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100.ドーナツ作り教室 終わる

今回も開いて頂き有り難うございます。.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.


しかし今回、内容薄いのに更新間隔まで薄くするなど何事!

とか思われてしまいそう。( ̄∇ ̄*)ゞ

遅れた理由は最後にとっといて今回も楽しんで頂けたら嬉しいです。ヽ(´▽`)/

 昨日から泊まりで来ていた一組の親子はモールの見学や銭湯で入浴したりと空いた時間を有効利用してそれなりに良い土産話が出来ていたので菓子作りが終わったら早めにリーデルへ向かおうと思っていたのだが朝食の代わりにお菓子作り教室のドーナツやクッキーを腹の足しにしようとしたものの思ったほどお腹は膨らまず、このまま帰ると途中でお腹が空いてしまうとお好み焼きを持ち帰る事にする。

 楓が立つ特設ステージの直ぐ裏側にある食堂はテーブル席こそ埋まっているが昨日の様な行列も無く直ぐに注文出来た。


「お好み焼きを二つ下さい」

「お好み焼き二つですね~。それでは、あっはい、代金はこちらで。それではこちらの引換券をどうぞ~。隣で引換券と交換でお渡ししますので少々お待ち下さい~」

 お好み焼きを受け取った親子は皿に乗ったお好み焼きを受け取りカウンターの前で持参した布袋の中に仕舞い込みその場で皿を返却して来た。


 それを見ていたルールミルは訊ねる。

「お持ち帰りですか?」

 不意に話し掛けられて少し驚いた父親が何事かと目を瞬かせてルールミルを見た。

「あ、はい。用事も済んだしもう帰ろうと思うのですがお腹の方がね、ははは」

 明るく返す父親と一緒にクスクスと笑っている嫁と二人の小さな娘たち。

「そうでしたか。一応早めにお召し上がり下さいね。では帰り道お気を付けて」


 父親は昨日も受け取りで話しその時は忙しく単純で作業的な言葉だったので気付かなかったが受け取り窓口の少女の丁寧な言葉遣いに驚く。

 よくよく顔を見てみればかなりの美人で一般人とは異なる清楚な雰囲気を感じてほんの一瞬だが見惚れてしまい、嫁から肘鉄を貰い我に返ると礼を言って立ち去った。


 そのやり取りを見ていた他の客たちも帰りにお好み焼きを買って行こうとは思ったのだがお好み焼きを入れる物が無いので何か良い入れ物が無いかと考えていた。

 そこに一人の客が注文窓口に立ってイーノに相談を持ち掛けた。

「えっと僕も持ち帰りしたいんだけど皿ごと売ってくれないかな」


 今お好み焼きに使っている皿はコピーで幾らでも出せるとは言っても元は零司が作り出したそれなりに良い物である。

 回収が前提で使い回しているので今回コピーで産み出された皿も今後はここで使う予定なのだ。

「ん~、少し待って下さいね。訊いてきます」

 イーノは料理を出す為に座っているネコよりも奥の席でステージのカメラ操作をしていた零司に訊ねた。


「それならこれを使え」

 零司は目の前にあるステージ上の動きを再現したミニチュアの様な立体映像を見ながらカメラ操作をしつつ、少し思案したかと思うとピザの宅配で使う箱をその場で創り出して大量に積み上げて行く。

「ネコ、皆に組み立てて見せろ」

「わかったにゃ」


 ネコが一枚の段ボール板を取ってテーブルに置くと折り目に沿って手早く組み上げる。

「出来たのにゃ」

「「「「おお~」」」」

「ありがとうございます!」

 礼を言って窓口に戻るイーノ。


 そのあと僅かな追加料金で持ち帰り出来る様になったお好み焼きはイベントにやって来たほぼ全員が買って帰る人気商品になった。

 そのあと更に製紙関連製品と言う事で段ボールを作る為の一連の製造業が新たに立ち上げられる事になったのである。



◻大口商取引窓口


 お菓子作りの会場が盛況な賑わいを見せている昼過ぎの午後一時、商取引窓口は二日目の取引が始まった。

 昨日と同様に並ぶ馬車の列には昨日見た商人の顔がチラホラと見える。

 その商人はリーデルから買い付けに来てその日の内にリーデルへと出発して夜中に到着。

 翌日も朝からファーリナへと向かい午後の開店に間に合わせているのだ。

 軽快に走れる比較的平らな街道のお陰で一日で往復出来る距離と言う事もあり他にも結構な割合でリーデルの商人が来ている。

 初日は事前に公表してあったので遠くからも買い付けがやって来ていたがそれは商人は充分な採算が出るかを確認する為の試験的な取引だった。

 それにファーリナはリーデルとしか接していないので結局リーデルを通る事になるのでより遠くからの商人は一泊分の宿泊費と日数を節約する付加価値を付けてリーデルで買った方が安上がりと考えるだろう。

