表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/36

18 いつか答えたい愛の物語

 夕方ごろ、完全に日が暮れてしまう前にサークルの活動が終わり、みんなが帰り支度をする中、あまり目立たぬように立ち上がった俺は榎本だけを呼び止めた。


「少し話があるんだけど、よかったら残ってくれないかな」


「え、うん」


 さりげなく声をかけたつもりだが、実はすごく緊張していたので断られなくて胸をなでおろす。

 ほっと一息ついて安心したのも束の間、今度は榎本が不安そうな顔をした。


「だけど今日は紐も手錠も持ってきてないよ?」


「いや、そういうのじゃないから」


 普通はいらないものばかりだ。そりゃ、前回のサークル活動の後に榎本が戻ってきたときには二人で紐を使ったけれど、それは俺の意志ではなく、他でもない榎本の頼みだったからである。

 俺は普通に話があるだけだ。

 勘違いされても困るので先に言っておく。


「サークルに人が増えたのはありがたいけど、そのせいか二人で話す機会が少なくなっちゃったからね。ここ最近は古沢さんとのことで忙しかったし、榎本さんとの時間を作りたかったんだ」


 少しの間でいいから、榎本と二人になりたい。

 ……それが本音だとしても、さすがにちょっと正直に言いすぎたかもしれない。伝えた後で恥ずかしくなってきた。

 あまり深い意味があるようには受け取らなかったらしく、榎本はふーんと頷く。


「私との時間か……。でも、ちょうどよかったかも。乙終君には相談があるのね」


「相談? まあ俺は榎本さんの相談役だからね。困ったことがあったら何でも相談してくれていいよ」


「うん、ありがとう。でも今日はいつもの欲求不満じゃなくて、小説のことを相談したいの」


「あ、そうなんだ」


 小説か。これでも俺たちは文芸サークルなので、文芸に関することを語り合うのは全くおかしな話ではないのだけれど、それにしたって榎本から小説のことで相談されるなんて意外だ。しかし頼られて悪い気はしない。

 さあ、何でも聞いてくれという気分で胸を張る。これで役に立てなかったら部長の名折れだな。

 その後、みんなが帰った後で榎本には俺の部屋に入ってもらった。

 先に呼び止めたのは俺なので本当は俺からも話があったが、まずは彼女の話を聞くことにする。

 小説の相談だ。


「今日のサークルで想ったんだけど、みんな書きたいものが決まってきてたのね。私はどうしようかな。何か書こうとは思うんだけど」


「ふむ……」


 つまり榎本からの相談というのは、何か書きたいけれど書きたいものが決まっていないから、それを一緒に考えてほしいというものらしい。

 これまでにも何人かに相談されてきた悩みだったので、ひとまず一般論的なものを答えておくことにする。


「これは赤松にも言ったことだけど、まずは何でもいいから書いてみるのがいいと思うよ。最初から傑作を書く必要はないんだ。なんとなく書きたいものとか、そんなところから気軽に始めてみよう」


「寝首?」


「それは掻きたいものだね」


「かきたいもの……。かゆいところはありますか?」


「ありませんって答えちゃう。本当はかゆくても恥ずかしくて言えない」


 美容室や床屋での話だ。あと、歯医者さんでは痛くても手を上げられない。

 ……などと、そんな馬鹿なことを言っている場合じゃない気がする。ここは榎本の相談に乗って、サークルの部長として頼れるところを見せる場面だ。

 でも、どうだろう。こうやって気軽に冗談を言い合ってリラックスしている状態のほうが名案も出るかもしれない。肩肘を張って気難しく考えていれば、凝り固まったアイディアしか出てこなくなる。

 もちろん真剣に取り組む態度を否定するわけではないが、少なくとも俺たちのサークルは和気藹々としたものになりがちだろう。

 なので榎本にも楽しんで書いてほしいという気持ちがある。

 苦しむのは本気でプロを目指すときだけでいい。


「文芸部で書くって言ったら小説をイメージしがちだけど、それが難しいなら詩でもエッセイでもいいと思うよ。いくら簡単にって言っても、やっぱり話を考えるのって難しいからね。もちろん詩やエッセイが簡単というわけじゃないけど」


「この前もそんなこと言ってくれてたね。でも、せっかくみんなやる気になってるから、私も何か小説を書いてみたいな」


「せっかくだから、か……。きっかけは何であれ、やる気になってくれるのは嬉しいよ」


 榎本がやる気になってくれれば、これからは一緒に頑張れるからな。

 今まで遊んでばかりだったサークルの活動も文芸部らしくなるだろうし。


「ところで、小説を書く時に使うペンネームってどうしたらいいと思う?」


「ペンネームか……。誰かに付けてもらう人もいるけど、やっぱり自分で考えたほうが愛着も湧くんじゃないかな。どうしても思い浮かばないっていうなら、無理にペンネームを考えずに自分の名前を使うのもいいかもね」


