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酒と父
もし今、父が死んだら俺はちゃんと悲しめるだろうか?
泣いてあげることができるだろうか?
こんな風に思ってしまうのは、俺が冷たい人間だからなのだろうか?
「地獄を見たければアルコール依存症者のいる家庭を見よ」という言葉がある。
アルコール依存症。
父の病名だ。
今、俺は現在進行形でアルコール依存症の父に悩みを抱える日々を過ごしている。
だから、この小説がどんな風に完結するのか、どんな結末が待っているのか自分でもまだ分からない。
ただ、思い立って小説を書いてみようと思った。
アルコール依存症という、この恐ろしい病気が、どこかの誰かにほんの少しだけでも理解してもらえることができたなら、この戦いや苦しみも何か意味があるものになるかもしれない。
「もう一杯だけ。」
誰でも、お酒を飲んだことがある人なら、1度は呟いたことがある言葉なのではないだろうか。
本当に一杯だけ?
もしかしたらあなたも今、アルコール依存症の扉を開けようとしているのかもしれない。