 恐らく今後はリーデルが事実上の仲買人としての立場を獲得して行く事になるのだろう。



◻午後四時 大口商取引窓口


 今日も終業前に取引が終わるとサーラは残っていた客を誘って休憩をとったのだがその中には昨日も居た隣街リーデルの中年男性が居た。

「今日も誘って頂き有り難うございます」

 男が礼を言って座ると他の商人たちも椅子に座って和やかに世間話が始まった。


「ところで魔王零司様と救済の女神楓様が御婚約なされたと言う話を耳にしたのですが」

「はい。先日リリ様の館の住人一同で出掛けた先で正式に婚約をされました」

 周囲の商人からも『おお』などと声が漏れるが男は話を続ける。

「それでは楓様以外の方々とも御婚約なされたと言うのも真実なのでしょうか?」

 商人たちは黙りこんでサーラに注目している。


 巷に流れる噂話では白亜の館に何人住んでいるのかすら曖昧であり巫女たちが含まれない話もある。

 白亜の館に出入りしている者の大まかな話しか無くルールミルの事も曖昧であった。

 商人の中ではモールで働く女性は全て零司の婚約者であると言う様な酷く大袈裟なものもあるのだがこれは女性スタッフが話していた『零司様と婚約して幸せな未来~』という(くだり)を聞き齧って曲解したものだ。

 それ以外にも現在のところ実質的にモールを管理している元同業者ダリルの娘ローゼも婚約者の一人であるとの噂が流れている。


「必要であれば零司(ご主人)様から正式な発表があると思いますが……」

 サーラは目線を外して手を口に当てて少しだけ思案する。

 このときサーラのある部分に商人たちの目が引き寄せられた。


「どこまで話して良いのかは確認してみなければ判りませんがネコ様とリリ様は御婚約されています。これは話しても問題無いでしょう」

 そう言っているサーラの左手薬指には確りと指輪があり、噂でも『薬指に指輪は婚約者の証し』と言われているので商人たちも思案したサーラの指にあった指輪を見て驚愕していたのだ。

 それでも噂は噂であり何処までが真実なのかは外から来た人間では計れない。

 折角目の前に最も信頼出来る情報を持つ白亜の館の住人が居るのだからと訊ねてみたが結果は残念なものだった。


 そして商取引窓口は昨日とほぼ同じだったが出荷数は若干減っていた。

 余った分はサーラが無限倉庫内に確保したが将来的に人間のスタッフだけでここを回した時には鮮度を保てない余剰在庫として売り物になら無くなってしまうので余剰生産分の転用商品開発を進めなければならないと考える。

 この商取引窓口が開くまでの間にも大量に発生していた余剰品がサーラの無限倉庫にストックされて初日取引数で見れば二ヶ月分程度あるのだが無限倉庫でコピーが出来るのだからストックする意味は無いのではないかと思っても生産者がきちんと収穫してくれた商品を無駄にしてしまうとそれはサーラの人としての共通認識の価値観が削られて別の生き物になってしまう気がして一つ一つ大切にしまってあるのだ。

 だがそれは使う機会があれば惜しみ無く放出する物であると認識している。




◻午後五時 終業


 ファーリナの街とモールでは既に日常の一部になった優しくも物悲しいメロディが流れる。

 モールでは閉店のアナウンスが流れると客の捌けが早い商店が真っ先に閉じ、続いて食事の終わった客から席を離れたレストランが閉じた。

 銭湯はスタッフが引き上げるが銭湯自体はそのまま開け放たれているので利用法を覚えた客が各自の責任で利用出来た。

 二階のホテルではラウンジにあるバーが開店してこちらに人が集まりつつある。


 そして今日は珍しく最高グレードのスラゴーの部屋に宿泊客が居た。

 ホテルのカウンター横を通り過ぎて三階への階段を登り部屋に向かうのは四人。

 さっきまでお菓子作り会場に居て最後の組で参加していた。

 向かった部屋の前には執事を思わせる一人の若い男が姿勢を正して立っており四人に向かって頭を下げてから扉を開け後ろに下がる。

 四人が部屋に入ると男は扉を閉めてまた同じ姿勢で立っていた。


 部屋に入った四人のうち二人は母娘である。

 娘は教室で作ったドーナツとクッキーが入ったきれいな箱をテーブルにそっと置いてから母親と一緒にソファーへ座った。

「んふふっ、救済の女神楓様は凛々しくてお優しく、とても素敵な方でした! それにお姉さまもお城に居た頃とは違った輝きで溢れてらっしゃいました。これは魔王零司様がそれだけ素晴らしい方と言う事なのでしょうか?」

