第24話 バルト VS ショウスケ
「私は裏切ったりなんてしないわ!ショウスケの話をすれば女神様はわかってくれるはずよ」
俺はリザリアの手を握った。
ギュ
「俺はショウスケ。あんたは天女だろ?俺を狙って来たんじゃないのか?なぜ 子供を追いかける?」
「私の名前は シアノバ。そしてこのゴーレムを操縦しているのが暗黒魔導士のバルトよ。私のダーリンなの」
シアノバはバルトのクビに抱き着くと天女の羽衣が実体化した。カップルのマフラーのように首に巻かれている。
「ショウスケよ。お前のことは調べさせてもらったぞ。キサマはオレたちが幸せになるための選択肢の一つだ。キサマには消えてもらうぞ」
バルトのゴーレムは 4本足に2本の腕のある形に変形をするとショウスケに襲い掛かろうと前に出てきた。
「リザリア、下がっていてくれ」
「ショウスケ、天女の羽衣には秘密があるの。ごまかしてどうにかできる相手じゃないわよ」
ラスペルが叫ぶ
「そいつの装甲は岩のくせして鉄より硬い。無理です。逃げてください」
天女の羽衣はリザリアが俺の指に一本の糸を結んだだけでこの世界の言語を覚えられるくらいの力があったんだ。
おそらく完全な天女の羽衣なら、そんなものじゃないだろう。
でも この状況で負ける気がしない。
ゴゴゴゴ!
バルトのゴーレムはショウスケに殴り掛かる。
「潰れてしまえ!」
両腕をブンブンと振り回し 腕がショウスケを潰そうとする、だがショウスケは交わす。
4本足の前足が 不意を突いて襲い掛かるがそれも軽々と交わしてしまう。
「ドローンの操縦みたいだ」
「なんだと。ミリーとの闘いの時はキサマはそれほど強くなかったはずだ」
「のぞいていたのか?ライラさんをそそのかした天女なら見てても不思議じゃないか。教えてやるよ。バルト お前の後ろを見てみろ。俺のもう一つの目だ」
バルトは後ろを振り返るとそこには ウネウネとしたツルがあり先端には目玉の花が咲いていた。
「キャ」
「こんなもの!!」
バルトは 目玉のツルをなぎ払う
ガネーシャが叫んだ。
「リザリアよ ショウスケにナイフを渡すのじゃ」
ナイフはショウスケの元へ投げられた
「今じゃ!ショウスケよ そのナイフで天女の羽衣を斬り落とすのじゃ!!」
ショウスケは サヤからナイフを抜いた。
煌めく炎が舞う
ウネウネを利用して 一撃に備えて飛び上がるが
「勝ったと思ったか?では これはどうする?」
ゴーレムの下半身と上半身が切り離されて下半身が突進してきた。
ゴガァァァン!!
ウネウネのツタが一斉に飛びだしゴーレムを絡めとろうとするが
トカゲのしっぽのように暴れたゴーレムの下半身はショウスケに迫る。
だが 空中で動けないショウスケのすんでのところまで迫った下半身はウネウネによって止められた。
「ほう これも止めたか。どうやらお前のテリトリーで戦っていたようだな」
ショウスケは歩み寄る
「さて 羽衣を斬り落とさせてもらおうか」
シアノバが 実体化していた羽衣を両手で手繰り寄せると体を震わせて「お願い・・」と言う。
ショウスケはためらったが その瞬間シアノバの表情は変わった。
天女の顔から人を見下した悪魔の顔に変わると 羽衣を一羽のハトの姿に変える
「見て リザリア。このハトはどこに飛んでいくと思う?この戦いの映像を乗せて天界に飛んでいくの!さあ お行きなさい!!」
ハトは 羽ばたいた。
バサバサバサ
ショウスケは ウネウネを伸ばすがウネウネは一定時間が過ぎたようでハトを捕まえるより前に木の姿に戻ってしまった。
「上出来だ!シアノバ オレたちは引くことにしよう」
バルトのゴーレムは上半身が変形して逃げ去っていった。
そして ハトは太陽に向かって真っすぐと進んでいくのだった。
ラスペルが走り寄って来て俺に右手を掴んで飛び跳ねる。
「ショウスケさん すごいですよ やったー! 常識を超えちゃってますよ! やったー!」




