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私の彼はユーチューバー 1
平日のハローワークはやっぱり異様。
暖房の効いた室内は暖かいというのに
ここはいつ訪れても周りより冷たく感じる。
一ヶ月程しか通っていないけど
一年を通しても景色は変わらないのだろう。
この先も仕事が見つからず
このまま一年通うなんて
考えただけで寒気がする。
客でもない労働者でもない
何者でもない私にかけられる言葉は何もない。
ハローワークと書かれた自動ドアが左右に開くと
ここの人たちは黙って会釈してくれる。
パーマをあてた四十代ぐらいの女性が
受付カウンターに座っていて、
最近はほぼ毎日訪れているため、
顔を合わせるのも恥ずかしい。
すぐに財布からハローワークカードを取り出す。
それを女性へ手渡すと、
「4」と書かれた小さい紙が返ってきた。
今日も朝から混んでいるみたい。
しかも不吉な数字。
この番号は求人票を閲覧する
パソコンの順番待ちの数字だ。
家から一番近いハローワークにはパソコンが少なく、
大抵待たなければいけない。
入り口に置かれた長椅子に腰掛けて待つ。
まだ何もしていないのに
この時間がとても嫌で逃げだしたくなる。
なぜなら