「そうね、零司様はとても素晴らしい方よ。今夜のディナーはリリ様の館でご一緒しますから今から楽しみね」

「はい!」

 ソファに座っているのは母親のトリーノ、そしてルールミルと歳の離れた妹ルーミナルだ。

 他の二人はメイドでありそれぞれトリーノとルーミナルの後ろに控えている。

 この四人は王族と気取られない様に領主関係者だろうかと思う程度の装飾を極力抑えたシンプルな服を着て参加していたのだ。


 ルーミナルはテーブルの上に置いてある綺麗な箱を見て中に収められたドーナツとクッキーを父である王ホウシランが食べる瞬間を思い描き、笑顔を見せてくれるのを楽しみにしながらメイドに仕舞っておく様に頼むと母の手を引き風呂へと向かうのだった。



「お疲れさん」

「疲れた……」

 簡易宿泊施設一階の食堂スタッフルームに戻って来た楓は周りに館の住人しか居ないのを良い事に零司に正面から抱き着いたと思ったら脱力して寄り掛かり零司に甘えていた。

 正式に婚約した事もあり増え続ける住人に対して零司は自分のものだと日頃から見せつけておく事にしたのだ。

 それに零司に対して素直に求めてもきちんと受け止めてくれると判ったのも大きかったのだろう。

 予定よりも大幅に増えた客の相手で気疲れしてしまったが今は安心して思いっきり零司に甘える楓だった。

 しかしそんな楓の安らぎは後ろから嬉しそうに抱き着いて来たネコによって一時中断される。


「ネコも疲れたのにゃ~」

 もちろん実際に疲れている訳では無くふざけているだけなのだが屈託の無いネコは自分も一緒に抱き締めて欲しいと主の零司に甘えているのだ。

 そんなネコに驚いた楓だが最初から素直に零司に甘える事が出来た先輩として受け入れている。

 零司は幸せな笑顔を見せる二人を確りと抱き寄せてもう一度優しくお疲れ様と言った。

 それを間近で眺めているラナは漠然とした将来のひとつの幸せの形として自分に重ねて見ている。


 楓たちを優しく抱きながら多目的広場の状況を確認している零司はネコが担当していた注文品の提供が滞っているのは知っていたが今はこうして触れ合って居たいと思えた。


 そのとき扉が開いて風でも吹いたかの様に扉が閉まる。

「楓、御飯」

 零司の目の前、楓は肩越しにボソッと突然聞こえたその声に驚く。

「ひゃっ!」

「楓は驚き過ぎ。あー、つまづいたー、むふっ!」

 姿を現したリリは零司に抱き着く楓とネコをじっと見つめてからわざとらしく零司に横から抱き着いた。

 感情無さそうなその瞳で呆気に取られる楓を見てからニヤリと笑う。

 今朝のお返しだと言わんばかりに。


「ちょっと! ちゃんとするまで手は出さないって言ってたでしょ!?」

「そんな覚えはない。それはきっと楓の願望が生んだ夢」

 しれっと自分から宣言した事を無かった事にするリリ。


 睨みあう二人を放って置いて仕事の続きをネコに頼んだ零司は会場の片付けを始める。

 以前ならあくまでも直接見える範囲で色々な物を操作していたが今回は古代ローマ帝国領に置いていた納屋周辺を遠隔調査した時の要領でカメラを扱ったのでコピーで出した機材の片付け程度ならと無限倉庫に回収では無くその場で消去する事にした。


 広場に設置してあった機材はゆっくりと虹色に輝く小さな光の粒になり風に吹かれて舞い上がると徐々に消えて行く。

 周りにいた人々はその幻想的な光景に自然と片膝を着いて祈りの姿勢をとり静かに見入っていた。

100話目だと言うのに何の捻りもありませんでした。 orz


今回遅れた理由ですが用意している別の小説の事が頭から離れず、こちらに全く集中できなかったのが原因です。同時連載しようとは思ってないのですがこれは自分でも意外なほど引きずられてしまい大幅に遅れてしまいました。申し訳ありません。出来るだけ早めに更新出来るようにしたいと思いますが遅れたときは生暖かい目でお待ちいただけると助かります。


では次回もよろしくお願いします。


あと、原作を読んで知っていた『本好きの下克上』のアニメを見ております。最後まで読みきった作品でも次の話が楽しみです。できたら最後まで、ハッピーエンドまで見てみたいですね。

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