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私の彼はユーチューバー  作者: 八田ガナ
13/36

私の彼はユーチューバー 10

男「俺が怒っていたの見てましたよね?

あなたに謝っても仕方ないのですが、先程はすみませんでした。

でもあのままあそこにいたら、

自分でも訳わからんぐらいキレてしまいそうやったのですぐに出ました。

少し冷静になってから、もう一度行こうかと思ったんですけど、

やっぱりどうしても納得できんくて」


私「何に納得できないんですか?」

今度はごく自然に言葉が出た。


男「だって、求人票が嘘ばっかりなんですもん。

休日も給与も好き勝手嘘ばっかり並べて。

この求人票は俺が前いた会社のなんやけど、

見てくださいよこれ。ひどいもんですよ」

男は横へ移動しながら私の前に座ると、

頼んでもいないのにテーブルの上に皺だらけの求人票を広げた。


男「まずここの欄です。休日 土・日・祝と書いてありますが、

平日に仕事が終わらなくて土・日も出勤する日がありました。

ということで、下の欄に表記してある週休二日制というのも当然嘘になります」


 男が求人票の上で指を差しながら説明し始めた時、

長くなるなという予感はしたけれど、制止させる間もなかった。


男「次に賃金なんですけど、休日出勤の分が含まれてなかったです。

まだ仕事の経験が浅いし、平日に仕事が終わらなかったという負い目もあって、

社長にはそのことを言いにくかった。

当然のように残業代も時間分は出ていなかったです。

ハローワークの人に詰め寄ったら、なんや知らんけど、

この会社は36協定届けという物を労働基準監督署に提出しているらしく、

固定残業代として時間外の有無にかかわらず三十~四十時間分を支給する

決まりになってるらしいです。たしかにこの欄に書いてあります。

求人票も悪いですよ。こんな堅っ苦しい言葉やなくて、もっと分かりやすー説明せえちゅうねん。

いくら働いても残業代が定額なんてひどい事を、なんで真面目に語っとんねんって話ですよ。ほんまに」


私「そうですね」

 勝手にヒートアップして息の上がった男と反対に、適当に相槌をうった。


男「えー、こんなに喋ってそれだけですか。」

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