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73 ガルーム第二王子

 西側のナトラ王国のガルーム第二王子がシーダム王国に到着したと連絡が入り、王城内と貴族学院は警備の配置換えの最終確認を行っていた。


 アラマンダも、貴族学院に先日より通い始め、とても楽しい学院生としての生活を送っている。


 アラマンダと美女に変化しているメオ様が二人並んで登校した初日は、その二人の姿を一目見ようと廊下に人が押し寄せてきたけれど、アラマンダがほほ笑みながら「勉学に集中させていただけると嬉しいです」と伝えると、その意をくみ取り押し寄せていた野次馬はすぐに引いてくれた。


 遠目から一定の距離を保って眺めたり、すれ違った際、多少の黄色い声が聞こえるくらいで、節度ある接し方にさすが貴族のご子息ご令嬢だなとアラマンダは感心していた。


 学院に通っている学院生も恐らく、実家の方から王太子妃殿下の不況を買うなと強く言われているのかもしれない。切れ者のルートロック王太子殿下を敵に回すのは、得策ではないし、ルートロックがいずれ国王陛下になった時に良い関係を築きたいと思っているようで、アラマンダの学習を妨げるようなことは一切してこなかった。


 ただ、アラマンダと共に現れた正体不明の美女は誰なのかと、そちらの方にみんな意識を持って行かれたらしい。アラマンダも社交を行っていなかったから、顔見知りは少ないけれど、ポッと出の美女への興味の方が大きかったようだ。

 メオはアラマンダのとても遠い遠戚で、一時的にアラマンダと貴族学院に通うということだけは、皆、知っているようだった。


 ガルーム第二王子との挨拶は、彼が到着した日に行っている。

 その時は、ルートロック王太子殿下とアラマンダ王太子妃殿下として応対したのだが、もちろん、王太子妃であるアラマンダもガルーム第二王子と共に、学院で学ぶことも晩餐室で食事をする時に伝えておいた。


 ■■■


「さぁ、今日からガルーム第二王子殿下と共に勉強が始まりますわね。晩餐室の時は、メオ様は指輪の中でしたものね。今日、初対面になると思いますが何卒、宜しくお願いいたします」


「もちろんよ。アラマンダを守りつつナトラ王国のお話も聞きましょうね~」


 メオは、すでに美女に変身しておりアラマンダと共に魔法陣を展開してある正門の前でガルーム第二王子の顔認証をする為に待っていた。その隣にもう一人の補佐役であるフレッド・カンタリーも立っている。


「メオ様。ガルーム第二王子とそれ以外に護衛の方が二名毎日この門を通りますので、(顔認証の登録を)宜しくお願いいたしますね」


「もちろんですわ!」


 アラマンダとメオと、もう一人の補佐役であるカンタリー公爵家の令息であるフレッド・カンタリーが傍にいるので、メオの能力について詳細を話すことは控えておいた。フレッドもまさか聖獣が、一緒の学び舎にいるとは考えてもいないだろう。


「アラマンダ様。ガルーム第二王子の馬車がもうすぐ到着致します」


 フレッドは、背筋を伸ばして遠くからこちらに向かって走ってくる馬車を見つめている。

(フレッドは、体躯が良いだけでなく視力も良いのね)


 アラマンダは、美しい所作で馬車から降りてくるガルーム第二王子を待った。


 馬車から降りてきたのは、藤色の髪を後ろで一つにまとめた、背が高くやや細身のガルーム第二王子だった。

(ご一緒に食事をした時も感じましたが、ガルーム王子殿下の所作はとても流れるようで美しいですわね。この学院の制服も……スラリと伸びた長い脚が引き立っていて、とてもよくお似合いですわ)


 彼は、アラマンダの姿を見つけるととても柔和な笑顔で挨拶をしてくれる。

 顔も肌もきめ細かく整っているので、顔だけ注目してみると女性ではないかと見紛うくらいだ。


「アラマンダ様。お待たせ致しました」

「いえ、私も先ほど到着したばかりなのです。昨晩はゆっくりと休むことができましたか?」

「えぇ。熟睡できましたよ。お気遣い痛み入ります」


 メオとフレッド、ガルーム第二王子の護衛二名の顔合わせをしますと早速、門の中央にある魔法陣の前までやってきた。

 今から、ガルーム第二王子とその護衛の二名の登録を行う必要があるのだと、晩餐室で伝えてあったのだ。


 初めて、門を通過するガルーム第二王子とその護衛二名は通過するタイミングで個人情報と顔認証が紐づけを無事に行うことができた。


「ガルーム様。無事に登録完了致しましたので、一緒に教室までご案内致します」

「アラマンダ様、ありがとうございます。宜しくお願い致します」


 学院の敷地に入ったのだからお互い敬称はつけずに、「様」だけで呼びかけることにする。


「今日から、講義が始まりますがやはりナトラ王国での被害を抑えるために治水事業をご検討されているのでしょうか? シーダム王国でも毎年のように洪水被害はありますので、私もしっかり学びたいと思っているのです」


 アラマンダは、ガルーム王子が学ぶ内容について自分も興味があるのだと示唆しておく。そうすれば、国際河川でお互い協力体制が築いていけるからだ。


「そうですね。洪水と疫病の問題に頭を悩まされているのは間違いないですね。どの方法が有効なのかと、新しい技術を学べたらいいなと思っております」


(やはり洪水の問題は、河川を挟んだ両国での問題なのね。どんな対策を取っていくべきか一緒に学びながら、決めていけたらいいかもしれないわね)


 アラマンダは、早速やる気を見せて、ガルーム王子とともに問題解決する方法を模索することにした。


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