長い待ち時間
下からマンションを見上げると、天に付いていそうだった。
見上げるエリスとタナトスを他所に
久瀬さんは自動ドアのロックを解除して、
エリスとタナトスをマンションに招き入れる。
もうひとつのドアを通り、管理人さんに挨拶して
エレベーターに乗る。
マンションの階が多すぎるためか、
普通の、自分の階を押せばいいだけのエレバーターではなく
自分の階を入力してボタンを押して動くエレベーターのようだった。
久世さんは0〜9まであるボタンの5と0のボタンを押した。
「このマンションって、何階まであるんです?」
エリスは動き出したエレベーターの待ち時間を利用して
久瀬に質問した。
「50階」
キッパリと久瀬は答えた。
「あれ?いま押した階も50階?」
「そうだよ、僕が住んでるのは景色は最高、風もただよい
鳥がたまに入ってくる最上階だよ」
自慢するように久瀬さんは言った。
「いいですねー」
話しを終えて50階に着いた。
エレベーターを降りると真っ直ぐな廊下
その廊下の真ん中には、両壁に部屋が一つずつ
少し進むと3方に分かれ道、左右対称で部屋が並ぶ。
久瀬は真っ直ぐ進み、エレベーターと突き当たりの避難扉の真ん中
その部屋の前に立ち止まった。
「ここが、僕の部屋。ちなみに言うと、この階は全て
僕の家族の部屋だから」
「ずごい・・・ですね・・・」
エリスはあんぐりしている。
タナトスはいつもの表情だ。
久瀬さんは扉を開け、エリスとタナトスを部屋に入れる。
最後に久瀬さんが入り、扉を閉める。