―― 線を引く。
美しいもの、美しくないもの。
正しいもの、正しくないもの。
世間一般に良いとされているもの。
それらが「そうでないもの」を産み落とす。
善悪美醜は、個人の主観や、快不快で判断される。そのため、どこまでを是とするかが、その人間が持つ器の形状を現す。
狭く、太い線を引く人がいる。
線を引いた直後から「その他」は全て、不快なものにラベリングされる。
不快の原因の大半は、無知や偏見にあるわけだが、彼らは「孤高」を決め込んで、自分の価値観に酔う。
人種、家柄、学歴、収入。
自分をどこに「単位」で帰属させるかで、知覚範囲が変わる。
大阪人、関西人、日本人、アジア人、地球人。
いったい、どこに置くのかで「アイデンティティ」も変わってくる。狭さと広さ。それらが、その人間の個性ともなる。
狭くてもよい部分と、広い方がカッコイイ部分。
そのへんの美意識くらいはちゃんと持って、生きたいところだ。
全部が狭い人間は、寂しい人生を生きることにもなるのだから。
出来るだけ曖昧で、透明な線を引くのが、個人的には理想か。
善悪美醜も、立場によっては、180度変わってくることだってあるからね。