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85.異世界ハイキング5 憤怒と溜め息

今回も開いてくれてありがとうございます。(*´▽`*)

楽しんでもらえたらそれが一番嬉しいです。


今回は零司たちが兵士に囲まれてしまった所からですがいつもより少し長めになっています。今思えば前回の続きの部分をそのまま前回にくっつけてしまえば良かったかもとちょっとした後悔があったりして。

 槍を構えた兵士たちに囲まれる零司たち。


 この騒ぎは周囲の目を引き、完全に注目の的になっている。

 周囲もざわつき始めた時だった。

 零司は溜め息を吐き、一言だけ冷たく言い放った。

「サーラ、やれ」


 荷台で立ち上がったサーラは一度お辞儀をしてから兵士たちを睨んだ。

「何だこのガキ…は……」

 サーラの目が虹色に輝き兵士たちを威圧すると人々は動きを止めてサーラから目が離せない。

「我が主、魔王零司の名に於いて命ず。この件を忘れ、兵士は早急にこの場を離れよ」

 言語は違えどその意味が直接周囲の人々の心に響く。

「はっ!」

 兵士は槍を下げて駆け足で離れて行った。

 街の人たちも何事も無かったかの様に動き出す。

 サーラの神言は成されたのだ。


「良くやった」

零司(ご主人)様の命令でしたら喜んで」

 頼られて心が弾む様に幸せを感じているサーラ。

 その気持ちが伝わる零司も下した命令に満足している。

 それを見ている楓は中二病は神様に丁度良いのかと悩む。


「マリー、大丈夫だったか?」

「はっ!? あの人たちは?」

 気を失っていたのだろうか、周囲を見回している。

「サーラが追い払ったから安心し「さっさと進め! 後ろがつかえてんぞ!」……どこか空いてる場所まで移動してくれ」

「はいっ」



 暫く進んだ交差点は広場になっていてファーリナの中央広場よりも広くこの大きな馬車を停めても問題無いだろうと思わせる。

 しかしまだ早い時間と言う事もあり日陰で暗い感じであった。

 一旦停車を伝えると荷台の方では緊張していたのか盛大な溜め息が漏れて落ち着きを取り戻しつつある。


「驚いたわ。まさかこの指輪を見て止められるだなんて」

「その指輪だと何処かの権力者の娘とかに見られてもおかしくはないな。俺たちが偽装している服装とは釣り合いが取れてないのは不味いか……皆に渡したばかりで済まないが街に居る時は仕舞っておいてくれ」

