嵐の前の静けさ
最近の空
それは雨ばかりだった
時には小雨
時には大雨
時には霧
時には雷
止むことなく降り続く雨
空には動くことなく雨を降らす黒い雲
そんな天候が一週間続いた
そんなある日のことだった
「雨は降り続いてるのに、相談者が来ないね……全然……」
エリスのやる気のない一言
「……(コクン)」
タナトスは頷いた
「そして暇だね」
「……」
無反応のタナトス
「寝ちゃったかな」
首を横に振るタナトス
「……寝よう」
そう言って夢に入るエリス
たまにエリスの体が震えたり、いきなり動いたりした
平和と言えば平和だけど、 黒い雲と降り続いく雨が不安の塊だった
急に起き出すエリス
周りをキョロキョロ見渡し始めた
タナトスも続いて起きた
「タナトス、なんか変な音がしなかった」
首をかしげるタナトス
「なんかジリジリとかバリバリとかいう感じの音だったんだけど」
その言葉を聞いて、タナトスはエリスを凝視した
そして、外に出た
「どうしたの、タナトス」
そう言ってエリスも外にでた
タナトスが空を見上げているのでエリスも空を見上げた
激しく降ってくる大雨の中に見えたのは
黒い雲をはしる、全方向から流れる放電幕
そして・・・・・・その中心にはどす黒い雲の塊が出来上がっていた
それが徐々に大きくなっていく
放電幕はそこに流れ、どす黒い塊の中へと消えていく
「なに……あれ」
両手で雨よけをし、隙間からその現象を見たエリス
「多分、悪鬼の集合体」