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罪人アクアリウム  作者: 空波宥氷
5/16

戦地へ

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の警部補。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車はナナマル(JZA-70)。

5 戦地へ


「で、今回の事件はどんな内容なのかしら?私、何も知らされずに来ちゃったんだけど……」



 こんな感傷に浸っている場合ではなかった。

 どこかへとむかう車の中、友香が尋ねた。

 よくよく考えてみれば、詳しいことは何も聞かされずに追い出されてしまったのだ。



「大丈夫です。橘学園長から説明を任されています。今から説明しますね」



 ありがたいことに、説明が聞けるようだ。

 清花は首輪を起動させ、視覚情報を友香に提示する。



「昨日未明、緋梅学園の生徒が意識不明の状態で発見されました。生徒の名前は織田貴人おだたかひと、17歳。織田財閥の跡取り息子で、学園高等部の法学科に所属しています」



 友香の目の前で、被害者や事件現場、関係者の写真が踊る。



「彼の発見時、周囲は水浸し状態で、彼も皮膚がふやけるほどに濡れていました。近くには巨大な水槽が置いてあり、その水槽で溺死させられかけたのだと警察は見ています。目撃者がいたのですが、錯乱状態で話が未だに聞けていません」


「その水槽の底には、白いインクで「罪人アクアリウム」と書かれていました」



 概要を述べた清花。

 それに対し、友香は不可解そうな表情をしていた。



「ふむ……目撃者がいたと言っていたけど、椅子に縛り付けにされていたのよね?その理由は?」

「学園長から聞きましたか。彼女もそこが気になっていたようですが、なんとも。警察も意味不明だと頭を悩ませています」

「清花の見解は?」



 友香の問いに、虚をつかれたように少しの間が空く。

 そして清花が答えた。



「さぁ、犯人が見せたかった……見せしめ……あるいは証明したかった……とかでしょうか?」

「証明……?なんの?」

「それはわかりません、しかし、何にせよ犯人に意図があったはずです。でなければならそんなリスクを犯すことはないでしょうから」

「「罪人アクアリウム」……観客がいて初めて完成する……水族館……」



 ぶつぶつと友香は考えを巡らせていたようだった。



「水槽や着衣から犯人の指紋は?」

「ありません」

「そう……」



 少女が顔をしかめる。

 そして、ハッとすると、



「ところでこれ、どこ向かってるの?」

「被害者、織田貴人が所属している高等部です」

「なるほど、聴き込みってわけね」

「はい。違うところがいいのでしたらそちらに向かいますが…」

「いえ、このままで構わないわ」



 友香は、口元に笑みを浮かべた。


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