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9話 むかしむかし…

遅くなってしまいました。


むかしむかしあるところに、小さな領地を治める1人の弱小貴族がいました。


彼には息子がおらず、娘が3人いました。


その為長女が婿を取り、そのまま次期当主になる事になりました。


長女の婿は賢く、これで貴族の家は安泰かと思われました。


継承権を持たない次女と三女は他の家に嫁がされる事になります。


次女は隣の、同じくらいの大きさの領地を治めている貴族の長男に嫁ぎ、次期当主の妻となりました。


三女は娘達の中で最も器量が良かった為、家同士の繋がりを求めて近くの大きな領地を治める貴族の次男に嫁がされる事になりました。


しかし、三女はまだ結婚するには幼く、婚約に留まっていました。


婚約者同士、幼い頃から共に過ごす方が仲が深まって良いだろうと、よく2人で過ごしました。


そのおかげか2人は、少し歳の差があるにも関わらずとても仲が良く、互いの想いは段々と友情から愛情へと変化していきます。


三女が15歳の年の始め、彼女は彼に呼び出されました。


なんと、彼女を学園に通わせてくれるとの事でした。


彼女の家は貧しく、夫と共に家を支えていくであろう長女しか学園に通わせる事が出来ていませんでした。


彼女は最初は遠慮していましたが、彼の深い想いを感じ、通うことにしました。


入学当初は裕福な貴族の子ばかりという事もあり緊張していましたが、知識欲があり、好奇心旺盛な彼女は学園で勉学にのめり込み、成績もトップクラスに登りつめました。


彼女は彼への感謝と愛情を忘れず、将来は領地を継ぐ兄の手伝いをするであろう彼のサポートをする為、政治や商売については特によく学びました。


彼も、彼女が彼の為に努力している事を知り、より深く彼女を愛するようになっていきました。


彼女の卒業後、このまま2人は結婚し、領地を継がずとも幸せな家庭を築くものだと皆が思っていました。


――しかし、そう上手くは行かなかったのです。


学園生活も3分の2が過ぎた頃、彼女の元に突然彼の家から手紙が届きました。


そこには、彼との婚約破棄が決定した事が、淡々と書かれていました。


なんと、彼女が財産目当てで次男に近づき、長男を蹴落として次男を次期当主に据え、実質的に彼等の家を支配する、という計画が露見したとあります。


身に覚えのない罪による唐突な話に彼女は大層驚き、次の休みに慌てて彼の家敷を訪れました。


しかし、中に入れてもらえません。


それでも彼に会わせてくれと、仲良くして貰っていた門番に縋り付きました。


すると屋敷の玄関から長男が現れました。


そして、


「弟は君の裏切りにショックを受けて寝込んでいる。もう2度と来ないでくれ。」


それだけ告げると踵を返してしまいました。


彼女は必死に誤解だ、私はそんな事考えていない、といくら叫んでも、振り返ることなく屋敷の中に戻ってしまいました。


彼女は最後の希望を求めて実家に向かいます。


あの優しい両親と姉達ならば、私の話くらいは聞いてくれるだろう、と。


しかし、それは幻想に過ぎませんでした。


実家でも、彼女は門前払いされてしまったのです。


更に、長女から


「貴方は我が家の恥さらしですわ。今まで優しくしてやっていたのに、私達の恩を仇で返すなんて…。貴方は勘当よ!もう家には来ないでちょうだい。」


とまで言われてしまいました。


ここに自分の居場所はないと理解してしまった彼女は、泣きながら学園に帰りました。


休み明け、打ちのめされていた彼女は気づきませんでしたが、彼女が学園の門をくぐると女の子達が遠巻きにこちらを見てクスクスと笑っています。


そして昼休み、食堂にて近くの人がこっそり話す噂が何の気なしに耳に入ります。


「ねぇ皆さんご存知?あそこに座ってる方、実家から勘当されたんですって。なんでも、財産目当てで男に近づいて、婚約者になっていたらしいですわ。」


「まあ、なんて事。」


クスクス

クスクス

クスクス


彼女は、もう学園にまで話が広がっていた事に愕然としました。


――もう学園なんてやめてしまおうか…。


彼女は考えます。


しかし、すぐにキッとした表情で前を向きます。


――いいえ。ここで逃げてはダメ。今は私の事を嫌っているかもしれないけれど、愛した彼が通わせてくれた学園。あと1年…しっかり卒業しなくては。それが、私が彼にできる唯一の事のはず。



~~~~~



そうして彼女はたった1人で残りの学園生活を過ごしました。


孤独な彼女にとっては地獄のような1年でした。


しかし、彼女は1日たりとも休むこと無く毎日通い、遂に首席として卒業を迎えます。


彼女は入学時の決意―彼の為に勉強する―をずっと守ってきていたのです。


そう、彼への深い愛と共に――

ものすごく難産でした…

少し展開を端折りすぎたかも?

今後改稿の可能性ありです。


昔話風の語り口調を意識しましたが、どこか変になってるかもしれません。

気づき次第直していきます。


というか、話の持っていき方が強引すぎた気がします…

反省はしていますが、後悔はしていません!(`・ω・´)キリッ




ちなみに、今後の展開的にフォーサイス伯爵家はフォーサイス侯爵家に変更となりました。

突然の変更に混乱した方は、大変申し訳ございませんm(_ _)m

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