「乙終君はどうしてるの?」


「俺は本名のまま乙終だよ。ペンネームを使いたいときは何か考えるかもしれないけど」


「へえ……」


 適当に聞き流された。もしかして自分の名前を普通に使っているのって変だろうか。

 かといって無理してペンネームを付けるのもな。思い浮かばないからといって、適当に付けていいものでもない気がするし。

 とにかくペンネームを考えているらしく、榎本は思案顔で腕を組む。

 せっかく相談してくれているのだから、部長らしく助言くらいしておこう。


「榎本さんも自分の名前でいいんじゃない?」


「ひねりが足りないよ」


「んー、じゃあ、“ひねり榎本”とか、“ひねった榎本”とか、“エノモト・ザ・ヒネルヤ”とかはどう?」


「なんていうか、浅いね」


 本気で言ったわけでもないので確かに全く深くはないが。

 しかし、ペンネームを考えることにとらわれすぎても駄目だろう。いい名前を付けようとして一度深みにはまってしまうと、そこから抜け出せなくなるから気をつけなければならないのだ。

 いつもペンネーム集を持ち歩いてる美馬とかな。


「でもそうだなあ、今のところは本名そのまま榎本加奈でいいかな。どうせなら私が書いたものって一目でわかってほしいもん」


「まあ、ネットに公開するんじゃなければそれでいいと思うよ。ひとまずペンネームは榎本加奈で」


「うんうん。で、タイトルはどうしたらいいの?」


「タイトルは……いや、俺に聞かれても困るよ?」


 相談に乗る意志はあるけれど、せめて内容が決まってから相談して欲しい。

 内容について何も決まっていないのに、いきなりタイトルを考えろと言われても厳しいものがある。


「だったら自分で考えないと駄目かな。けどタイトルかぁ、これぞっていう感じの何かいいタイトルはないかなぁ」


 つぶやきながら、手持ち無沙汰なのかシャーペンをくるくると指の上で回している。ハンドスピナーみたいに綺麗に回っていて意外と上手い。ひょっとして練習したんだろうか。

 このままいつまでも回していそうなので、すごく普通のことを、もっともらしく助言してみる。


「すごく役に立つアドバイスを教えてあげよう。榎本さん、実はタイトルというものは何も最初に決めなければならないというわけでもないのだ。最後に決めたっていいんだよ」


「そうなの? じゃあタイトルはいったん置いておこう。さーて、だったら本文、本文っと」


 俺のアドバイスでタイトルは後回しにした榎本。

 しかし本文か。短編なのか長編なのかは知らないが、見切り発車で書き始めるのは大変そうだ。


「待ってよ、榎本さん。さすがにいきなり本文から書き出すのはきついんじゃないかな。やり方はたくさんあるけど、まずはプロットを考えたほうがいいよ」


「プロット?」


「プロットっていうのは、まあ、簡単に言えばあらすじみたいなものだね。本文を書き始める前に、あらかじめ全体の話の流れを決めておくんだ」


 ありていに言えば、小説用の設計図のようなものか。聞くところによると作らない人もいるらしいので、小説を書くために必ずプロットが必要というわけでもないが、あったほうが話の流れをイメージしやすくて書きやすかろう。


「とはいえ、まだ何も決まっていないのにプロットから考えるのは難しいと思う。まずは作品のテーマを決めたらいいんじゃないかな。具体的なアイディアを出していくための方針みたいなものだから、大まかにでもいいからね」


「テーマか……」


 大まかなものでいいと言っても、結局は作品の方向性を決めるようなものだ。

 なので、小説のテーマを決めるというのは簡単そうで難しい。

 書きたいテーマがすでにあるのなら話は別だが、悩んでいる様子を見るに榎本の場合はそうでない気もする。

 そう思っていたら榎本がポンと手を打った。


「あ、じゃあ決めた」


「お、早いね。何に決めたの?」


 そう簡単に決まるだろうかと疑いつつ尋ねてみれば、本当に決まったらしく榎本は顔を輝かせて答える。


「ずばり、青春!」


 ほう、テーマは青春か。ありがちだが無難だ。

 欲求不満が原因で暴走しがちな榎本にしては安定した選択である。


「それでね、乙終君。テーマを青春って決めたら、書きたい小説のストーリーも降ってわいてきたよ」


「すごいな。どんな感じなの?」


 ふふん、と、ちょっと得意げな顔をする榎本。

 すごいと言われて嬉しそうだ。可愛い。


「オオカミ少年って、あるじゃない? わざと嘘をついて、村のみんなに怒られる奴。あれの現代版」


「……へえ?」


「普段からSNSで作り話ばかり書いて批判を大量にもらう少年がいるんだけど、ありえないと思っていた書き込みが実は全部が本当のことで、批判する人たちのほうがオオカミだったんだなぁって気付くような話」


