77 ガルーム王子の護衛ムガタ
シーダム王国がナトラ王国に復興支援として医師や、土木作業員、大工など幅広い職種を送り込んでから、二か月ほど経った。
フレッドからは定期的に復興支援の進み具合や、必要と思える物資が書かれた封書が届き、それに基づいて追加で物資を輸送したりしている。
「そろそろ、疫病も収束してきたと書いてあるなぁ」
「左様でございますね」
ルートロックの手元には二通の封書が置かれている。
一通はフレッドから、もう一通はナトラ王国のガルーム第二王子からだった。
「ガルーム第二王子殿下は何とおっしゃっていますか?」
サルフは、眉間に皺を寄せているルートロックの表情を読み取って、何か問題が起こっているのだと推察していた。
「ん~。ガルーム第二王子の手紙には、是非、アラマンダに来てもらいたいと書いてある。一体、なぜアラマンダをそんなに呼ぶ必要があると言うのだ?」
ルートロックは、ナトラ王国が何かを企んでいるという可能性を未だ捨ててはいない。
ルートロックはフレッドからの届いている手紙の内容と照らし合わせてみる。
復興支援でナトラ王国に赴く前に、ガルーム第二王子がアラマンダにもナトラ王国に来て欲しいという内容の記載があったことをフレッドに伝えているので、どんな意図があってそんなことを考えたのか密かに調査するように指示を出していた。
「フレッドの説明だと、どうやらガルーム第二王子の護衛でムガタと名乗る男が共に、シーダム王国の貴族学院に来てらしいが、どうやらその者がガルーム第二王子にアラマンダに手助けしてもらったら良いのではないかと進言したようだと書かれているなぁ……」
ルートロックは、ナトラ王国から来ていた護衛の顔を思い出す。確かに体躯の良い男性がガルーム王子の後ろにいつも控えていたのは記憶に新しい。
「ムガタという男は、アラマンダの何を見てそんな提案をガルーム王子にしているんだ?」
ルートロックには心当たりがないが、アラマンダに確認してみる必要があった。
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その後、アラマンダにも執務室に足を運んでもらい、ムガタという護衛と何か特別な会話をしたのか確認してみる。
「ムガタ様ですか? 特別な会話をした記憶はございませんが……なぜでしょうね? 残念ながら、私にもわかりません。……メオ様、指輪の中から出てきていただけますか?」
アラマンダが指輪に声をかけると、美女に扮したメオが姿を現した。
(うふふふ。ルートロック殿下の前で猫のお声で話すのは、まだ抵抗があるのかしら?)
メオは、ルートロックと会話をする時はいつも人の姿になって会話をする。理由はわからないけれど、何かこだわりがあるのかもしれないとアラマンダは思っていた。
「メオ様は……ガルーム王子の傍にいらっしゃったムガタ様を覚えていらっしゃいますか?」
「ええ。もちろんですわ」
今日も白く輝く髪を耳にかけながら、メオは聞かれた質問に返事をする。
「ムガタ様に何か不審な点などございましたか?」
メオは、そこでムガタとは以前から知り合いだということを話そうか迷うが、ムガタに何か考えがあってアラマンダの名前を口にしているのか、それともメオ自身を呼びつけるためにそのような手法をとっているのかわからなかったため、どう答えるべきかしばらく悩む。
「不審な点については……わかりませんわ」
ムガタがメオに懸想しているという話もして良いのかわからないが、跪いてメオの手をとり、手の甲にキスをしていたという情報は、ルートロックもアラマンダもすでに知っている。
(どこまで話そうかにゃ~。人間でないということは伝えておいたほうがいいかにゃ)
メオは、ルートロックとアラマンダにムガタは自分と同じような神の一種であることを説明することにした。




