アイーダ姫
前話のサブタイを変更しました。
思えば、俺は全てをあいつに決められてきた。
俺はこんな金髪じゃなくてもっと地味でよくある黒髪がよかった。
俺はこんな派手なだけの剣じゃなくてもっと実用性のある剣がよかった。
俺はこんな目立つ服じゃなくて隠れやすい色の服がよかった。
作者に従って行動するのはもう懲こり懲ごりだ!!
俺は作者に反逆する!!
★★★★★
一つだけ作者に感謝しても良いことがある
それは、アイーダ姫との結婚のことだ。
彼女との出会いは、「姫をさらったドラゴンを討伐し、姫を助けてくれ」と王様に言われドラゴン討伐に行った時のことだった。まあ、話は読めたと思うが、その姫がアイーダ姫だった。と言うわけだ。
それからは、不思議なことに会う機会が多くなった。
会議、謁見、食事会、それから……何故か姫の誕生日会。「俺なんかが行っても良いのか?」と考えながら行ったものだった。
会う機会が多くなると自然と仲が良くなり、姫という立場への敬意はだんだんと淡い恋心へと変わっていった。それは、冷たく固まった氷がだんだん溶けて水になるようだった。
それを王様は見抜いたのか、東の魔王を討伐した褒美としてアイーダ姫と結婚し次の王になる権利をくれた。
だから俺は今、アイーダ姫と夫婦なわけだ。
俺がアイーダ姫と出会ったのも、俺がアイーダ姫と結婚ができたのも、台本を決めた作者のおかげだ。その点では感謝してる。
――だけど、それじゃいけないだろ?
この考えだと、アイーダ姫は俺と結婚したかったわけじゃないように見える。いや、実際そうだろう。結婚を決めたのは王様。ひいては、台本を作った作者の決めたことだ。もしかしたら、恋人がいたかもしれない。そこまでは行かなくても好きな人だっていたかもしれない。だけど、勝手に結婚相手を決められた。そして俺は姫と結婚できることを喜んだ。そう、喜んでしまった。
……正直言って過去の自分を殴り飛ばしたい。「相手の気持ちも考えて断るくらいしろよ!!」と。
「くだらない、理想論だ」と言う人もいるかもしれない。
「政略結婚なんだから当たり前だ」と言う人もいるかもしれない。
それでも俺は……理想を振りかざし、当たり前という常識を壊したかった。
……そして、それは今からでも遅くないと俺は思ってる。
だから――離婚届けを出そう。
VRゲームもの設定が中々纏まらない。
何故か、息抜きとして書き始めたのに筆が進む。