「寓話みたいな感じか。オオカミ少年とは違う気もするけど、骨子となるアイディアはいいんじゃないかな。あとは具体的なエピソードをつけ足したりして、文章の肉付けをしていくだけだね」


「うん。難しいとは思うけど、小説を書くのって初めてだから今回は短くまとめたいな」


「……だけど、あえて言うならテーマが青春っていうのは? 友情とか恋愛だけが青春ってわけじゃないけど、青春ならではの人格形成につながるエピソードとか、自分と世間との関係性に悩みがある感じの奴?」


 だとすれば意外と真面目そうな作品だ。

 ポリポリと頬をかいた榎本が少しだけ照れて顔をそらした。


「うん。実はその作り話だと思っていた少年の書き込みっていうのが、エッチな奴なのね……」


「…………」


「いや、そこで絶句しないでほしいのね! 十八禁じゃないのね! すごく青春感のある爽やかなエッチなのね!」


「青春感があればいいってものじゃないと思うけどね……」


 まあ、青春感というのが少年漫画くらいのエッチ度だとするなら大丈夫な気もするが。

 けれど漫画や映画と違って文章だけで何でも自由に書けてしまう小説というものは、根気さえあれば作者一人の力で何でも書けてしまうというか、キャラクターも展開も思いのままに書けてしまう。直接的に描写をせずとも読者の想像力には歯止めをかけられないという意味でも、どこかでブレーキをかけないと危ない領域まで軽々と突っ切ってしまいかねない。

 突っ切ってしまった後で変態のレッテルを貼られるのは書いた人間だ。

 つまり今回の場合なら榎本だ。

 それを伝えたら、一応は常識人である榎本も考えを改めたらしい。


「じゃあテーマを変えるのね」


「変えればいいってものじゃない気もするけど……何?」


「痛快コメディ」


「コメディはともかく、痛快ってつければ何でも許されると思ってない?」


「違うの?」


「いや、まあ……」


 きょとんと首を傾げられる。

 痛快、シュール、不条理などと付けておけば、確かにある程度は作中で何をやっても許される雰囲気がなくはない。受けるかどうかは全くの別問題なので、一般的なセオリーが通じにくいギャグやコメディは大変だけど。


「それじゃあ、乙終君。ファンタジーならどう?」


「現実にはあり得ない不思議なことが起こっても、ファンタジーなら何でも許容されるってわけでもないからね」


「えー、でもファンタジーならいろんな展開ができそうだなー」


 不服そうに俺を見ないでほしい。

 魔法とか不思議生物とか亜人とか、確かにファンタジーならいろんな展開ができそうなので書いてほしくもあるが。

 いけないことを妄想していたら、唇を尖らせていた榎本が首を傾げた。


「哲学?」


「こらこら。哲学はちゃんとした学問だから。わけわからん話イコールじゃないから」


 でも哲学性の高い物語ってよくわからないことが多い。それで面白いならいいけれど、創作も哲学も奥深く、どちらにも不慣れな素人が書くには難度が高そうだ。

 榎本には書けそうもない……というと失礼か。創作の才能と本人の性格は関係がなく、意外と榎本みたいなタイプの人間が示唆に富んだ作品を書けたりするものである。

 たぶん。

 でも一応は引き戻しておくことにする。


「テーマというか、一度冷静になって全部考え直したほうがいいと思うよ。エッチな奴が駄目っていうわけじゃないけど、書いた後で冷静になって読み返すと、ちょっとね……」


 書いているときはノリノリでも、後になって読み返すと恥ずかしくて悶絶したくなる文章、いわゆる黒歴史になりかねない。

 完成した後に作品を読むのが俺だけならいいが、他のメンバーに自分が書いたエッチなのを読まれてしまったら榎本が羞恥心に耐え切れずサークルをやめてしまいかねないではないか。


「そっか……。それは残念」


 残念がる榎本もどうかと思うが、榎本がエッチな奴を書いてくれなくなるのは、ある意味ではすごく残念だ。

 本音を言えば読みたい。

 けれど何事も最初が肝心だからな。最初のコンセプトが間違っていると完成する作品は駄目になりがちだ。

 だから最初の部分には手を抜かないほうがいい。

 もちろん、それが原因でいつまでも歩き出せない人も多いので割り切りも必要だけれど。


「ところで現代芸術って、どこが芸術なのかよくわからないじゃない?」


 そんなことを無邪気に言う。悪意は全くないらしいので逆に怖い。


「一応その言い方だけは謝っておこうか。真剣にやっている芸術家の皆さんに失礼極まりないからね」


 彼女の代わりに俺がフォローします。

 榎本に芸術を理解する心がないだけなので、むっとした人も許してあげてください。


「で、考えたんだけど。現代文学だって、もっととがっていいのではないかと」


 大発見だと言わんばかりに人差し指をピーンと突き立てる榎本。

 苦言だけは呈しておく。


「ただ、そうすると読者に伝わりにくくなるけどね。とがる代わりに共感されなくなるよ」


「文学は爆発だーって!」


「個人的には文学は破壊されないで欲しいかな。専門家の解説が必要なくらいに独創的な作品って見る分には面白いけど、よく話題になるような一部の先鋭的な現代芸術がやっているレベルにまで到達すると、物語を理解しないと楽しみにくい文学作品としては大変だしね」


