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罪人アクアリウム  作者: 空波宥氷
7/16

類は友を呼ぶ

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の警部補。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車はナナマル(JZA-70)。



・九重優衣(ココノエ ユイ

友香のクラスメイトであり、親友。

活発な金髪サイドテールの少女。

一度身体を使ったことなら忘れない才能がある。

機械仕掛けの身体を持つ。



・生天目 響(ナマタメ ヒビキ

友香、優衣のクラスメイトで親友。

黒髪ロングをハーフアップにした少女。

天才ハッカー。バニラアイスが好物。



・羽川モカ(ハネカワ モカ

友香たちの友人。

関係省庁に技術提供を行っている。

理科学研究同好会の部長。

工学科の才女。


7-1 類は友を呼ぶ


 中等部職員室。

 教師、宮内時雨くないしぐれは、束の間の休息を味わっていた。

 一癖も二癖もある変人揃いの緋梅学園において、講義時間外はたとえ仕事中だろうが休息なのだ。


 彼の目の前のデスク上には、数十個のモニターがあり、中等部の監視カメラの映像が流れていた。

 椅子に座り、提出された部費申請書類に目を通しつつ映像の確認をする時雨。



「あ、宮内先生〜お疲れ様です〜」



 作業をしていると、背後から声をかけられた。

 彼が振り返ると、そこには同僚の長谷川薬子はせがわくすこの姿があった。

 最も、同僚と言っても一回りと少しほど歳上の先輩にあたる女性なのだが。



「お茶いります〜?」



 彼女は、おっとりとした声で尋ねつつ、彼のデスクにお茶を置いた。



「あ、ありがとうございます」

「どういたしまして〜」



 ふにゃあっとした顔をして返事をする薬子。

 彼女が時雨の隣、自分のデスクに座る。



「ずずっ……は〜美味しい」



 彼女がお茶をすすり、一息つき、そのままぼんやりと目の前を見つめていた。

 その様子が、時雨には縁側にいる老婆の様に思えた。本人に言ったら怒られるだろうが。


 

「……いただきます」



 時雨はお茶を飲みつつ、書類作業に戻った。



「宮内先生は今何しているんですか?」

「部費の申請書類のチェックです」

「おお〜それは大変そうですね〜」

「そうなんですよ、たまに無茶苦茶な申請してくる部があって……げっ、これはいくらなんでも……」

「どれどれ?」



 書類を受け取る薬子。



「ふむ、理科学研究同好会……」

「中等部の生徒が立ち上げた同好会です。在籍してるのは一人なんですが、その生徒が工学科イチの天才かつ問題児で……」



 その同好会の説明というか、グチを言う時雨。



「羽川モカっていうんですが、社会貢献どころか世界に技術貢献しているので、こちらも文句を言いづらいんですよ」

「知ってますよ〜私、この同好会の顧問ですから〜」

「……はぁ!?」



 一瞬の間があって、素っ頓狂な声を上げる時雨。



「いや〜モカちゃんに頼まれちゃいまして〜」

「いや、安請け合いしすぎでしょ……」

「まぁ、飽きないですから〜無問題モーマンタイです」

「そうですか……でしょうね」



 お茶を飲み一息つく彼女。

 そんな横顔を見つつ、類は友を呼ぶのだなと、時雨は改めて思い知った。






7-2


 一方その頃、優衣は任された任務を遂行していた。

 カメラの映像を取り出すということで、彼女は脚立に登り、天井に取り付けられたカメラを覗き込んでいた。



「んん?どっから取り出すんだこれ?」



 レンズを覗き込んだり、側面を見たりするが、取り出し方法がわからない優衣。

 当然である。映像は、職員室でしか取り出せないようになっているのだから。



「まぁ、これごと持ってけばいっか」



 とんでもない発言をして、優衣はカメラに手をかけた。






7-3


「って!うお!!九重!!?」



 モニターをなんとなく見ていた時雨が、大声を上げる。

 そこには、ドアップになったよく知った顔が映っていた。

 横から薬子が覗き込む。



「あぁ、九重さんですね、何してるんでしょうか?」

「なんか嫌な予感しかしねぇ……」



 何をするのかと2人が静観していると、彼女がカメラに手をかけた。

 そしてその直後、画像が乱れ、砂嵐がモニターを占領した。






7-4


「あれ?これでよかったのかな?」



 天井から引っこ抜いたカメラを手に、首をかしげる優衣。

 医療用とはいえ、サイボーグ少女の優衣。かなりの腕力をしていた。



「大丈夫だよな?壊れてないよな?」



 無理矢理引っこ抜いたのだから、壊れたに決まっているだろう。


 だが、優衣は気がつかない。

 無残にも、天井には取り残された導線だけがぶら下がっていた。

 彼女が手元のカメラを観察していると、






『えー、中等部2年反町友香さん、九重優衣さん、生天目響さん至急「こぉらぁ!天才バカトリオ!!何カメラ引っこ抜いてんだ!!お前らの悪事は全部見えてんだぞ!さっさと職員室に来いーー!!」ちょっ、宮内先生!落ち着いて!!落ち着いてください!!』


ブツッ!






「あー……やっちまったな。友香、響すまん……」



 全校放送を聞いた優衣は友人に謝罪しつつ、苦笑し、頭を掻いた。


・宮内時雨(クナイ シグレ

友香たちの担任教師。

紺とオレンジのジャージを常に着用している。

黒髪と苦労人気質なのが特徴。

妹と弟がいる。歳は24。



・長谷川薬子(ハセガワ クスコ

モカが所属する理科学研究同好会の顧問。

ゆるい感じの雰囲気を常に纏っている。

黒髪ショートボブが特徴。

歳は38。

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