50.リジカーネスの情念
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ちょっと絵文字が面白くて最近使っていますが表現以外の他意はありません。
それと今回ササッと出来たので即アップします。
なぜかリジカーネスをネタにすると書き込みが早い早い。(笑)
サーラが力を失った一件はリリの登場で無事解決し、鍵の方も零司に一杯まで補充して貰ったサーラはご満悦だ。
鍵の力が空になった大規模神術の影響は今のところ判らないが、サーラが咎められる様な事も無く済んでいる。
その大規模神術も零司には届いてはいなっかった様ではあるが。
お付きたちの昼食と片付けも済んでモールは午後の部の人員と入れ替えも完了した頃。
「予定ではそろそろの筈よね?」
モールのロータリー中央にある徒歩来店用の花壇が取り巻く通路に集まった零司と楓にネコ、リリにラチェット、マルキウとサーラの七人。
「はい、お付きの方たちの話によればその筈です」
「楓さん、私が見てきましょうか?」
「放って置いても勝手に来る」
「あはは。ラチェットさん、頼んで良いかしら?」
リリの尤もな意見に乾いた笑いが出た楓は、本物の神に対して失礼が無い様に万全を期そうと、ちょっと神経質になっている。
楓も零司もネコだって神だし目の前に居るリリも神なのだが日常的に家族同然で生活しているせいか畏まった関係では無く、それ故に外からやって来る未知の神に対して自分は人間であると言う感覚から、やはり気を使ってしまう。
「それでは行って来ますね」
笑顔で飛び立つラチェットを見送り、残った者でこの後の段取りを再確認する。
いまこのモールはリジカーネスと巫女を迎え入れる為に一時的に構造変更してある。
花壇を横切る小さなロータリーを門側に設置、そこから店の入り口を通らずにスラゴーの部屋がある三階通路へ直行出来る階段を創る。
これにより門を潜って直ぐに迎え入れが出来て一般客と異なる出迎えを演出出来る様にした。
ルールミルの話から特別感を強調しておけば良いだろうと考えた物だった。
簡単に言うと無料で簡単に出来る物でクレームが発生する確率を下げられるなら安いと物と言う事だ。
それにリジカーネス一行は一週間滞在するので、その間の応対はサーラを中心としたモールのスタッフたちと楓とリリが行う事になる。
ここは『楓とリリのショッピングモール』なので、モールを見学に来るリジカーネスを迎えるのは当然『楓とリリ』この二人になるのだ。
そしてリリは兎も角、楓も一週間こちらに待機するので学校の方は休みになる。
抜けた穴は一学年の算術では今まで丸一年楓に付いて補助を担当したネコが教え、二学年の専門授業では農業組合の担当派遣に任せているので何とかなるが、リジカーネスの接待で問題があれば学校を休みにしてでも零司が助けに行くだろう。
楓もそれが解っているし、零司の負担を増やさない様にしようと考えている。
「ただ今戻りました、あと三十分と言ったところでしょうか」
「ご苦労様、それじゃ迎え入れの確認をしましょうか」
サーラは厩舎へ向かわせて、長男のバローと共にリジカーネス専用馬車の誘導を担当して貰う。
門を通過した馬車をバローが止めて、サーラが案内として御者席に乗せて貰うか行き先を指図して楓たちが迎えるロータリーへ誘導。
ロータリー中央通路で待ち構える楓とリリの前で停車した。
リジカーネスと巫女が降りたら楓とリリが進み出て挨拶を交わし、それ以外は脇役に徹する。
挨拶はテレビなどで見た国際的な重要人物の迎賓の形式で良いかと考えるが、そう言えばずらりと並ぶ人の列もあったなと思い出すが今さら間に合わないし、ラチェットに聞いてもそんな話は聞いた事がないと言うのでカットした。
挨拶が済んだら楓とリリを先頭にして直通階段を上り零司たちは横や後ろを固めて並進すれば良い。
リジカーネスのお付きたちが指定した一番奥の部屋の扉をサーラに開けて貰い、横に移動してお辞儀をしたまま待って貰う。
楓たちはそのまま中へ誘導して、部屋の説明や簡単な話などして貰い、後は彼らが落ち着くまで撤収する。
夕食はスラゴーとは別に、今回のために特別に用意した食堂があるのでそこで楓とリリ、リジカーネスと巫女で会食が設定されている。
この会食用に、楓はフルコース風に仕立てた新たなメニューを幾つも開発していた。
疲れ知らずな神の体だからと徹夜で頑張っていたのである。