 そうでなければ読む気が起きない。表現だけが先行して支離滅裂な小説は試みとしては意義深くとも、それを何万字も読む羽目になる読者の負担が大きいだろう。

 面白ければ話は別だが、読者には作者の自己満足に付き合う義理もないし。

 いや、付き合ってくれると嬉しいんだけどね、長々と物語を書き綴る作者としては、とっても。

 などと考えていたら榎本が人差し指を左右に振った。


「そういう保守的な考え方が駄目なんだよ」


「そう?」


「うん。閉塞的だから」


「開放すればいいってものでもないと思うけど……」


 無駄に偉そうで口うるさい鈴木も言ってたけど、最近はSNSでエゴを開放して炎上案件を起こす人間が多いからな。

 コンプライアンスやら規制やらで、多様性が必要とされる一方で商業作品の表現の幅も狭まりつつある気がしないでもないし。

 もちろん保守的で閉塞的になるような業界には未来がないというか、王道はともかくとしても過度のマンネリやテンプレは誰かが定期的に破壊して、何らかの形で界隈を活性化させなければならないとは思うけど。


「私も何か、自分をさらけ出すようなものが書きたいな……」


 結局はそこに行き着くのか。欲求不満な榎本らしいけど。

 しばらく二人で悩んでいると、うーんと腕を組んでいた榎本が顔を上げた。


「ごめんね、今日は相談に乗ってくれてありがとう。あとは家に帰ってから、ゆっくりと一人で考えてみるのね。それで、乙終君からも話があるって言ってたけど、それは?」


 そういえばそうだった。榎本の相談に乗っている間に忘れていたけれど、そもそもは俺のほうが話があると言って彼女を呼び止めたんだった。

 少し言いにくい話だったので本来なら色々と前置きしておきたかったものの、榎本との会話で時間を使いすぎた気がしないでもない。遠回りしていると日も暮れて暗くなってしまうだろうから、ここはすぐにでも本題に入ろう。


「実はね、古沢さんとのこともあって最近いろいろ考えたんだけど、やっぱり今の俺は不義理をしているなって思ったんだ」


「不義理?」


「うん。榎本さんの優しさに甘えて、曖昧な言葉で逃げているなって」


「……それは」


 何かを言おうとして、寸前のところで思いとどまり、気まずそうに口を閉ざした榎本は顔を背ける。

 彼女が何を言おうとしたのかはわからない。

 俺が何を言おうとしているのか、彼女が察してくれているのかも。

 けれど、だからこそ口にしなければ伝わらないことは世の中にたくさんあるのだ。


「恋愛小説を書きたいって、そしてそれが完成したら榎本さんに一番に読んでほしいって言ったけど、それだけじゃないんだ。そばにいて、それだけで楽しいって、だけどそれだけで終わる話でもないんだ」


 つまり、と言って俺は続ける。


「いつかちゃんと答えを出したいんだ。榎本さんにいつか、自分の気持ちを正直に答えたい。でも、だからそれまでは待っていてほしいとか、そういうことを伝えたいんじゃない。……なんて言うのかな、ただ、そのことを榎本さんには言っておきたかったんだ」


 今ここで明確な答えを出せるわけじゃないけれど、今もずっと一つの答えを出そうとして考えていることは知っていてほしい。

 彼女のことを考えていることを。

 結局は自分のためかもしれないが、それでも。


「……あのね、乙終君。そういうこと、無理しなくてもいいんだよ。考えてくれるのは嬉しいけど、だからって思いつめなくてもいいのね」


「……え?」


「だって、あなたからの答えが欲しくてここにいるんじゃない。今の私は乙終君と一緒にいたいからいるんだよ」


 そう言って笑顔を向けてくれる榎本。それは彼女の優しさだ。

 そんな優しい彼女が、だから俺は好きなのだ。


「ありがとう。でも、だからこそちゃんと答えを出したいんだ」


「……うん」


 もしも、この「好き」が、いつまでも変わらない本物の「好き」なのだとしたら。

 もし、彼女への「好き」が、他の誰よりも強い一番の「好き」なのだとしたら。

 それをいつか、自信をもって彼女に伝えたい。

 そう思って俺は、こちらを責めるでもなく優しく微笑んでくれる榎本に微笑みを返すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