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罪人アクアリウム  作者: 空波宥氷
8/16

嵐のモカ

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・九重優衣(ココノエ ユイ

友香のクラスメイトであり、親友。

活発な金髪サイドテールの少女。

一度身体を使ったことなら忘れない才能がある。

機械仕掛けの身体を持つ。



・生天目 響(ナマタメ ヒビキ

友香、優衣のクラスメイトで、親友。

黒髪ロングをハーフアップにした少女。

天才ハッカー。バニラアイスが好物。



・羽川モカ(ハネカワ モカ

友香たちの友人。

関係省庁に技術提供を行っている。

理科学研究同好会の部長。

工学科の才女。

8 嵐のモカ


 友香、優衣、響。

 3人は、職員室に勢ぞろいしていた。

 清花には、職員室の前で待機してもらっている。


 友香は笑みを浮かべ、優衣と響はそれぞれ苦笑していた。

 そんな彼女たちを、引きつった顔で見つめる担任教師の宮内時雨くないしぐれ

 黙って友香と時雨が見つめ合っていると、職員室の扉が勢いよく開いた。



「おっ待たせー!モカたん登場〜」

「げっ!羽川モカ……!」

「あ、時雨先生こんにちは。薬子くすこちゃんおっすおっす〜」

「おっす〜」



 羽川モカだった。

 相変わらず、癖っ毛黒髪ショートヘアと黒縁メガネが似合っていた。



「急に呼び出して悪かったわね」

「うんにゃ、無問題モーマンタイ〜」



 まさに類は友を呼ぶ。

 この天才バカトリオの交友関係には、羽川モカがいたのだ。時雨は頭を抱えた。

 バカトリオと言っても、





優衣←実行犯

友香←首謀者

響  ←巻きこまれ事故





 大体、友香のせいなのだが。

 時雨とは対照的に、その問題少女が笑みを浮かべる。

 これで役者は揃った。



「で……?お前ら何してたんだ?」



 時雨が本題へと入った。

 業を煮やしたのだろう。



「学園長から依頼を受けて、ちょっと調べごとをしていたの」

「調べごと?学園長から?」



 時雨が眉をひそめた。



「ちょっとこのモニター借りるわね」

「ちょ、おい!」

「響、カメラのデータを流して」

「わ、わかった!」



 勝手に椅子を回し、響を座らせる友香。

 教師の制止も、この少女たちの前では無意味だった。

 響がモニターを操作しだす。



「なぁ、友香、このカメラどうする?」

「え、えーと……宮内先生に渡しておいて」


 

 優衣から指示を仰がれた友香が、困惑しつつ適当に返した。

 優衣がカメラを献上する。



「先生……どうぞ……」

「いや、渡されても困るんだが……」



 そう言いつつも受け取る時雨。

 なんというか生徒に甘いのである。



「……それ!それとそれ、保存しておいて。あとそれも」



 その横で、友香が響に指示を出し始めた。

 友香が確認し、響が映像を選別する。そのやり取りを数回繰り返した後、振り返りモカに指示を出した。



「じゃあ、モカ、さっき選別した映像を分析してもらえるかしら?例の機械で」

「にゃるほど。そのために私を呼んだのね」



 友香がニヤリと笑う。

 同じく、友人の意図を察したモカもニヤリとした。



「おけーい!科警研の要請を受けて作った、私の猫の子こと、『ドキッ☆こんなところにアノ人の面影が!?ポロリもあるよ!!』が火を噴くぜぇ!!」



 響と交代して椅子に座るモカ。



「相変わらずのネーミングセンスだねぇ」

「長い長い。ってか猫の子って……虎の子の間違いだろ」



 その横で薬子が感嘆し、時雨がため息をはく。



「いや、別に、これ、そこまですごいものでもないから……」

「ああ……そう……」



 心底申し訳なさそうにするモカに、時雨はなぜか無性に腹が立ったようで、顔が引きつっていた。

 それを余所に、



「解析お願いできるかしら?学園の生徒全員分の身長、体型、歩様のデータを貰ってきたからそれと照合して。響、お願い」

「ええ。はいモカ、これがそのデータね」

「おっけー!任せろ!!」



 モカがカタカタと機械を操作しだす。



「ふむふむ、これは〜ほうほう……ほぉ……」



 しばらくして照合が完了したようだ。ガーっと印刷機が紙を吐き出した。

 その紙をモカがむしり取ると、友香に差し出した。



「解析終わったよ。はい、友香が好きな紙の資料〜」

「ありがとう助かるわ」



 受け取り、目を通す友香。

 そこには、織田貴人に加え、数名の生徒の名前が顔写真付きで表示されていた。

 そして、少女の目を引くものがあった。



「ん……?これって……!」

「ああ、オマケで保護者の顔写真もつけておいたよ。私からのプレゼン〜ツ☆」

「なるほど、そういうことだったの……!」

「いや、何がなるほどかわかんねぇけど……」



 置いてけぼりの時雨が苦言を呈す。



「お役に立てたようで何より。んじゃ、私は私の城に戻るから!アデュー!!」



 機械を仕舞ったモカが敬礼をし、走り去って行った。



「あ、モカちゃーん、帰るときは部室の鍵返してねぇ〜」

「ほーーーーい!!」



 遠ざかっていく声が返事を返す。



「あ!羽川お前!!この予算申請どうにかしろ!!」

「あ、無理デーーーース!!」

「ざけんなーーーー!!」



 それらの愉快な声を聞きつつ友香は、これからどうするべきかを考えあぐねていた。


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