表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そんなムシの良い話  作者: フロムディ
11/18

またいつか会う日まで

話の都合上大分短いです・・・。



人間さんを担いで羽ばたくこと数十分、森が切れはじめ街の防壁らしきものが見えてきた。


一番近いところには門もある。恐らく街道沿いに設置してあるだろう門にはたくさんの人がならんでいる。


このまんまあそこまで運ぶつもりは流石に無いので森が切れてたここいらで降ろしてあげることにした。

街が近くに見えたからなのか人間さんは双眸に一杯の涙を貯めて今にも決壊しそうだ。泣き出されても困るのでさっさと離れるとしよう。


飛び立とうとしたその時、人間さんが俺を見て何か言っている。必死に自分を指して言っている。

しかし残念なことにキンキンと鳴るだけの謎言語の為まったく以って伝わらない。ただ、それでも人間さんは伝えようと必死に口を開いて言っている。


口の動きからして多分「イーアー」みたいな事を言ってるのは解るんだがそれ以上のことはまったくわからないし、こっちも喋れるわけじゃないしね。このままやってても埒が明かないので俺は静かに飛び立った。

人間さんは落ち込んだ表情でこちらに悲しそうな顔で手を振っている。



じゃあね、人間さん。この一週間は貴方のおかげでとっても楽しかったよ。正直な話、人恋しかったのはこっちのほうかもしれない。今ならそう思うよ。


充実した、どこかちぐはぐな生活。恐らく相容れないはずの人間と魔物。その上こっちは哺乳類ですらない。そんな虫の俺に普通に接してくれた貴方のおかげで本当に楽しかったよ。



・・・おぉそうだ。最後に一緒に持ってきた不思議果実を人間さんに投げ渡す。人間さんが果実を受け取るとすんごくびっくりしてる。ふふふ、プチサプライズ成功だな。俺を楽しませてくれたささやかなお礼です。



さぁ、ねぐらに戻るとしましょう。湿っぽいのは性に合わん。明るく楽しく生きなきゃね。人間さんや、またどこかで合えると良いね。そう思いながら羽をばたつかせる。



飛び立つ瞬間に人間さんに向けて自身の体にある音を発する器官から僅かに甲高く虫っぽい、でもどこか喋ってるような音を二音乗せて。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