一つ屋根の下
初めまして、夕闇緋空です。
自分のペースでのんびり書いていく物語です。
誤字脱字等ございましたら教えていただけると嬉しいです。
暗い暗い闇の中で、僕は独り浮いていた。闇が体にまとわりつき、指1本持ち上げるのもとんでもない苦痛だ。体が重くて、どんどん沈んでいく。抗う力もでないまま、フワリフワリと落ちていく。
「…紫苑さん、起きて。紫苑さん!」
自分を呼ぶ声で目が覚めた。腕を持ち上げる。想像以上に軽く、勢い余って目の前の人の顔にぶつけた。
「いってぇ…何すんの…」
眉間にシワを寄せてる男の子の腕を掴み、引っ張って起き上がる。時計を見ると、もう正午になろうとしていた。
「おっ…お母さん!?学校は!?」
言うと同時に曜日が目に入る。Sat。…土曜日。
「紫苑さん。言うことあるよね?」
お母さんのどす黒い声が聞こえた。とても怒ってらっしゃる。
「えっ…おはよう、竜也君」
精一杯ぶりっ子したが、きっちりしっかり怒られた。
1階に下りて、リビングに入る。この家の住人が揃っている。高校生5人、中学生2人、社会人1人の謎な構成が一つ屋根の下で暮らしている。
「みんなー、おはよー」
皆と挨拶を交わし、目を合わせる。お母さん以外は笑顔だ。
…今日も変わりない。よかった。
居場所がない、訳アリの人間が集う家。紫苑さんのハーレム。主人には皆を守る義務がある。
「今日も元気そうで何よりだよー」




