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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

幼馴染はいりません!~彼の性癖を正しい方向に修正しました 編~

続きはありません。

私には、幼馴染がいます。

いわゆる、イケメンとかいう部類の。

正直なところ、モテる幼馴染なんていらない。

あるのは、常に周りの同性からの嫉妬と殺意。

そんな彼 大羽おおば樹は、私 秋峰絵梨花に執着しているらしいと知ったのは、小学六年の頃だった。

その頃、姉 万里華の読んでいたネット小説が幼馴染の大羽君をモデルにしたかのような『幼馴染がヒロインに執着する恋愛小説』だったのです。

マジで、その小説の幼馴染の思考が気持ち悪い。

よくここまで、自分の都合のいいようにしか解釈しないことができるなというくらいのお花畑思考。

いくらお花畑思考と呼ばれる人でも、ここまで酷くないと文句を言われるかもしれません。

つまりは、そういう人なのです。

姉は、その小説を読んで大羽君みたいな幼馴染だとゲラゲラ笑い転げていたのですが、私はその小説のヒロインと違ってこれ以上ないくらい幼馴染を嫌っていたので、思いっきり同情されました。

あれは、小説の中だから許せる性格だなと。

その時に、姉の部屋で見てしまったのです。

BでLな小説を。

読んだ瞬間、私の中で衝撃が走りました。

私の求めていたものは、『コレ』だと!

姉がなにやら慌てているけれど、無視してBでLな小説を読み続けました。


クラスメイトで女の子にもてる、いつも冷静な彼 倉敷恭一郎君。

なんて言うのでしょう?

彼は、あのBでLな小説の鬼畜眼鏡のような性格の片鱗がうかがえます。

それに、どこか大羽君を熱っぽい瞳で見つめているように感じるのです。

別に彼が、眼鏡をかけているから『鬼畜眼鏡のような』と言っているわけではないのですよ。


この年になると、周りの子たちが急に色づいてくるので、私自身がまだ恋愛する気はなくても他人の恋愛話に興味のある、モテる幼馴染は私の迷惑にしかなりません。

そんなある日、私の席の周りをクラスの女子たち数人が取り囲んで、「誰が好きなのか答えろ」と言ってきました。

なので馬鹿正直に、「いない」と答えました。

それにも拘らず、「嘘をつくな。本当のことを言え」と言ってきて、隣の席でそれを聞いてしまった倉敷君は苦笑気味。

それにしても、この子たちは馬鹿だなと思う。

自分の好きな人を言ってから訊くならともかく、言わないで無理やり私に言わせようとするのですから。

そもそも、好きな人はいないと正直に言っているのに、それを信用しない。

それで無理やり言わせているのに、無理やり言わされた奴が本当のことを言うと思っているのでしょうか?

なので仕方なく、「倉敷君」と答えました。

他の男の子ならともかく、彼ならきっと私が恋愛感情ありで好きでないと気付いてくれるでしょう。

それを聞いて私を周りで取り囲んで威圧してきたクラスの女子たちは、すかさず倉敷君に私を好きなのかどうかを訊いていました。

デリカシーがなさすぎですね。

クラスの男の子たちがドン引きしてますよ。

「俺も、秋峰さんが好きだよ」

と倉敷君が言うとさっきの女子たちがものすごく怖い顔をして私を睨みつけてきました。

この時、私と倉敷君とクラスの男の子たちは気持ちがきっと一つになったことでしょう。

「それなら、無理やり訊き出すな!」と。

「じゃあ、秋峰さん、よろしく(アイツらが五月蠅いから君を好きだってことにしてるんだから、勘違いするなよ)」

「はい、よろしくです(お前もな)」

というような言葉の裏にあるものを互いに理解しながら、爽やかな笑顔で会話をしていました。

後日、それを見た隣のクラスの美少女の親友 栗岸月子さんが「胡散臭すぎる笑顔の応酬が恐いわ」と言ってきた。

次の日から、大羽君が倉敷君に突っかかって、文句を言ってました。

その姿は、まるで頭の悪い駄犬がご主人様に構ってアピールをしているかのようでした。


成り行きで倉敷君と遊ぶ仲になり、本音を言い合える関係になるまで、そう時間はかかりませんでした。

そして、姉の部屋から勝手に姉の愛読本『BでLな本』とか『薄い本』を持ってきて、倉敷君に読ませようとしました。

倉敷君は、はじめは抵抗したのですが、彼の大羽君の態度を引き合いに出し、時に言葉攻めをしながら彼に本を読むように仕向けました。

そして、倉敷君は姉の愛読本を手に取って読み始めたのです。

姉は自分の部屋から勝手に愛読本を持って言ったことよりも、私が男友達にそういう本を読ますことに頭を抱えました。

姉を巻込んだ結果、倉敷君は大羽君への恋愛感情を自覚しました。

その時に姉が、「生BL、リアルBL」などと言って鼻息荒くして目を輝かせていたのは見ないことにしました。


高校生になり、倉敷君は本腰を入れて大羽君を口説きにかかりました。

軽くセクハラ行為をするときもあります。

そろそろ、避妊具を渡すべきでしょうか?

高校教師になった姉が、変質者のように鼻息荒くその光景を見ている姿にやはり私は見なかったことにした。

このためだけに教師になった姉を見て、人の欲望を舐めてはいけないなと心底思ってしまった。

両親よりも姉のことを心配した当時の高校の担任教師には、絶対に話せない事実である。

大羽君の抵抗むなしく、倉敷君にいいようにされ、なしくずしに彼の思いを受け止めてしまっているようでした。


その間、私は倉敷君に大羽君を好きだと勘違いされそうになったり、姉が倉敷君に協力して大羽君と二人きりになる状況に仕向けたりしました。



大羽君は、「倉敷に絶対好きなようにされたりしないからな―――!」と今日も学校のどこかで叫ぶ。

無駄な抵抗だから、諦めればいいのに。


この後、本格的に倉敷君が大羽君に迫ったり、姉が嬉々として学校内での密会場所を見つけて提供するのは別の話。

まさか、盗撮はしてないですよね? 姉さん。

読んでくださり、ありがとうございました。

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