79 ナトラ王国への訪問
「メオ様は、ムガタがどうしてアラマンダをナトラ王国に訪ねて欲しいとガルーム第二王子が言ってくるのかわかるだろうか?」
ルートロックの懸念は、アラマンダを執拗に寄こして欲しいと言ってくるナトラ王国に向けられている。そもそも、その進言をしているのはどうやらムガタらしいとのことも。
「はっきりとはわかりませんが、ムガタは三百年前の時から私にとても興味を持っておりました」
メオは、美女の姿で胸に両手を当てて自分に関心があったのだと正直に伝える。
「ただ……夫婦となろうとして伴侶を見つける神もございますが、そういう類いでは無いと思います。私に興味を示しているのは、私の魔力が多くてレベルが高いからでしょうね。間違いなく。彼は、以前よりレベルの高い神の傍に憧れを抱いて、親密な関係になりたいという行動は見受けられていました」
「メオ様のレベルに憧れているファンのような者でしょうか?」
「ファン?」
アラマンダがメオに質問したけれど、言葉が理解できなかったルートロックがアラマンダに意味を問いただす。
(しまったわ! 森野かおりの時、日本語で説明しても意味が通じないわね。言い換えるとするなら……)
「失礼致しました。『熱狂的な支持者』という意味です、殿下」
「そうですわね。私の魔力の多さとレベルに憧れの眼差しを向ける者……でしょうね。彼は」
ルートロックも意味が理解できたようで、うんうんと納得している様子を見せている。
「メオ様のレベルに憧れて……自分自身もそうなりたいと願い……何らかの方法で魔力を増やしている……ということですね?」
「そうですわね。でも、普通の神では考えられないので、何か後ろ暗いことをして手に入れている可能性も否定はできません。だからこそ、お二人に気を付けていただきたいと考えて、神のことについて話すことにしたのです」
「メオ様、お話いただきありがとうございます」
ルートロックは、メオが打ち明けてくれたことに感謝の意を示した。
「さてと……どうするかな。ナトラ王国がアラマンダを呼んでいるのは、メオ様がアラマンダの聖獣だとわかっているから、アラマンダが来る=メオ様が来るということ意味しているのかもしれないな」
「そうですね。私がナトラ王国に呼び寄せたいがためにアラマンダを連れてくるように言っているような気もします」
メオも、ムガタの目当てが自分ではないかと思っているけれどアラマンダを引き合いに出してくることに違和感を感じている。
「ん~。これ以上、関わらない方が良い気もするなぁ」
ルートロックは、メオ様がナトラ王国に取られてしまう心配はしていないが、アラマンダを囮にメオ様を呼び出すという手法が気に食わない。いくら聖獣がいるとはいえ、アラマンダは生身の人間だから彼女を危険な目に合わすようなことはしたくない。
「メオ様、ルートロック様。ひとまず、もともとナトラ王国にお見舞いにいく手筈は整っていたはずです。一度、お見舞いに行ってそれからこちらも探りを入れてみるというのはどうでしょうか?」
アラマンダは、とりあえずシーダム王国としてお見舞いには訪問したいと考えている。アラマンダの王太子妃としての公務として、もともと予定されていたものだ。
「まぁ、お見舞いに行くのは良いとして、それでナトラ王国なのかムガタなのか何を考えているのか、少しだけ探るくらいなら……問題ないか……。今なら、我が国の復興支援員もいるしな。しかも、メオ様も当然ご一緒していただけるのでしょうし」
「そうですね。私が指輪の中で様子を見ておけばアラマンダに危険が及ぶことはありませんわ。私としても相手が何を考えているのかさっぱりわからないので、今後の為に少しでも情報が引き出せれば嬉しいです」
三人の話し合いで、ひとまずアラマンダは予定通りナトラ王国にお見舞いに行き、何か変わったことがないのかを調査してくることが決まった。




