現実逃避?
「良い天気だね〜」
「うん、いい天気」
エリスとタナトスは、ベランダから外を眺めている
「あ、エリス。あそこ見て」
タナトスは街中から飛び出ている時計塔を指差した
「ん?あれがどうかしたの?」
エリスは、タナトスの指先をたどりながら時計塔を眺める
「アレがさ、前の猫探しの時、猫がいた場所」
「あぁ、あの虎猫ね」
そんな話を、二里は進めている
「おーい、こっちを見てくれー」
窓に立つ久瀬さんの声
「あ、なんか、後ろから声が聞こえるね」
エリスは、時計塔を眺めながら言う
「うん、聞こえるね」
「無視かー」
さらに叫ぶ久瀬さん
そして、やっと振り向く二里
「それで、なんでこうなってるんです?」
「いや、そう急に言われても……どこから話せば……」
「じゃあ、いつからですか」
「ごく最近から」
「心当たりとかはありませんか」
「いえ、まったくありません」
その間、ずっと外を眺めているタナトス
「……楽しいですか」
「んー……結構楽しいかも。でも、気味悪く……じゃなくて」
「へー……楽しいんだ……」
そして、また外を眺めるエリス
「あ、このまま言っておけばよかった……」
「と、ふぅ」
久瀬さんは窓から降りて部屋に入った
「とりあえず、入ってきて」
エリスとタナトスは、部屋に入り
三人そろって、床に座り話をしはじめた
「それで、どこから話しましょうか」
エリスが言うと久瀬さんが続ける
「どこまで話しましたっけ」