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67 学院の下見

 アラマンダの制服が出来上がった翌日から、フレッドとともに貴族学院に通い始める。

 今日は、フレッドに学院の案内と、隣国ナトラ王国のガルーム第二王子が希望している授業内容を確認しに来た。


 貴族学院の重厚な門を抜けて、ゆっくりとなだらかな坂道を歩いて上っていく。


「入り口に門衛がおりましたけれど、不審者が制服を着て入り込む可能性はないのでしょうか?」


 アラマンダは、防犯に関してルートロック殿下が対策を施しているとは思っていたけれど、具体的にどのような対策をとられているのか全く知らない。


(私ってば毒のことばかりに興味があって、貴族学院に通うことになるとは思っていなかったから、きっと当たり前の知識も抜け落ちていそうよね……)


 アラマンダは自分自身の知識が、偏っていることを認識しているため疑問に思ったことは何でもフレッドに尋ねることにした。


 貴族学院に通う人なら知っていて当然である知識を持ち合わせていないアラマンダに、嫌な顔をすることなくフレッドは、丁寧に説明してくれる。


 フレッドはアラマンダの襟元の鎖が垂れ下がった可愛らしいけれど品のあるピンバッチを指し示す。


「制服に各自つけている学院の紋章入りピンバッチですが、この小さな魔石には生徒の個人情報が入力してあります。この門を通過するとその認証システムが作動しており、誰が何時何分に通過したのか門衛横の機械に自動記録されているので、紋章をつけていない人物が通るとアラームが起動致します。紋章をつけていない人物は門衛に止められて厳しいチェックを受けた後に通過できるようになっております」


「へぇ~そうなのね。このピンバッチは飾りではなくてとても重要な情報が入力されているのね」


「はい、アラマンダ王太子妃殿下」


 フレッドは、アラマンダの妃という身分を尊重して敬称をつけて名前を呼んでくれる。


「フレッド様。学院内ではアラマンダと呼んでいただいても宜しいでしょうか?」


 アラマンダは、学院内にできるだけ身分を持ち込みたくないと考えている。


 学院の規則にも貴族階級で高位貴族が圧力をかけて下位貴族が委縮したり、せっかくの才能が摘み取られてしまうのを防ぐために、爵位を持ち出すのは控えるようにと記載してあることは予習済みだ。


「そうですね。アラマンダ様。ご指摘ありがとうございます」

「早速、ご対応いただきありがとうございます。フレッド様」


 アラマンダは素朴だけれど実直なフレッドが、すぐに臨機応変に対応できる様子を見て「さすが公爵家ね、すぐに対応するできる術をお持ちなのだわ」と感じ入る。


「では、もう一つ質問なのだけれど……もし制服と魔石ピンバッチごと盗まれたらこの門を通過できる可能性はどうなのですか?」


「学院の規則には、魔石のピンバッチを盗まれたらすぐに届け出るようになっております。その者の魔石の情報をすぐに失効させて、門が通れないようにするためです」


「そうなのですね……」


 アラマンダはフレッドの説明を聞いて、防犯上に是正すべき抜け道があることに気が付く。


(第二王子が通われるまでに……対策が間に合うのかしら……。今日、王城に戻ったらすぐにルートロック殿下と相談した方が良さそうですわね)


 アラマンダは、今日やるべき事を脳内にメモをしていく。


「アラマンダ様。門を抜けると学院内の地図の表示がございます」

「まぁ、わかりやすくて助かります!」


 アラマンダはフレッドの案内のもと、看板に向かって歩いていく。


(季節による花々も花壇に植えられているし、とても手入れと管理されているのね。王宮の庭園とまではいかなくても、建物に入るまでに季節を感じることができる素晴らしいアプローチね!)


 アラマンダは、周囲を見渡しながら案内地図の前に辿りついた。


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