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74 ガルーム王子の緊急帰国

 ガルーム王子とアラマンダが学院でともに学び始めてから三週間が経った。

 あと一週間でこの留学を終えることになっている。


 そんな時、ガルーム第二王子宛てに封書が届く。

 学院に登校する前の時間帯だったが、ルートロックは火急の用件だといけないからとのことで、王城の応接室にガルーム王子に足を運んでもらい、直接手渡すことにする。


「ガルーム王子。こちらが先ほど届いた封書です」

「ありがとうございます」


 ルートロックから受け取った封書をその場で、読み始めたガルーム王子は顔を歪めた。


「ガルーム王子殿下……大丈夫ですか?」


 登校前のアラマンダも同室にいたので、青ざめたガルーム王子を見て言葉をかける。


「シーダム王国の皆様には、大変申し訳ございません。まだ講義を受けたかったのですが急ぎ祖国に帰らなければいけなくなりました」


 シーダム王国で学ぶことを楽しみにしていたガルーム王子は、帰らなければいけないと言い出した。


「もしかして、先日の大雨の影響か?」


 ルートロックも心当たりがあり、その件で呼びも出されるのかとガルーム王子に問うてみる。


「はい。ルートロック王太子殿下のお察しの通りです。先日の大雨で川が氾濫して洪水が起こったのですが……どうやら疫病も発生しているようで、対応が間に合わないから帰国するようにとのことです」


「そうですか……」


 アラマンダも、ガルーム王子とともに学習してどれほど彼が熱心に学んでいたかを知っている。

(もう少し、学びたかったでしょうに……残念ですわ)


「私は、これからすぐに出立致します。短い期間でしたが、シーダム王国の良い仕組みをたくさん学ぶことができました。お礼申し上げます」


 ガルーム王子とその後ろに控えていた護衛二名も頭を下げて、感謝の意を表してくれた。


「わかった。それでは、こちらとしても隣国として支援できるか話し合って、必要な物資があれば連絡をくれれば支援できるようにしておこう」


「ありがとうございます。本当にお世話になりました」


 ガルーム王子は護衛はシーダム王国に対するお礼を述べるを、すぐさま帰国の準備に取りかかり始め、すぐに自国に向けて出発してしまった。


 ■■■


 ナトラ王国での洪水の件は、ルートロックもアラマンダも知っていた。

 シーダム王国も洪水など人的な被害は起きなかったが、土砂災害で道が崩れたり復興するべき箇所の連絡は被災地から連絡が入っていたからだ。


「アラマンダ……ちょっといいか?」

「はい」


 ルートロックは、アラマンダに執務室に来るように指示を出す。

 アラマンダも、ナトラ王国のガルーム王子が帰国してしまえば貴族学院で補佐する必要がないため、学院に行くのをやめて、シーダム王国として取り組むべき内政の手助けをすることに回る。


 執務室の扉を閉めると、ルートロックは砕けた口調で今回の件について話を始めた。


「はぁ~。大雨が降ったし聖獣のドラゴン様に川の様子を見に行ってもらったのだが、ナトラ王国に被害が出ているとは把握していたんだ」


「そうなのですね」


 アラマンダが、貴族学院でのガルーム王子の補佐役に集中できるようにアラマンダには被害の件を報告していなかったようだ。


「ガルーム王子がシーダム王国にいる間に、国際河川の治水工事を共に行う話をもう少し詰めておきたかったのだがな……」

「ルートロック殿下。その件ですが、ナトラ王国とシーダム王国の間に流れている川がクネクネと曲がって、水の勢いで決壊しやすい場所の特定は実は、授業の合間に打ち合わせをしてすり合わせはできているのです」


 アラマンダは、洪水と治水工事の授業を共に受けながら、授業後にお互いの地図を持ち寄って被害がよく出る場所を確認して、どのようなに川の流れの向きを変更すれば良いか打ち合わせは行っていた。


「さすがに、疫病が収まってからになりますが川の流れをどう変えたら良いか、お互いの村や農村、産業を行っている位置なども確認しながら案はまとめてあります」


「ほう。さすがはアラマンダだな。この短期間で打ち合わせを進めてくれて助かる」


 ルートロックは、アラマンダの腰に手を回して、アラマンダが両手いっぱいに広げた地図を一緒に見る事にする。


「まぁ、村の位置を安全な場所に移したり多少工事は必要かもしれないが、この際、きちんと整備しておいた方がいいかもしれないな」


「そうですわね。講義では、川沿いの村は洪水になる度に床上まで水浸りになるのが当たり前とのことでした。それでも、村の集落の顔見知りがいるとそのまま危険だとわかっていても住み続けるとのことです」


「そうだろうな。村自体を安全な場所で動かさないと人はなかなか移動できないのかもしれないな。まぁ、いずれにせよ、ガルーム王子が状況を見てどんな支援が必要か連絡がくるだろう」


「そうですわね。ナトラ王国とは友好関係にございますから、鳥などを使って連絡いただいても構いませんし」


 ルートロックと、アラマンダはひとまず同じ学び舎で勉学に励んでいた、ガルーム第二王子から連絡が来るまで様子を見ることにした。



お読みいただきありがとうございます。


三月八日から四月二十日まで年度末、年度始めということもあり、更新が毎週土曜日のみになります。

更新頻度が落ちてしまい心苦しいのですが、気長にお待ちいただけますと嬉しいです。

宜しくお願い致します。<(_ _)>


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