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私の彼はユーチューバー  作者: 八田ガナ
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私の彼はユーチューバー 21

男は振り返り、靡く長い髪の間から顔が現れた。

無精髭を剃っていて前にも増して幼く見えた。


私「就職は決まりましたか?」


勢いよく発してみたものの、

男は私を見つめたまま口を半開きにして立ち止まった。

それもそうか、スタバで喋ったことなんてもう覚えてないか。

私には少しインパクトのある出来事だったけれど、

彼からしたら怒りながら全く知らない人と喋るなんて、たいしたことではないのだろう。


私「あのー、スターバックスで喋ったの覚えてませんか?」


男「あー、はい、はい、はい。あのハローワークの子ね」


男は立てた人差し指を、私の方へ二度、三度と振った。


私「いえ、ハローワークの子ではないですけど」


男「覚えてる、覚えてますよ。なんや就職は決まりました?って言うから、

なんで俺が会社辞めたの知ってんのかな思て。

なんか変な店の勧誘かな思たけど、買い物袋さげてるし」


私「すみません。なんも特徴のない顔で。忘れてましたよね」


男「いえ、いえ。そういうことではないんやけど。

あの時は怒ってましたから、気が動転していたんやと思います。

でも喋ったのは覚えてますよ」


私「まあ、覚えていても覚えてなくてもどっちでもいいんですけど、

今たまたま見かけて、あの後どうなったかなと思って声をかけたんです」


どっちでもいいなんて、なんか失礼なこと言ってしまったなあと思ったら、

堀江電器の男が突然こちらへ走ってきて間に立った。


男2「何?何?ツボッチ。誰?この真面目そうな子は。うちの店の前でナンパとかやめてよ」


男「もうなんやお前は。バイト中なんやから店を離れんなや」


男2「いいから、いいから。誰?この子?知り合い?」


男「うん。少し喋ったことがあるだけやけど」


男2「何繋がり?前の職場の人?」


男「いや、俺ら無職やし」


男2「え? そうなの? 」


堀江電器の男が微笑みながら私を見つめてきた。



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