「残念だけどその方が良いみたいね」

 女たちは指輪を名残り惜しそうに見つめた後、大切にポーチへと仕舞う。

 無限倉庫の方へと取り込む楓はもう一度深い溜め息を吐いた。


 話を終えて注意が逸れると皆それぞれに周りに目を向ける。

 広場を取り囲む大きくは無いが石像建築の建物はそこそこの芸術性を見出だす事が出来る程度だ。

 それとさっきの露店通り程では無いが幾つかの露店が出ている。

 さっきは日常生活関係が多かったが、こちらはそう言った色合いの無い嗜好品の様だ。


「レージ、あれは何?」

 そう言うマルキウは荷台で座っているかと思えば浮いていた。

「こら」

 足元は囲まれているから周りからは見え難いとは言っても、もしもの事を考えるとそれは厳禁と言えた。

 マルキウの頭を押さえてきちんと着地させる。

「何すんのよ見えないじゃない!」

 憤慨するマルキウ。

 仕方無いので子供にしか見えないマルキウを抱き上げ膝上に座らせると何故か顔を赤くして振り返った。


「子供扱いしないでよ!」

 顰めっ面で通り過ぎるだけだった周りの人々から妙な視線と微笑みで見られる。

 それに対してすら憤慨しながらも笑われるのを避ける為に黙るが、立ち上がって零司を跨ぎ向き直ると頭を両手でペチペチと叩き始めた。

「悪かった、だがこっちの方が良く見えるだろ?」

 言われて周りを見れば後ろは見えないものの前方と横は良く見える。

「しょーがないわね、許してあげるわ」

「それはどーも。それで何を見てたんだ?」

 言われて思い出したマルキウはさっき見ていた方に顔を向ける。

 隣に座るマリーの頭越しに見えるその露店は人だかりでその一角だけが騒がしかった。


「ここからだと分からないな」

「飛んで良いなら直ぐに分かるんだけど!」

 零司の首に両手を回して組み、後ろに倒れ込む様にしてグイグイと引っ張りながら抗議する。

 露店に集まった人々は何か商品を持って離れる訳でも無くただ見ている感じだ。

 そこでその露店が何なのか知る為にインフォメーションチップで表示してみると数人の奴隷を見世物にしつつ売っているらしい。


 零司はそれなりに異世界物も読んでいたし歴史上奴隷は多くの地域で存在していた事も知っているが、こうして実際に売られているのを目の当たりにするとやはり良い気分では無かった。

 そして大きいとは言えないこの都市近辺でどれだけの奴隷が居るのか調べると、表に出ている奴隷は居ないのか目立たないが住人の一割程度が奴隷だと判った。

 更に進めて売買されている最中の奴隷をカウントすると百人くらい居る。


「あれは奴隷売買だな」

 マルキウの質問に答える。

「どれいばいばい?」

「零司、それって」

 横から楓が話に入って来た。

 楓の声に他の者たちも目を向ける。

 

