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罪人アクアリウム  作者: 空波宥氷
12/16

アクアリウム

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の警部補。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車はナナマル(JZA-70)。


12 アクアリウム



「やっぱり何か隠してるわね」

「ええ……」



 氷川宅を後にした友香と清花は、車の中にいた。

 緋梅学園へと戻る道中であった。



「にしても、殺し屋とは随分物騒な話ですね」



 先ほどの会話を思い出しながら、清花が呟く。



「私自身で否定したけど、それに似た可能性は大いにあると思うわ。そうね、例えば復讐代行業……かしら?」

「復讐、代行……」



 清花が不快そうに目を細める。



「まぁ、気持ちはわからなくもないわ。少年法によって、未成年が人を殺したとしてもその罪が裁かれることはない。そりゃ、復讐代行でも雇うでしょうよ」



 友香がため息をはく。

 考えを理解はできても、同意はできない。そんな様子を感じ取れた。



「だから彼女、被害者を知らないって言ったんじゃない?目、泳いでたし、明らかに嘘をついていたわ」

「彼女に後ろ暗いことがあったと……」

「ええ、それに普通、自分の息子を死に追いやった人物に興味を抱かない?彼女、私の言葉に少しも食いつかなかったわよ?」

「た、たしかに……」



 その分析に、清花は納得の声を上げた。

 そして、感想を漏らした。



「しかし、それを誤魔化すために警察に何も言わないというのは悲しい話ですね……」



 そんな独り言とも言える彼女の感想に、友香が食いついた。



「……ん?警察に何も言わなかったってどういうこと?」



 清花は運転しつつ、事実を述べる。



「いえ、彼が自殺したとき、彼女は警察に対して何も言わなかったそうです。イジメの主犯を尋ねることも、厳罰を望むことも。言われるまで被害届さえ出されていませんでしたから」

「……おかしいわ」



 友香は、とてつもない違和感に襲われた。

 考えるポーズを取る少女。



「確かに異常とも言える諦観だと思います」


(諦観……?自分の息子よ?そんな簡単に諦めるかしら?何か裏がある……)



 そのとき、友香の頭にある映像がフラッシュバックした。

 友香が目を見開く。



「……!!そういうことだったのね……!!清花!もう一つ、調べて欲しいことができたわ!!」



 助手席で友香が唐突に声を荒げ、清花が戸惑う。



「な、なんですか?」

「氷川かなたに前歴、もしくは裁判になった記録は!?」

「え、ええ?ちょっと待ってください…いえ、そんな情報はありません」



 そのとんでもない問いかけに、さらに困惑する清花。

 一体、少女の頭の中には何が巡っているのだろうか。



「彼の銀行口座は?今すぐ調べて!!」

「ぎ、銀行口座ですか?わかりました。今すぐデータベースに問い合わせます」



 そのときだった。

 清花の首輪に通知が入った。






ーー織田貴人の意識が戻った。

ーー至急、事情聴取に向かいたし。









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