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第4話 キメラ

皆さん!4話です!早速ですが、キメラは好きですか?私はいちいち説明がめんどくさいのであんまり好きじゃないです。

第4話 キメラ

「……?」

「どうした?」

緑の瞳、赤髪を低めのサイドに結んだ死神の少年、エルヴィン・ノワールが近くの草むらに目をやった。俺は、ガイスト・シュヴァル。青髪褐色の猫の獣人だ。訳あって、エルヴィンの手助けのようなものをしている。

「なんか居たような……」

「気の所為じゃないか?」

俺がそう言った時、ガサガサと草むらが揺れる。それは、逃げるかのように森の奥へと逃げていく。

「あっ!まて!」

「おい!動物かもしれないぞ!」

俺は慌ててエルヴィンを追いかける。エルヴィンと俺は揺れる草むらを追いかけ続け、気づけば、洞窟の前へと来ていた。

「この中に入っていった……?」

「そうみたいだな」

恐る恐る、洞窟の中へと足を進める。洞窟内は湿気の多い筈なのに、風が吹き抜けているのか寒さも感じた。どんどん進んでいくと、俺の足に何かが当たった。持っていたカンテラで照らしてみると、それは、……人の頭だった。

「な、なんだよ……これ……」

「ここにも……?」

エルヴィンも足を止めている。エルヴィンの足元には頭の無い体が転がっていた。1人だけじゃない。何人もの遺体が洞窟内には転がっていた。

「……ここがバレてしまいましたか」

「……!誰だ!」

しゃがれた声がして、周りを照らす。遺体の山の上に初老の男が座っていた。隣には、キメラのようななんの種族か分からない動物が座っていた。揺れる草むらの原因はこいつか。ここにいたら、確実に殺される。エルヴィンを連れて逃げようとしたが、エルヴィンはずっと初老の男を見ていた。

「…………あいつ、死神だ」

「……そうです。さすがノワール家の息子。察しの良い」

「ガイスト、村長にここの事を報告して」

エルヴィンは静かにそう告げた。

「は?戦うつもりかよ!」

俺はそうまくし立てる。エルヴィンは強く頷く。鎌を持つと俺より何歩も前に出る。戦いが始まる……その時だった。突然、エルヴィンがその場に崩れ落ちる。何かが跳ねたと思うとそれは、エルヴィンの右腕だった。鎌がその場に落ちる。金属音が洞窟内に響いた。

近くにあのキメラのような生き物が居た。口から血が滴っていたから、こいつがエルヴィンの腕を噛みちぎったんだ。

「利き腕が使えなければ死神と言えど戦えなどできない。私は次の所へ向かわせていただきますよ」

初老の男は俺とエルヴィンの横を何事も無かったかのように通り過ぎる。体は震えて動かなかった。男が消えた後、俺はすぐにエルヴィンに駆け寄った。

「大丈夫か?!」

「うぐ……っ」

腕が跳ねられたのだ。血が止血しようとしても止まらない。

ハンカチで切り口を塞ぎ、エルヴィンの腕を回収する。そして、エルヴィンに肩を貸してその場を立ち去った。血がどんどん抜けているからか、エルヴィンの動きは鈍く、顔色も悪かった。時折肩を震わせていた。血が抜ければ体は冷えてしまう。俺は自分のフード付きの羽織を脱ぐと、エルヴィンに羽織らせた。元々、エルヴィンは肩が出ている服を着ている。そもそもが寒かっただろう。

また暫く歩くと、力尽きてしまったようでその場に座り込んでしまった。その後はエルヴィンの片腕をポケットに突っ込んで、エルヴィンを背中におんぶして洞窟を出た。向かうのは勿論、アールツティンのところだ。

「アールツティン!」

「なんだよ。1日に何回もきやがっ……て……」

不機嫌そうだったアールツティンはエルヴィンの様子を見ると、目を見はった。

「そこの魔法陣の真ん中に寝かせろ!すぐに準備する!」

小柄な体を精一杯動かして、アールツティンは最速で準備を進める。俺は指示通り、エルヴィンを床に掘られた魔法陣の真ん中に横たえた。腕も近くに置く。後はアールツティンの腕を信じるのみだ。俺は部屋を出る。

「……次の所へ向かいます……か……」

次のところって一体どこの事なんだ?……あれ?あの時、あいつ、エルヴィンだけ攻撃して、俺には目のくれなかったな……まさか……

「次はクラリーセ……?」

エルヴィンの双子の妹のクラリーセ・ノワール。あの死神の男がエルヴィンしか狙わなかった。妹のクラリーセを狙っても不思議じゃない。しかも、クラリーセとは、なんの戦力も持たないただの町娘のレストワが居る。巻き込まれたら、怪我じゃすまないかもしれない。俺には勝てないかもしれない。だけど、様子を見るだけでもした方がいい。俺はアールツティンの家を出て、2人を探し始めた。

