67.ある日の○○ ネコ
読んでくれてありがとうございます。ヽ(*´∀`*)ノ
ネコは突然存在した。
『何か良い案がないか?』
『良い案』
『この腕で抱きしめた女だけでも助けられないか』
『女を助ける』
『墜落する前にあの隕石に焼かれて死ぬのか』
『死なせない』
『ご主人様を絶対に死なせない』
一輪車は零司の相談相手に選ばれた事により自我を持ち、楓を助ける使命を与えられ、死を予感した主人を死なせない為に……何をして良いのか分からなかった。
『なんか泣きそうな声で懇願してるな。死を前に幻覚でも見ているのだろうか』
『幻覚』
『もう泣きじゃくって鼻水流してそうな声だな』
『・・・』
「ああ、もうこのまま地上に落ちて死ぬと思っていたからな。感謝してる」
『落ちて死ぬ。ご主人様を死なせない』
一輪車はその本来の特性『軽く扱える』能力を拡張し『重力を扱う』力を獲得する。
『「異世界の旅行者」、なんだそれは。異世界転移ってやつか!?』
『異世界転移』
「ところで、自己紹介が遅れましたが私、天界の観光課で案内を担当しているラチェットと言います。よろしくお願いします」
「ご丁寧に有難う御座います、わたしは森山楓です。気軽に楓と呼んで下さい」
「俺は時崎零司、零司でいい、よろしく」
『天界のラチェット。助けるのは森山楓、楓様。ご主人様は時崎零司、零司様』
「はぁ、助かった。ラチェットさん本当に有難う、貴方は命の恩人です」
『ラチェット様は命の恩人』
「確かに神の眷属、それもかなり位階の高い世界の力を感じます」
『ご主人様と楓様は位階の高い世界の神』
◻
「簡単ですがこれで椅子の創り方を終わります」
『理解した』
「猫って言うんですか~、可愛いですね」
『猫は可愛い』
「これもこちらの世界では何か特別な何かを持っているのか?俺たちの様に」
『持っています』
『一輪車が神器だと!? ……しかし神器とは言っても何の力があるのだろうか』
『一輪車は神器。ご主人様と楓様を助けられる』
「ん~、重い物を軽い力で運ぶ事が出来るみたいですね」
「「そのまんまだろ(でしょ)!」」
『真剣に聞いて損した』
『一輪車は悲しい』
「いえ、荷車としてではなく、言葉そのままの意味で、です。それともうひとつ、とても重要な事です。『これ』は意思を持っています」
『一輪車に意思があってどうするというのか』
『ご主人様のお役に立てる』
『更に昇華できれば自ら動き出すと言うのだからこの一輪車の可能性ってどんだけなんだ』
『ご主人様に求められれば何でも出来る』
「さっさと可愛い一輪車にしてちょうだい!」
「可愛いって楓、一輪車に何を求めてんだ」
『ネコは可愛いくなる』
「初めまして零司様、楓様、ラチェット様」
「えええぇぇぇ……汚れと傷だらけのまま可愛い声って、なんか不釣り合いだと思うのは私だけじゃない筈」
「わたしもそう思います!」
「これならいいでしょ」
「まあ、お前がそれでいいならいいか」
『楓様に可愛くして貰った』
「恐れ入ります楓様」
「さてと、ずっと『この子』と言うのもなんだし、名前を付けるか」
「「賛成!!」」
「それじゃ楓」
「ネコ!」
「えっ、猫ってあの椅子の動物じゃないんですか!?」
「あー、この一輪車は建築現場で『ネコ』って呼ばれてるんだよ。理由は知らないがな」
「そうね、わたしも初めて聞いたときは『どこが!』って思ったけど」
「でもでも、猫はあの…」
『猫、ネコ、ネコは可愛い』
「にゃぁ~、にゃぁ~ん」
「えっ、この世界にも猫が居るの!?」
慌てて立ち上がり周囲を探す楓、それに釣られて一緒に探すラチェット。
「楓様、ラチェット様、申し訳ありません、にゃん」
「えええええ!」
「まあ、コイツもネコで気に入ったみたいだし、名前はネコでいいな?」
「はーい」
「そんなぁ…」
「ありがとうございます、にゃん」
◻
「それでは、お二人の後ろに『居る』ネコ殿はどう言った方なのか、説明して頂けますか?」
「それはわたしがお答えしましょうにゃん。わたしはこの世界で初めて自我を持ったにゃん。自我を持ったその時、零司様にそう求められたにゃん(ぽっ) ただ、その時は意思を伝える術が無く何も出来なくて悲しかったにゃん。でもラチェット様がわたしの意思を感じて主人の零司様に伝えてくれたにゃん。それで零司様と楓様が今のわたしにしてくれたにゃん。伝えてくれたラチェット様も、綺麗な体にしてくれた楓様も、主の零司様も、とても感謝してるにゃん。みんな大好きにゃん」
□
「そういう事なら世話になろう」
「そうね、お言葉に甘えよっか。ラチェットさんと一緒に異世界旅行なんて今から楽しみだわ」
「私も連れていって欲しいにゃん」
「当たり前だ」
「もちろんよ」
「宜しくお願いしますね」
「こちらこそお願いするにゃん」
「お決まりになられたようで何よりです」
◻
「まあ、こんなもんだろ」
「零司、貴方って本当に中二病なのね」
「なんで、なんで、こんな物がいきなり出来るんですか!?
零司さんはアレなんですか、私なんか要らないんですかあ!? 酷いですぅ!」
「まあまあ、零司はアレだから私に教えてくれる?ラチェットさん」
「はいぃ、楓さん、ふたりで作りまじょうね」
「零司様、私も家を建てみたいにゃん」
「そうだな、出来るならやってみるといい。この際だお前の力を見てみたい」
「嬉しいにゃん。 早速やってみるにゃん」
『ネコは零司様の役に立つネコ。ご主人様に喜んで貰える建物を建てる。ネコもネコが知ってる建物、マンションを建てる』
「にゃぁー!」
「おおー、良くやったネコ。お前は素晴らしい一輪車だな」
「ご主人様に褒められたにゃん。とっても嬉しいにゃん!」
□
「なあ、ネコ」
「なんでしょうかにゃん?」
「お前は今のままのボディでいいのか?」
「どういうことでしょうかにゃん」
「ん? いや、俺たちみたいな体は欲しくないのかと思ってな。これから旅をする訳だしそのままでいいのか気になってな。ネコは自分で動けるみたいだし術も使えるって分かってるがどうなんだ?」
『楓様みたいに愛されたい……』
「零司様、わたしも零司様に必要とされる人の体が欲しいにゃん」
「そうか、それじゃ俺が人の姿にしてやる。あとはお前が自分で自由に形を決めて良いぞ」
「ありがとうにゃん。零司様大好きにゃん」
「大空より自由の精神を、大海より深き慈愛を、大地より優れた肉体をネコに」
『零司様に愛される体に……』
「お空は綺麗な色だったのにゃ」
「良し、基本は出来たな。後はお前の好きに体を弄って良いからな」
「ありがとうなのにゃ、早速ネコの体を御主人様の大好きな楓様と同じにするにゃ」
「あ、ちょっとまて!」
「大好きにゃ。これからはご主人様に貰ったこの体でずっとご奉仕するにゃ!」
「あ……」
「にゃ?」
「ちょっと目を離した隙に何やってんのよ! 零司の、バカァァー!!」
『零司様と一緒にゃーん』
こうして一輪車は幸せなネコになったのにゃ。
そろそろろ本編へ戻るかも?