「人を物として売り買いしてるって事だ。多くは戦争で負けた国の人々や拐われた人たちだろうな。人として見なされず単なる道具として売られている」

「ちょっ! そんな事!」

 叫ぶ様にして目線を零司から露店に移すマルキウ。

 歴史を知る楓は仕方の無い事と割り切っている。

 楓たちにしてみれば既に過ぎた時代の残像を見ている様なものなのだから。

 それに下手に介入などして歴史に改編を加える様な真似は出来ない。

 自分達が生まれるあの時代まで世界に変化があって欲しいとは思わないのだ。

 そして同じ様に人の権利など暴力の前に蹂躙されるだけだった世界の戦の女神は特に何とも思っていなかった。

「そんな、そんな事をして良い筈がありません!」

 ラチェットはマルキウと同じ意見だ。


 しかしその話を聞いていた巫女たちとサーラには複雑な想いがあった。

 巫女たちはある意味で売られた様なものである。

 物心付く前に神待宮へと渡されてそこで自由など無いに等しい生活を送って来た。

 違いがあるとすれば少なくとも親たちは生きていて欲しいと願い神待宮へと引き渡されたのだと言う事だろう。

 サーラももしかしたら神待宮へと引き渡されていたかもしれないし、もし引き渡されていたなら母親も死なずに済んだかもしれないと複雑な気持ちで見ていた。


 零司はもう少しその露店にいる奴隷の情報を確認する。

 見ようと思ったのは単に後学の為ではあったが、そこにあったのは救いの無い地獄が待っていた。


ラナ 八歳[奴隷/元王族]致死性感染症 発症

エル 十九歳[奴隷/弓槍手]致死性感染症 潜伏期

 ・

 ・

 ・


 零司はあまり使いたくは無かったが、未来のデータベースにアクセスしてこの街の将来、歴史を閲覧する。

 しかしそこには感染症で大量死する未来は無かった。

 もう一度この街の感染者をピックアップすると今まさにあの場所で感染症が広がっている。


 『そう言う事か』

 御者席に座る零司を跨いで立ち、首に手を回しているマルキウを抱き抱えて立ち上がる。

「ちょっと!」

「楓、少しの間ここを頼む」

「行くの?」

「ああ、どうも俺が行くのが歴史的な事実になってるみたいだからな」

「分かったわ、気を付けてね零司」

「行くぞ」

「助けるの?」

「全ては無理だがな。サーラも来い」

「はいっ!」

 零司はマルキウが飛ばない様に抱えたまま馬車を飛び降りてサーラが降りるのを助ける。

 サーラと手を繋ぎ馬の前を回り込んで露店へと向かった。



「さあ、見てるだけじゃ手に入らないよ! ここに並んで居るのはさる王族の娘とその従者たちだ!」

 確かに言ってる事に間違いは無い。

 ただ、周りを見る限りその言葉を鵜呑みにしている者は居ない様だ。

 それは彼女たちの見た目が原因だろう。

 身に着けた布切れは汚れているし衰弱しきって不健康そうなその容姿は集まった見物人たちの購買意欲を削いでいる。

 不適切な言い回しではあるが分かり易く言い換えると『曇った目をした死んだ魚』を鮮魚と言って売ろうとしている様にしか見えない。

 そんな者たちが集まるこの場所には既に感染しているのは五人居て、このまま放置すればあっという間に死の街になり、ここを拠点に各地へと飛び火するだろう。

 