俺が目を覚ますと、不気味で湿気のある空間にあるベッドに横たわっていた。横には、茶色のくせっ毛を伸ばした猫人(びょうじん)族の医者、アールツティンが居た。俺が目を覚ましたことに気づくと、興味深げに近づいてくる。

「おっ、起きたか。死神は凄いな、あの飲み物があればすぐに回復する」

「……?シニガミジュースのことですか?」

咄嗟に答える。シニガミジュースとは、死神が飲むと傷や体調不良が早く治る変な飲み物だ。味はフルーツ牛乳を思い浮かべてくれればいい。というか……

「あー……まだ動くなよ。輸血中だ」

アールツティンの言葉を聞き、腕をよく見ると俺の左腕からチューブが伸びており、近くの点滴スタンドと繋がっていた。輸血パックが吊るされている。

「ガイストによると、お前は洞窟内で変な動物を連れた男に腕をチョッキンされたんだよな?それで大量出血して、1回死にかけたんだ。あたしが居なきゃ、お前は今頃死んでたな」

アールツティンは、椅子でくるくる回りながら言った。

「あ、あの……その洞窟の事なんですけど……実は――」

俺は、あの洞窟内でガイストと共に見た遺体の山などの事を説明した。あの遺体の山には、人間だけじゃなく、多くの獣人もいた。

「……なるほどな。実はな、最近獣人の疾走事件が多かったんだ。このせいか……」

アールツティンは頭を抱える。そして、ふと、俺に聞いてきた。

「その遺体から魂は出ていたか?魂を食べる死神には見えるんだろう?あたし達には見えない魂が」

「…………いいえ。無かったです。でも、遺体の中にはまだ暖かい者もありました」

俺は起き上がらないままそう呟くように言った。

「相手が死神なら確定で、魂の乱獲していた事になるな。実に(はなは)だしい」

アールツティンは尻尾を逆立てて言った。あぁ、どんどん死神の評価が下がっている。

「そうだ……アールツティンさん」

「……ん?なんだ」

「ガイストは……どうしたんですか?」

ガイストは、俺をここまで運んでくれた恩人でもある。しっかりお礼は言いたい。

「…………ガイストか……あいつはバカだ。死ぬかもしれない」

「……え?」

「あいつはお前の妹とその友人を探しに出ていった」

「……ねぇ…クラちゃん、さっきからなんか聞こえない?」

私の服の後ろに付いているリボンを掴みながら、レストワちゃんは呟く。確かにさっきからこの森から唸り声が聞こえてくる。

「……レストワちゃん、森の中を通って、村に行って、今の状況を村長さんに報告してくれる?」

私は振り返らないで言った。でもきっとレストワちゃんは不安そうな顔をしているんだろうな。

「……分かった。気をつけてね」

「うん。大丈夫だよ」

レストワちゃんは、脇道に逸れて、時折こっちを見ながら離れていった。

「……!」

横から影が飛びててきた。慌てて避けて木の上にジャンプで飛び乗る。影の招待はキメラのような生き物だった。ヨダレを垂らして唸り声を上げている。そして、少し構えると、キメラは私が乗っている木の上に登ってきた。私は木から降りて、小道を走る。とんでもないスピードで私の後を追いかけてくる。なんども飛びつかれ噛まれかけるけど、振り切ってまた走るを繰り返す。どうやっても、こいつは私の直ぐ後ろを追いかけてくる。……こうなったら奥の手だ……!このままだと殺されかねない!

私は高い位置まで上昇する。死神は浮遊と言う技が可能だ。体力が無くならない限り、飛び続けることが出来る。キメラは飛べないようで、ずっと私の真下でぴょんぴょんと飛んでいる。周りは高い木だらけで、動いたらそこから狙われそうだ。どうしよう、飛んだは良いけど動けない……!そうだ!私は親指と人差し指でCのような形を作って、口を加え、息を吐いた。ぴゅーと言う音が響く。これは、レストワちゃんが村長さんと仲良くなった時に教えてもらった狼呼びの笛。この音を聞いた狼が直ぐに駆けつけてくれる。ここら辺の狼は人や獣人に温厚だから、お願い……!私はなんどもなんどもぴゅー!ぴゅー!と音を鳴らす。誰か……人でもいい。気づいて……!

その時、私の真下に居たキメラが木に吹っ飛ばされるのを私は見た。吹っ飛ばした相手は、ツギハギのフードを被り、猫の耳としっぽを生やした、青髪褐色の男の子。

「ガイスト……くん!」

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