出会い
薄暗い・・・ほのかに光が差しているような・・・ここは・・・?
気がついたときに私が最初に思った事はそれだった。段々と冴えてくる頭にモルブさんたちの姿がよぎる。
「っっ!!そうだ!!みんなは!?」
私はとっさに身体を起こしあたりを見回した。どうやら洞窟のようだ。いったいなぜこんな所に?きょろきょろと周りを見回すと薄暗い視界がだんだんと慣れてきたようで周りが見えてきた。
すると見えた。見えてしまった。洞窟の入り口のほうに。
とんでもなくでかい、虫がいることに。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
我を忘れて叫んでしまった。仕方が無いんです。虫は、虫だけはどうしても駄目なんですっ。
すると悲鳴で起きたのか虫がこっちに向かって歩いてきた。デカイっ。こわいっ。気持ち悪いっ!!!!私は余計に泣き叫んでしまった。多分いけないことだと思う。こういうときは刺激しないように立ち振る舞わなければいけないんだと思う。でも、今の私はそれどころじゃなかった。虫は角に何かを刺してこちらに悠々と歩いてくる。ヒィッ!!!おねがい!!あっちに行って!!!私は心の中でそう叫びながら目を瞑ってしまった。
・・・しばらくしても特にないも起きない・・・。あ、あれ・・・?
わたしはそ~ッと目を開けてみた。虫、目の前に居ました。ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!
・・・・・あ・あれ?私はびくびくしながらそちらのほうに目を向けると角に何か刺さったままこちらを向いてる虫がいる。っっ。い、いったい何がっ。
ポタッ。そんな水が滴る音が鳴った。それは虫の角に刺さった何かから落ちたみたいだ。
するとさらにズイっと迫ってきた。ひぃ!!・・・い?目の前で止まっ・・た?
・・・目の前には角に刺さった何か・・・という・・・か、あ、あれ・・?
こ、これネクタル!?うそ!?超が付く高級果物じゃ!!??
って・・・え・・?ひょっとして・・え、いや、もしかし・・・て?わ・・・私にく、くれようと・・・・して・・・る?恐る恐る手を向けてネクタルに触ってみる・・・。掴むとするっと角からネクタルが抜けた。そのまま後ろに下がる虫。こっちを見てる・・・。うぅ。やっぱこわい・・・。で、でも何もしてこない上にこれは・・・。た、食べていいのかな。そ~っと口元に持ってきてみる。虫が頷きました。
む、虫が頷きました。
むむむ、虫、虫が頷いた!?