 子供二人を連れて最前列に割り込む変わり者を見つけた奴隷商人は一瞬目を瞬かせて自らの目を疑うが、紛れも無く女の子二人を連れているのを認めた。

「そこのお客さん、もう一人くらい夜のお供を増やしてみるのはどうかね。今なら他のもオマケで付けとくよ? うひひっ」

 マルキウが爆発しそうになっているが事前に零司から黙っていろと言われているので奴隷商人を睨み付けるだけで済ませている。

「おやおや凄い嫉妬だ、その歳でどれだけ楽しませたらそんなに懐いてくれるのか是非教えて欲しいものですなぁ、ははは」

 下卑た笑みを見せ零司を下に見る言葉に周りも笑いに釣られた。

 マルキウは我慢して睨んでいるがサーラは周囲の人たちのインフォメーションチップを確認して状況を把握し、後は零司の合図を待つだけだった。


「少し見せて貰っても良いか?」

 奴隷商人は零司に購買意欲があるのを確認すると驚いて手のひらを返した。

「元王族の姫ですが今回はお安くしておきますよ旦那。ひひっ(けほっ)」

 奴隷商人は咳を隠しているが当然この商人も感染している。

 早めに奴隷を売り払って医者に診て貰おうと言う魂胆だ。

 だがこの感染症はこの時代の医学で直せる部類のものでは無かった。


 零司はマルキウを下ろしサーラのところに遣ると、元王族の姫だと言う痩せ細って汚れた十歳に届かない様に見える少女の前に片膝を着いた。

 少女は奴隷商人から言われたのか誤魔化そうとしているが非常に苦しそうで大量の汗をかいていた。

 そして手を伸ばして容態を見ようとすると横に居た二十歳くらいに見える女性が衰弱しているとは思えない速度で素早く立ち塞がり零司を憎しみに満ちた目で睨み付ける。


「心配するな、お前たちに危害を加えたりしない。その子の病気の具合を見るだけだ」

 厳しい目付きだった表情を軟化させて笑顔を作ると彼女たち異民族の言葉で話し掛ける。

 その言葉は現地で育ったとしか思えない程にとても流暢なもので、女は異民族が喋る同郷の言葉に呆気に取られた。

 女は何かを考え気を静めると下がって少女を起こして支える。


「目を開けて……口を開けて……舌を出して……」

 手首で脈を計り、薄い布切れ一枚だけの前掛けを外して胸に耳を充てる。

 目を閉じて実際の症状(・・・・・)を確認する。

「抱き心地でも確かめてんのかい兄ちゃん、ははは!」

 殆どの見物人が一緒に笑った。

 しかし零司は気にする事無く少女の容態を確認していた。

 それは自分には医学の知識があると周囲に、特に奴隷商人に思い込ませる必要があるからだ。


「これは伝染病だな」

「なっ! なんだと、この野郎何て事言いやがんだ!」

 この言葉に逃げ出そうとする者が出て来た。

「俺なら治せる。ここにいる全員動かないでくれ」

 この言葉は全員が鵜呑みにした訳では無いが、感染症にかかったとして治る見込みは無いのだから取り合えずこの男の言う事を聞いても遅くは無いと思わせた。

「証拠にお前をこの場で治してやる」

「ほ、本当か?」

 奴隷商人は零司を真剣な目で見てさっきまでの軽口とは違い真剣に訊ねた。

「ああ、本当だ」

「た、頼む。俺はまだ死ぬ訳には行かないんだ。治るんだったらそいつらをあんたにただでやっても良い! だから頼む!」

 病気で死が確定している商品を対価に取引している自覚は無いらしい。

 だがこれを放置する訳にも行かないので取引を決めた。

「良いだろう。ただし他人には絶対に話さないと誓え」

 周囲にも目配せして確認を取る。

「良し。それなら今から準備するから誰もここを離れるな。離れる奴が居たら捕まえて縛ってくれ。どうせ治るなら痛い目に会いたくないだろう?」


 零司はまだこの世界には存在していない技法で作られたベネチアングラス風の美しい模様が入った小さなグラスを取り出した。

 その美しいグラスは人々の目を惹いた。

 そこに居る誰が見ても奴隷たち一纏めにしても比べ物にならないくらいの価値があると一目で解る美しさだったからだ。

 こんな高価な物を持ち歩く人物が言うのだから信じられると人々は思う。


 そして神酒のもも酒のボトルを取り出してグラスに少しだけ注いで自分が飲んで見せてからサーラとマルキウにも飲ませ、もう一度同じだけ注いだ。

「飲め」

 奴隷商人は零司に差し出された酒の臭いがする液体が入ったグラスを恐る恐る手に取り零司を見た。

「さっさと飲め。後がつかえてる」

 零司が飲んだのを思い出して一気にあおる。

「これは……何て美味いんだ」

 奴隷商人は涙を流さんばかりに感動していた。

 零司は感動して動かない奴隷商人からグラスを取り上げて次々と見物人たちに飲ませる。

 途中パニックに陥りそうになったがグラスを引っ込めると静かになった。


「全員飲んだな」

 零司が確認を取りサーラに合図をする。

 サーラは軽く頷くと無詠唱で回復を実行した。


「ん? 何だか急に体が軽くなったぞ?」

 症状が進行していた奴隷商人はその違いが分かったらしい。

「もう大丈夫だ。後はさっきの約束通りこの子たちは貰う、良いな?」

 零司の言葉が耳に入って無いのではないかと思うくらい奴隷商人の反応が無く、体をプルプルと振ったり発声練習の様な事をしている。

「何とも無い、どこも痛くない!」

 長年背負った古傷や故障なども完治していた。

 これを見た見物人も釣られて自分もだと一緒になって歓喜する様は、この暗い時代に周囲から見ても浮いていた。


「まさか伝染病を直すだけでなく体の不調全てを治して頂けるとは、本当にありがとうございます。これからもまだまだ働いて行けそうです。本当に心から感謝いたします」

 何度も感謝される零司はさっきの約束を果たして貰いたい。

「ではあの子達を貰っても?」

 少女たちに目を遣る零司。

「勿論でございます。あんなもので良ければ喜んでお譲りいたします。本当にありがとうございました」

 奴隷商人が健康そうに、嬉しそうにしているのを見る少女を庇った奴隷の女は零司が少女を調べたのは病気が何なのかを調べて男たちを直すのが目的だったのかと裏切られた気持ちで落胆しながら少女を抱き締めていた。


