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私の彼はユーチューバー  作者: 八田ガナ
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私の彼はユーチューバー 7

ますますやる気を無くしてしまい、

医師・歯科医師・獣医師・薬剤師に分類された項目をタッチした。

が、ほとんど薬剤師の求人しか検索されず、

医師の募集は見当たらなかった。


医師免許を取得するような意欲のある人間は、

探さなくていいのかもしれない。

やりたい事も、やる場所も明確なのだから。

ためしに給料がいかほどか知りたかったが知ることはできなかった。

「なんでやねん」。

文字が並ぶスクリーンとそこに映る自分に無言の突っ込みを送る。


今日はあの不吉な数字からして、いいことはないのだ。

根拠のない言い訳を味方にしてその場を後にした。


ハローワークから徒歩二分にあるスターバックスは雰囲気が一転する。

木目調のカウンターテーブルとふかふかのソファー。

焙煎された豆の香りが立ち込める店内には、

昼休憩のサラリーマンや学校をさぼったのであろう

学生グループが思い思いに喋っていた。


何者でもない私でも、

にこやかに微笑む緑のロゴと従業員が

「いらっしゃいませ」と歓迎してくれる。


無職に二百八十円の出費は痛いけれど、

家にかえって母と昼食を摂るよりよっぽどいい。

カロリー気にならないし、カロリー消費するようなことしてないし。

だから、ハローワークの後はよくここへ来る。


片付かない夏休みの宿題を延々と抱えているようだ。

いつまで遊ぶつもりなの?と冷たく母に言われて家を出たが、

それは私が一番知りたい答えだ。


この一ヶ月にも及ぶ長い休みは、

いつが終わりなのか分からない。

しかも、宿題が終わらない限り全然楽しめないし遊んでない。

宿題が終わったら終わったで、仕事ばっかりで遊べないやん。


大人ってなにが楽しいんやろ。

二百八十円のコーヒーを飲みながらまた考える。

なんで人間って寝ている時以外、考えなあかんのやろ。


こめかみらへんにスイッチみたいなものがあって、

オフにしたら脳の機能を一時停止してくれたら良かったのに。

神様もあほやな。こうやって、生きてるだけで疲れるやん。


でも、そんなスイッチあったら私は、ずっとオフってる気がするな。


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