もちろん館のメンバー全員がその味を確かめる為のテスターとして参加して全員のお墨付きが出ていたし、給仕としての所作などを零司がやって見せると女たち全員から黄色い声が飛んでチョップを食らうハプニングもあった。
当然チョップは給仕の仕事ではないと説明する羽目に。
当日の給仕は零司とサーラが担当する事になっている。
それと事前に確認しておいたのだが、この世界の標準的な食習慣の一日辺り二回の食事ではなく三食を望んでいるので、一回辺りの量を加減してある。
翌日以降はリジカーネスの要望に応じた予定をこなして行く事になるので未知な部分になるが臨機応変で行く。
帰りは沢山土産を持たせてやれば文句も出ないだろう。
「そんなところか? サーラにはかなり負担を掛けるがよろしく頼む。二人を支えてやって欲しい、特にリリを」
「魔王様の意地悪」
「ふふふ。大丈夫よ、私も居るんだから一緒に頑張りましょう」
みんなの笑顔で確認を締め括った。
「それじゃサーラ、頼むぞ」
「はい! 零司様!」
厩舎に向かう小さな後ろ姿は、とても頼り甲斐のある確りとした足取りだった。
「それにしてもリジカーネスってどんな人物、じゃなかった、神様なのかしら。ラチェットさんは何か知ってる?」
「え!? えーっと、何と言いますか、!普通の旅行客です」
言い淀んだ後に今思い付いたと言わんばかりの言い様であった。
「そう、なら安心かしら」
楓の思う旅行客は日本に於ける旅行客である。
転移した当時に聞いた話などすっかり忘れているのかもしれない。
そんな話を続けていると、門の向こうに一際目立つ四頭立てのキンキラな大型馬車が見えた。
「あれか」
「その様ね」
「ピカピカにゃ」
「ですねぇ」
「趣味悪いわね」
「目に良くない」
散々な言われ様である。
門を抜けバローに止められてサーラが馭者に話し掛けているのが見える。
そして馬車は水先案内のサーラを乗せる事は無いままに楓たちの前に停車した。
その馬車の後ろに着いて来た別の一回り小さな二頭立ての馬車から五人の面を被ったお付きたちが降りてくるとリジカーネス降着の準備を始める。
彼女たちは皆同じにしか見えず、一人の人間が同時に存在しているかの様であり、動きが滑らかであり、様式的であり、特異さを放っていた。
サーラはこの間にスタッフ専用通路を使い先にリジカーネスが滞在する部屋のドア前に移動している。
リジカーネス専用馬車が見えた頃からロータリー外周通路に見物人が段々と集まり増えている中、専用馬車の扉が外に居るお付きにより開かれてキャビンの中に入り何かをしている。
中に入ったお付きは巫女の降着準備を手伝っていた。
他の四人の巫女は馬車と楓たちの間に左右に別れて並び向かい合い、壁であるかの様に微動だにしない。
そしてお付きの者が後ろ歩きで出てくると、お付きに手を引かれ巫女が姿を現した事で見物人たちがどよめく。
現れた巫女は折り目正しい幾重にもなる白と青を基調とした、丈の長いドレスとも和服ともつかない清楚な衣装を着ている。
「おい、あの方はもしかして巫女様なんじゃないのか?」
「それじゃあの馬車は神が乗ってるのか?」
「それってファーリナに五人目の神が来たって事か!」
一般客に対しては知らせていなかったのでこんな話がそこら中から聞かれた。
巫女が地上に足を着け『もう一人で大丈夫』とお付きに引かれた手を下げて小さな声で礼をする。
手を引いたお付きは他のお付きと同じく並び壁になった。
そして巫女が身の幅だけ左に寄ると、遂に馬車からリジカーネスが姿を現し周囲を見渡した後に目の前に居る楓とリリを見てニヤリと笑った。
▼三十分前のリジカーネス専用馬車内
「ははっ! こうして揺れる中でするのも中々趣があって良いものだなぁ! そうだろう? はははは!」
「ああ、ああああ! そんな、もう直ぐファーリナに、あんっ!」
「気にする事は無いだろう? どうせ俺が綺麗にしてやるんだ感謝しろよ、それっ!」
「ぁぁああ!」
リジカーネスはファーリナを目の前にしてリリと楓をどうやって自分のモノにしようかと考える内に我慢が出来なくなり、巫女がリーデルの宿屋を出発する時には綺麗に化粧を済ませ衣装もお付きたちに着付けて貰って居たにも関わらず、今は裸同然でリジカーネスの玩具として弄ばれていたそんな時、馭者と護衛の声がした。
「おい、護衛の、あれは天使様か?」
「何処だ。ああ、あれか確かに天使様だな。巫女様にお知らせした方が良いだろう」