「待たせたな」

 女は今更何をと零司と目を会わせようとしない。

「今度はお前たちの番だ」

 一体何の順番だと言うのかと顔を背ける。


「んっ、んっ、んっ」

 何かを飲み込む少女に気付いて顔を少女へと向けた女が見たのは、さっきまでの苦しそうに喘ぐ様に呼吸していた少女の安らかな寝顔だった。

 それはここに至るまでに見た同胞たちがそうであった様に、病気に対して抵抗する力を失い、もう直ぐ逝ってしまう直前の様に見えた。


「貴様っ!」

 零司に掴み掛かる女に零司は口に人差し指をあて『しー』とジェスチャーして見せた。

「彼女は治った。次はお前の番だ」

 笑顔を見せるが女には通じていない。

 しかし後ろに居た他の女たちが少女を看てみれば、本当にただ安らかに眠っているだけだと告げる。

 話を聞いた女は零司を放して少女に寄る。

 女は少女を間近で良く見た。

 他の奴隷と同じく食事の少なさに痩せ細ってしまっては居るものの、それ以外には寝息も軽く問題がある様には思えなかった。


「どういう事だ……お前は何なのだ!」

 少女の無事に心から嬉しく思うが不可解な目の前の男、零司に対してどう接するべきかが判らなくなった。

「俺はお前たちの味方だ。ただ今だけはお前たちの主と言う事にしておいてくれ。その方が揉め事が無くて助かるがどうする?」

 女は本来の自分達の主である少女を救ってくれた零司を今は信用しても良いだろうと判断した。

「分かった。今はお前を信じよう」

 さっきまでの激情に駆られた反応は無くなり、息を抜いて話が出来る様になる。


「よし、それじゃこれを飲め。飲まないと病気で死ぬぞ」

 零司に促されるままにもも酒を口にする女。

 他の女も同じく口にすると身体の内側から全身に染みる様に広がる不思議な感覚を味わいどこにも異常を感じる事が無くなった。

 病気になる以前どころか今まで感じた事の無いスッキリとした透明で鋭敏な感覚に自分は助かったのだと実感する。

 しかしその反面で今までに死んで行った同胞たちが思い起こされる女たち。

 何もしてやれず、ただ苦しみ死んで行くのを見守る事しか出来なかった自分達がこうして生き残っている事に悔しさに似た何かを感じる。

 生き残ったのが自分では無く、もっと少女の役に立てる者であったならと。


「治った様だな。早速で悪いが話は後だ、直ぐに行くぞ」

 女は首肯すると少女を優しく抱き上げて零司の前に立つ。

「サーラ、馬車に乗せてやれ」

「畏まりましたご主人様」

 サーラは零司に深くお辞儀をすると女の前までやって来る。

「こちらへ」

 彼女たちの言語でその一言を伝えると向き直り馬車へと歩き出す。

 女はサーラの後を追いながらチラリと零司を見るが、その零司は最初に抱いていた少女を抱え、露店を畳み始めた奴隷商人の方を向いていた。


「確かに受け取った。だがもう奴隷商人は止めておけ」

 そう言って無限倉庫に纏めて保管してあった小粒の様々な宝石を百個程小さな革袋に入れて奴隷商人の手に握らせて渡した。

「これだけあれば仕事を選べるだろう」

 奴隷商人は手の中に何を持たされたのかは分からないがあれほどの人物が寄越す物ならと素直にありがたく受け取っている。


「本当にありがとうございました」

 馬車に向けて歩き出す零司を見送る奴隷商人と見物人たち。

 目の前で奇跡を起こした男の向かう先を見れば、そこではさっきの少女が奴隷の女たちに馬車に乗る様に誘導している。

 ただその馬車に乗っているのが、若く見た事も無い程の美しい女性ばかりだと分かると男たちの深い溜め息が漏れるのだった。


「全員準備は良いか?」

「ええ、行きましょう」

「それじゃしゅっぱーつ!」

 零司とマリーが座る馭者席の真ん中に座るご機嫌なマルキウの声で馬車は動き出した。


「これで良かったか?」

「そーね、良いんじゃない? ふふっ」

 自然に零司の左腕に抱き着くマルキウはとても気分が良かった。

うん、また増えましたね。

どこまで増えるんだろうかw

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