雨に打たれて
他よりも高いビルの屋上に立つタナトスがいた
そこで、突っ立って何かを考えていたようだった
「これ……どう使うんだろうか……」
使い方も分からないのに倉庫から持ち出してきた物体
その手にはリングリングが握られて、くるくる回っていた
「網みたいなのもないし……」
そして、タナトスは何もわからずリングリングを振り回し始めた
しかし、なんの変化もなく何も起こらなかった
「どうしようか……」
タナトスは振り回すのをやめ、空を見つめた
雨に打たれながら
少しずつ少しずつ大きくなっていく悪鬼の塊
その頃エリスの方は座り込んでいた
「どうすればいいの……」
そして、ふと何かが浮かんだ
「本に何か書いてないかな」
そしてエリスは即行で相談所に入った
雨に濡れたのを気にせずに相談所の奥へ走った
少しばかりの本がある本棚
そこから一冊、いつの間にか手に取っていたエリス
「何か……何か……」
ページを一枚一枚めくって入念に調べていく
読んでいくと歴史書というより、誰かの日記のようだった
それでも、今のエリスとタナトスの置かれている状況について
役に立ちそうなことが書いてありそうだった
エリスは読み続けていくと何かを見つけた
そして、そこの部分を指でたどりながら読んでいく
そのページの終わりまで指が来たとき
「そっか、そうすればいいんだ」
本を閉じ、本棚に戻して相談所を出て行った
「タナトスどこに行ったのかな」
そして、タナトスを探しに走った