 頭いいくせに何でこういう時はガキっぽいんだろうか、こいつは。

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