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第1話 ノワール双子

前の作品と並行して書かせて頂きます。こちらはなんか色々とあるファンタジーのお話です。

第1話 ノワール双子

「ママ……?パパ……?」

そう言って、妹が泣いている。使用人のパナが駆け寄っている。俺は立っているだけだ。目の前には、目の前には……干からびた両親が倒れていた。それが動き出して、俺の耳元で囁いた。

――どうして、助けてくれなかったの……?

「……はっ!」

……朝だ。寝巻きが汗で肌に張り付いて気持ち悪い。髪の毛も首に張り付いている。近くの机には洗濯されて洗剤の香りがただってくる妹とお揃いの普段着と髪をまとめるリボンが畳んで置かれている。この屋敷唯一の使用人のパナが置いたのだろう。………………先にシャワーかな。


シャワーを終えて普段着に着替える。真紅の髪を低めのサイドにまとめる。俺は、エルヴィン・ノワール。死神だ。

「あっ、おはよう。お兄」

部屋を出てホールに行くと俺そっくりの少女が話しかけてくる。お揃いの緑の瞳が俺を見つめている。長い真紅の髪を高めのサイドでまとめてる。服装は俺の衣装を女子ようにしただけのような感じだ。彼女は、俺の双子の妹のクラリーセ・ノワール。彼女もまた、死神である。

「おはよう。クラ。そろそろ朝食かな」

「うん。そのくらい」

その時、玄関の呼び鈴がなった。出てみると、そこには、金色の髪に紫の瞳をした小さな小さな女の子がいた。ガタガタと震えていて、体には複数の切り傷がある。あの傷……雑だし、小さいから、この辺に自生している薔薇の棘で切ってしまったんだろう。

「こんにちは。どうしたのかな」

その子に目線を合わせるためにしゃがみこむ。女の子は、小さく口を開いた。

「あの……あの、お母さんとお父さんと、はぐれ、ちゃって……ここどこか、分からなくて……」

女の子は、そう言うと、泣き出してしまった。あぁ、こういうときはどうしたら良いのだろう。

「ねぇ、クラ。パナをよ……って居ないし」

そうだった、クラは人見知りだった……

……どうしよう……

とりあえず、女の子の背中をさすってあげて、屋敷の中に招いた。庭にある温室に連れて行って、取り敢えず、紅茶を淹れてついでにクッキーも出してあげる。

「お名前は?」

「レストワ・パドーラ……」

「分かった。レストワちゃん、お父さんとお母さんと何をしに森に入ったのか聞いてもいい?」

そう聞くと、レストワはこくりと頷いて話してくれた。

「お父さんが、狩りをして、お肉を売っている人だから、今日はお母さんとお父さんのお手伝い」

成程、狩人か。今どき珍しい職業だ。

「ねぇ、お父さんとお母さんに会いたい?」

俺はそう言った。レストワは何度も頷いた。それを見た俺は、温室の外の草木に丸まって隠れていたクラを見つけ、レストワを任せた。

俺は死神だ。だから、生き物の魂を感じ取ることが出来る。死んだ生き物の魂は、暫くその場で浮遊する。そして、レストワの両親は狩人だ。狩人は動物を倒すものだろう?

「…………ビンゴ」

鎌をもって浮遊していると、魂を見つけた。その魂の近くには何かを叫んでいる男女。男女の近くに降りる。

「あっ、すみません!この辺りで金髪の可愛い女の子を見ませんでしたか!?娘なんです!」

男性の方がまくし立てるように聞いてくる。

「まぁまぁ、落ち着いてください。その子……レストワちゃん、うちで保護してるので」

俺は魂を檻に入れて、保護することになった経緯を話した。レストワの両親は静かに聞いてくれた。

「お父さん!お母さん!」

「「レストワ!」」

両親とレストワがギューと抱き合う。うんうん、再会できて良かった。

「……?クラ、何作ってるの?」

クラは何やら机で一心不乱に何かを書いていた。

「地図だよ。レストワちゃんが、ここまた来たいって言ってくれたから」

「なるほどね……あっ、これお土産」

俺は机に檻に入った魂を置いた。

「おっ、魂だ。ありがとう、お兄」

クラは、1日1個、魂を食べないといけないのだ。ちなみに俺は2週間に1個とかで十分だ。個人差があるのである。

「本当にありがとうございました」

「いやいや」

「ありがとう!お兄ちゃん!お姉ちゃん!また遊びに来るねー!」

お辞儀をする両親の隣で笑顔で手を振るレストワ。片手にはクラが書いた地図があった。

ー――8年後

「遊びに来たよー!」

「よく、毎日これるな」

扉を勢いよく開けてきたのは15歳になったレストワだ。まだ幼い顔が目立つけど。あの日以来、本当に毎日、レストワはストロベリー・ノワールにやってきた。人見知りのクラも遠慮なく話せるくらい、こいつはやってきていたのだ。まぁ、死神も結構暇だったりするので、話し相手が出来るのは悪くないが。

「というか、8年も経つのにエルヴィンとクラちゃんって全然変わんないよね」

と言って、レストワはクラの横に立ってみせる。

「しょうがないだろ。死神は、長寿な代わりに体の成長が遅いんだ。俺たちは今100歳だけど、人間年齢で言ったら、まだ10歳なんだからな」

「えっ、ちっさ」

「余計なお世話だ」

くそ……絶対にこいつの身長抜いてやる……

「お兄、そろそろ」

クラが鎌を持って俺とレストワに近づいてきた。

「……分かった。……………………レストワ、今日も着いてくるのか?」

「うん」

あっさりしてるな……まぁいいけど

「行くか、()()()

第2話は大きくお話の1章が動き始めます。明後日ぐらいには公開します

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