馭者席の声は筒抜けだった。
(コンコン)
「巫女様」
呼ばれた巫女はキャビンの前方にある手のひら程も無い小さな扉を開ける。
「こちらに天使様が向かっております。如何致しましょうか」
「本当にこちらへ向かっているなら馬車を停めなさい」
「はっ!」
「ちっ、興が削がれた」
キャビン内全体を浄化するリジカーネスに礼を言う巫女は、はだけた衣装を正しつつ解れが無いかを確認する。
化粧も落ちてしまったのでお付きの居ない今、一人で出来るところまではやっておかなくてはならない。
細かいアイシャドウなどのメイクは走る馬車内でする様な事では無いので後回しである。
とは言え、巫女である以上は素でも一般人とは比べるべくも無い程に美人ではあるのだが。
程無く馬車は停まり、前方上方から女性の声が聞こえた。
「協力に感謝します。私は天界の使徒、ラチェットです。この馬車は誰の物か言いなさい」
キラキラと輝き翼を広げ宙に浮く姿はまるで本物の天使の様だと言いたくなるくらいに規律と真面目に職務を果たすラチェット。
王都に案内書を送った時もこんな感じだったのだろうか。
「これは天使様、お仕事ご苦労様で御座います」
リジカーネスが居る神待宮へも天使のスポークが顔を出すのでそれなりに馴れている護衛は挨拶を入れる。
「こちらはリジカーネス様の専用馬車です。これからファーリナのショッピングモールへ向かうところです」
「分かりました。それでは私が女神楓と女神リリへ連絡しますからそのまま進みなさい」
「宜しくお願い致します」
天使が離れただろう頃合いになって護衛がノックする。
「巫女様、天使様はお帰りになられました」
「そうですか。それでは先に進みなさい」
馬車は再び進行を始める。
リリと楓の名前を聞いたリジカーネスはまたも暗い情念を燃やすのだが流石にもう時間が無いとわったのか巫女を相手にしようとは思わず、次の相手を思いながら一人、グフフとか言いながら既に自分のモノになったかの様な妄想を続けるのだった。
◻
馬車が走る音が変わり揺れも殆ど無く、平坦で硬質な地面なのが判る。
そしてさっきと同じ様に護衛がノックする。
「ファーリナの街に入りました。ご準備願います」
「分かりました」
扉を閉めてリジカーネスに向き直る巫女。
「ファーリナに入ったそうです」
「ふん、そうか。それは楽しみだ。到着が待ち遠しいな、ふははは!」
上機嫌のリジカーネスだが心ここに非ずであった。
◻
馬車が停まり、誰かと話す声が聞こえた後にゆっくりと進んで停まった。
暫くの後に扉をノックする音がした。
「巫女様、到着致しました。扉をお開けしますが宜しいでしょうか」
抑揚の無い平坦な声がする。
「ええ、ただ少し着崩れているので手伝ってくれないかしら」
「御意」
ゆっくりと開かれる扉。
外の光を仕切りカーテンで散光させているので少し眩しさを感じる。
そのカーテンを出来るだけ外から中が見えない様に開いてキャビン内に入ってくるお付きは知らん振りしているリジカーネスには目もくれずに巫女の着付け直しとメイクを手伝った。
「それでは先に巫女様から、最後にリジカーネス様に降臨して戴きたく存じます」
「うむ、それで良い」
「巫女様」
手を差し出すお付きに手を添えて、髪がキャビンに当たって崩れない様に、ハイヒールの様な履き物で転んだり階段を踏み外さない様に、ゆっくりと確かめながら馬車を降りた。
「私はこれで」
「有り難う」
次に降りてくるリジカーネスの為に巫女は左へと寄った。
『ふふふふ、はーははははは! 遂にこの時が来たぞ! 二人の女神を手に入れるなど私は何と幸運なのだろう! 思えば人間の女に手を出して主神の娘の元彼女を怒らせてしまったばかりにこんな辺鄙な世界へ来る羽目になったのだが、ここで出会うのは必然だったのだろう。やはり私はついている男だったのだ! これでやつらを見返してくれるわ、はははははは!!』
そんな事を思いながら美丈夫なリジカーネスはカーテンを押し広げ、颯爽と登場するのだった。
『見よ! この美しい私を! そして誉め称えよ! 我が名はリジカーネス、この世界で唯一、貴様たちに喜びを与える神だ!』
遂にモールへやって来たリジカーネス。
でもこの話の悪役って、ねぇ……(笑)
修正:
巫女チームはツーマンセル(二人一組)の全10人です。
先触れとして来ていた四人、巫女、お付きの長、帯同四人ですが、当初はお付き長と帯同合わせて四人でしたのでそこを修正しました。




