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dolce【荒木雅美2】




「雨、ですね……」

二月十七日夜九時十分。店の引き戸を開けて呟いた。仕事中もざあざあと音がしていたので降っているんだろうなとは思っていたが、まさかこんなに土砂降りの雨だったとは。

「何それ。家まで送れって意味?」

「ち、違いますよ」

ソファーでテレビを見ている店長が私の呟きに反応する。私は違うと答えた後に、「まぁ送ってくれたらありがたいですけど」と小声で付け足した。

「夜中じゅうずっと降るって。朝にはやむかな」

店長はテレビのチャンネルを天気予報にして言う。私はそれを聞いて、灰色の絵の具を塗りたくったような空を見上げた。ついため息が出る。

「雨って気分が重くなるから嫌ですよね……」

「そう?嫌なことを洗い流してくれるって考え方ならちょっとは好きになれない?」

私は振り返って店の中を見ようとした。振り返ってから思い出したが、ここからじゃ壁で死角になって店の中は見えないのだ。私の視界には大きなカウンターとファイルがぎっしり詰まった本棚が映っただけだった。

「まぁ、僕は雨嫌いだけどね」

店長が立ち上がったのが気配でわかった。あと三歩ずれれば店の中を見渡せるが、私はそれをせずその場に立っていた。

「リッ君に一言言ってくる」

店の裏へ向かう店長の足音が消えて、私の耳にはまたざあざあと激しい雨の音が聞こえてきた。

「なんだ、結局送ってくれるんじゃん」

まぁ、わかってたけどね。




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