↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/18

番外編2.いつもの温度で


 今日はぼくの方が帰るのが早かった。凪紬くんは遅くなると言ってたのでぼくが夕ご飯を作る。


 冷蔵庫の中をみて牛乳がある、とか言いながら頭の中でメニューを組み立てる。

 今日はグラタンにしよう!冷凍庫にバゲットがあるし、うん。バッチリだ。


 凪紬くんが帰ってくる時間に合わせて完成させていく。

 あとはオーブンに入れるだけ。の時に玄関から声が聞こえた。



「たろちゃん。ただいま」

 パタパタの足音と共にリビングの扉が開いた。



「凪紬くんおかえり」

 グラタンを手に持ってるので、キッチンから声だけかける。


「いい匂い――」

 凪紬くんがキッチンに入ってきた。



「今日はグラタンにしたよ。凪紬くんが好きなエビとイカも入れてるよ」

「美味しいそ。楽しみ」


 凪紬くんがぼくに近寄ってきた。

 グラタンをオーブンに入れてるのをじっとみてる凪紬くん。


 オーブンに入れてグラタンを焼き始める。


「たろちゃん。ただいま」

 凪紬くんがもう一回そう言った。


 ぼくに抱きついてくる。


「うん。おかえり」

 ぼくも抱きしめ返す。


「ふふっ。これで明日も頑張れそう」

 凪紬くんがそっとぼくから離れてそう言う。


「さっ!お腹すいた。ぼく飲み物とか食器出すね」


 凪紬くんがそう言って動き出す。


 2人で準備をして、テーブルに座る。

 お互い顔を見合わせて「いただきます。」を言ってスプーンを取る。



「そう言えば、さっちゃん髪の色変わったんだね。それに長さも短くなってた」

 不意に凪紬くんがそう言った。


「さっちゃん?」

 ぼくは首を傾げた。


「うん。今日会った時髪の毛ピンクでボブだったから」

 凪紬くんがもぐもぐしながらそう言う。


「あぁ!さっちゃんはその日の服によって髪変えるの。今日のあれはウィッグだよ」

 凪紬くんに説明する。


「えっ!?そうなの?青い髪じゃないの?」

 グラタンをすくう手を止めてぼくをみてくる。


「うん。青い髪に染めてるけど、その日の服によってピンクだったり赤だったり色々だよ」


「えぇ!ぼくさっちゃん探してたのに」


 ガックリという感じで肩を落とす凪紬くん。


「そうなの?」

 初めて聞いた話に目が丸くなる。


「うん。駅でさっちゃん見てからどんな子か知りたくて探してたんだ」

 ちょっとだけ恥ずかしそうに話す凪紬くん。


 頭の中で、その言葉を反芻する。


 (あの……キョロキョロしてたのって……)


 凪紬くんの行動が今理解できた。


 嬉しくなり、ニヤニヤしてしまうぼく。


「もぉ。たろちゃんニヤニヤしすぎ」

 凪紬くんにそう言われる。


「ごめん。でも嬉しくって」

「ぼくは、ちょっと恥ずかしい」


 照れてる凪紬くん。



 スプーンを置いて、凪紬くんに話しかける。


「あのね、たろうあの時凪紬くんが背中押してくれたから、あの大学に行けたの。今楽しいのも、さっちゃんたちに出会えたのも全部凪紬くんのおかげなの」


 凪紬くんは、ぼくの顔をみながらスプーンを置いた。


「たろちゃん違うよ。たろちゃんが好きなものを諦めなくて頑張ったからだよ。たろちゃん自身が掴み取った今だよ」

 静かに、そうゆっくり言ってくれた。



「……っ。ありがとう」

 泣きそうになるのを誤魔化すように下を向く。



「これからも、たろちゃんが迷ったらぼくが背中押す。ぼくはずっとたろちゃんの隣にいるからね」

 頭の上から凪紬くんの声が聞こえる。



 顔をあげて凪紬くんをみる。


「たろうも!たろうもそうだよ!凪紬くんのそばにずっといる。凪紬くんの背中を押すのはたろうがしたい」


 凪紬くんは、ぼくを見て静かに頷いてくれた。


 そのあと、口に入れたグラタンはなんだかいつもより熱い気がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。