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党首たちの言葉

「勝利とは言えません」



 過半数を守った民権党当主の顔に、笑みはない。


 実際目標議席数は25だったのに対し22議席しか取れず、しかも戦前の議席数比が3対2であった事を思うと5分の3に当たる24議席も取れなかったのはかなり痛い。

「女性党の政策も取り入れるべきだと言う皆様のご意見を受け止めるべくこれよりも尽力いたします…」

「具体的には!」

「…」

 現町長で民権党所属の水谷町長もまた言葉少なであり、では今後はと言うメディアの追求にも三点リーダーで答える事しかできなかった。




※※※※※※




 一方、18議席を獲得し試合に負けて勝負で勝った格好になった女性党の党首は笑顔を浮かべていた。

「目標の15議席を超える事が出来てとりあえずは満足です」

「今後は」

「選挙中に述べたように民権党さんの治安維持の方針を評価しつつ、我々なりのペースでの町勢拡大を図ります」

「とりあえずは開拓事業でしょうか」

「現在は第二の女性だけの町及び、この町の町境の空白地である北地域の開拓を目指したいと思います。交渉及び買収工作にも積極的になるべきだと考えております」


 女性だけの町の拡大、それこそが女性党の政策だ。そのために職業訓練と言う事も相まって現在の低賃金労働者を育成し、彼女らの手で町を切り開く。

 そして、「第二の女性だけの町」。

 町長の暴政により壊滅したその町を立て直す事こそ第一の女性だけの町の使命であり、同じ女性として教えなければならない—————。

 これまで以上に積極的になる事が重要であると女性党はこの選挙の間言い続け、そしてそれにより勝った。それを裏切れば女性党に投票してくれた人間を裏切る事になる以上、女性党だって同様に民権党ほどではないが追い詰められる。


 民主主義とは、そういう物だ。



 いずれにしても女性だけの町の新たな道筋は、ここに決まった。

 だがもし第二の女性だけの町の失敗がなければ、女性党はこの実質的な勝利を得られたのだろうか。それは全てたらればでしかない。

 確かなのは中央区3区に中央区比例代表まで取らせる程度には女性党の政策が支持されたと言う事実だけであり、あとは何もない。


 また一番僅差であった南区比例代表はわずか92票の差しかなく、小選挙区内でも106票差と言う区まであった。その上で勝敗は決まり、それぞれがそれぞれの責任を負う。当選した者も、落選した者も。


 祭りは終わった。ハレの日は終わった。


 ケの日が、やって来るのだ。

皆さん、選挙には行くように!

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