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選挙制度大幅改変

女性だけの町シリーズの外伝的作品です。

 —————あの正道党事件から二年、女性だけの町はまた大きく変わろうとしていた。




「本日議会を解散し、総選挙を開催いたします」




 その言葉と共に万歳三唱が起き、町議会議員たちが議場を去る。


 そして議員たちは、議会に使うにしては安物と言わざるを得ない椅子を次々と自ら片付けて行く。

 役目を失う一六〇個の椅子は、これからの第二の人生をどう歩むのかを見守るのように、鈍く輝いていた。




 二〇〇人であった議員が、四〇人まで削減される。


 ようやくまともな数になったな、とか陰口をこぼす輩もいる。だが実際、女性だけの町の「民主主義」は相当に歪だった。


 元々人口二十万人の町に議員二〇〇人と言うのは過剰であり、四〇人と言うのが健全な数だ。


 だがそれは、女性だけの町の歴史的問題でもある。


 元々女性だけの町がある場所はそれこそただの山野であり、住民たちと言うか開拓者たちが一から築き上げた町である。

 現在の町是が女性たちの自立独立と言うそれである事からして町の事は町を作り上げた人間たちが自ら決めると言った意味合いが強く、議会もまたほぼ未完成の状態であった。それこそ東西南北+中央五区の代表者たちが顔を突き合わせて計画を練るような古代ギリシアのような直接民主制的な意味合いが強く、そのためどうしても数が多くなった。その分権威は小さくなり、それこそ中卒一年目の現場作業員の1.3倍にも満たない手取りしかもらえない世界がそこにあった。



 半ば直接民主制であった女性だけの町が、本来のそれというべき間接民主制に変わるにしては随分と遅すぎたかもしれないが、その流れに水を差したのがかの悪名高いJF党であり、四七%の議席を占めたJF党の暴走を穏健派と積極派で自然分化した民権党と女性党が食い止めるのに懸命であった事から議席数減少の議論は進まず、むしろ団結の力を弱めるとして論にすら上がらなかった。


 そして今回もこれまでもこれでうまく行っているのだからと言う論で反対する議員はいたが、民権・女性両党の賛成多数で押し切られた。


「それでもその際の選挙制度にて反発もあったようですが」

「これまでは相当に狭い区域により小選挙区制だったので。それこそ四ケタで当選できるような」

「それはさておき小選挙区制の残留はともかく比例代表については紛糾があったようですが」

「ええ、比例代表は各地区ではなく全町単位でやるべきとか各地区は一名だけにすべきとかありまして」




 東西南北中央区を各5区に分け、小選挙区制で二十五人の議員を選出する。


 そして残る十五人はやはり各区の中で比例代表制のドント方式を取り、3議席を争う事とする。

 今回は特別に同時改選となるが以後は小選挙区で当選した議員は四年、比例代表で当選した議員の任期は三年とされ、「総選挙」は十二年に一度の行事となった。なお町長選はこれまで通り四年間隔である。


 これが、最終決定された今回の選挙の方法だった。

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