第4話 カフェラテと天女の舞
詮索を続けたい気持ちもあるが 今は元気を取り戻してもらうべくコーヒーを淹れることに専念した。
三角すいの 先から琥珀色の液体が一滴一滴と カップの中へ落ちていく。
よし できたぞ。
リザリアは コーヒーを手に取ると「グッスン・・ いい香り、コーヒーに出会えたのは運命の導きかしら?」と鼻をすすり一口のコーヒーを飲んだ。
その反応は・・
「に。にがうぃ・・」
にがいと言って 可愛い舌をペロリと出した。
さすが アイドル・・なんでも可愛い・・。
自分がいつもブラックを飲むので ついうっかりしていた。
「ちょっと 待っててくれ。実はこのキャンピングカーcabin02には 砂糖とミルクが搭載されているんだ。というかまだストックがあったはずだ」
以前 買い置きしていた天然の黒糖とミルクを角砂糖状に固めたものがあったはず
キャンピングカーから持ってきて早速 カップに入れてあげる。
コーヒーは軽く発砲を始めてカラメル色のカフェラテのようになった。
さて 今度はどうだろう??ゴックンと飲み込むと
リザリアの動きが止まった・・・うつむいて考え事をしているのか?息をしていないように見えなくもないが
少しかがんでリザリアの顔を見ると 様子が変だ。口が高速でパクパク動いている。
何か言ってるのか?
よく聞き耳を立ててみた。
味がよくて・・なのに香りあって・・ウソでしょ・・コクが・・天界の・・ミルクがすごく・・運命?・・いいえ・・これがコーヒー・・でもでも・・紅茶とどっちなのよ・・私・・紅茶よね?はっきりして私・・コーヒーなのね私・・。
リザリアの心の声が滝のごとく漏れだしているようだった。
すっくと顔を上げると青いガラスのような瞳をランランと輝かせて
「コーヒーをみんなにも教えてあげましょうよ!ふふふ」と笑う。
クルリとスカートをなびかせて一回転を見せるとカップを置いて
「ショウスケの事見直したわ。あなたと少しだけ旅をしてみるのも面白いと思ったの」
自信ありげにツインテールをかき上げると「せっかくだから 私の踊りを見せてあげる」と踊り始める。
楽しげな踊りだった。
「その羽衣の糸って 元に戻せないのか?」
「そうね 村で織物屋があれば直せるかもしれないわ」
「そうだ 村を目指そう」
リザリアも元気を取り戻してくれてよかったしやっぱり アイドルはそうじゃなくっちゃな。
「なあ 写真を撮らせてくれよ」
「写真?」
タブレットを構えると リザリアはポーズをとってくれた。
パシャ
「もう 描けちゃったの? 魔法かしら?」
「リザリアって ファイアスティックな子だな。確かに魔法みたいなもんだ。ははは」
可愛い写真が撮れたと思ったけど・・「親戚の子が持ってる フィギアみたいだ・・」
本当の美しさというものは 記録できないのかもしれない・・なーんて。
「さあ お待ちかねの cabin02の室内を案内するぞ」
俺はこの先にレトロな馬車がいると言うことを伝えるとリザリアをcabin02の室内へ案内することにした。