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罪人アクアリウム  作者: 空波宥氷
10/16

光と影

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の警部補。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車はナナマル(JZA-70)。

10 光と影


 ガラス張りの食堂。

 研究部棟の食堂にて、友香と清花は昼食を取っていた。

 注文したものは、2人とも名物の学園カレーだった。



「学食なんて久しぶりですね」

「学生時代を思い出したかしら?」

「ええ、まぁ」



 そう言って、窓の外を見やる清花。それにつられて友香も眺める。

 窓の外のバスケットコートでは、ユニホームを着た生徒たちがボールを奪い合っていた。

 その中には、九重優衣の姿もあった。

 彼女がダンクシュートを決め、仲間とハイタッチをしていた。



「しかし、橘学園長はどのような結末を思い描いているのでしょうか?」



 視線を戻し、清花が疑問を投げかけた。



「徹底的にやれ、と言われても少年法がある以上、彼らに罰を課すことはできないはずです」



 この時代の少年法は酷いものだった。

 簡潔に言えば、未成年の保護を過激に推奨した結果、彼らは何をしても許される法律ができあがってしまったのだ。

 それだけ、子供というものに希少価値があるということなのだ。


 友香は、スプーンを持ちつつ考えるポーズをとって、



「あの人は、決して道理から外れる人じゃないわ。おそらく、ポイントになるのは入学時の契約……」

「契約……?」



 清花が怪訝な顔をする。

 友香は板電話を操作し、ひとつの画像を呼び出していた。

 その一部分を拡大し、清花に渡す。



「……なるほど、そういうことですか」



 言わんとしていることを理解した清花が、少女に板電話を返す



「だからまぁ、そっちは心配しなくて大丈夫よ。あの人ならなんとかしちゃうだろうし」



 コップの水を飲み、胸元をパタパタと仰ぐ友香。スパイスてんこ盛りのカレーで身体が火照ったのだろう。

 一方、清花は表情ひとつ変えず、涼しげな様子だった。



「信頼しているのですね」

「ええ、あれほど狡猾な上に筋を通す人を私は見たことがないわ」



 目を細め笑う友香。



「それは……褒めているんですか?」

「ええ、もちろん」



 怪訝な声を出す清花に、少女がクスクスと笑う。



「話は戻るけど、清花に調べて欲しいことがあるの」

「ああ、さっき言っていましたね。何ですか?」



 スプーンを止め、友香を見る清花。

 彼女を真っ直ぐに見つめ、少女が要望する。



「氷川かなたの母親、氷川奏ひかわかなでの銀行口座を調べて欲しいの」

「銀行口座ですか……?何のために?」

「それはまた後で。とにかくお願い」

「……わかりました。問い合わせておきます」

「よろしくね」



 そう言って、再び友香はカレーを食べ始めた。

 それに倣い、清花もスプーンを動かし出した。


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