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65 貴族学院

新しい章が始まります。

「服毒して生き残った王太子妃が貴族学院に通うって本当ですか?」

どうぞ宜しくお願い致します。

 ファイ国から帰国してからしばらくは、王太子のルートロックは内政に力を入れていた。

 いずれは国王となる身である。父である国王陛下の仕事も手助けしながら、自分の意見を述べながらされに王国が良くなるためにはどうしたらいいのか、日々考えながら仕事に励んでいる。


 王太子妃のアラマンダは、ファイ国から帰ってきたからは、冷たい塔に入っていたことと、気が付かないうちに気疲れもあったようで、少しの間体調を崩していたが、聖獣のメオが治癒魔法に頼ることなく、のんびりの休養をとることで自然と元気になった。


(我がえいっと一瞬にして治してしまったら、アラマンダはまたすぐに仕事を詰め込むだろうからにゃ。自然に治すほうがゆっくりできて良いにゃ)


 メオもアラマンダには休息が必要だと感じていたようで、メオの治癒魔法は使わないほうがいいと判断していた。


 そんな周りの配慮のおかげで元気も体力も取り戻したアラマンダは、いつものようにルートロックの執務室を訪れて、一緒にソファに座り休憩をとっていた。ルートロックは飲み物を片手に、向かい合うアラマンダの顔を見て、急に入ってきた予定について話を始める。


「アラマンダ。そういえば、今度、西側のナトラ王国のガルーム第二王子がひと月ほど、このシーダム王国の貴族学院に留学に来ることになった」


 ルートロックは、思い出したかのように突然、隣国の王子が王都にある貴族学院に入学することが決まったのだとアラマンダに説明を始める。彼女が休息をとっていた期間に、持ち上がった話だからすでに入学手続きまでは準備ができている段階だった。


 アラマンダは手に持っていた飲み物をテーブルに一旦置き、ルートロックの話に耳を傾ける。


「ナトラ王国とは友好国だから、私も何回か外遊ついでにナトラ王国の学院に短い間だったが通ったことがある。お互い新しい情報を得られるし、良いところはどんどん真似していけるのがこの留学の良い点なんだ」


(確かに外国の文化に触れたり、施設を回ってお互いの素晴らしいところを取り入れていったほうが、共に成長していけそうですわね)


 留学経験のないアラマンダは、自分にも機会があれば他国の学院を見てみたいなぁとおぼろげに願望を抱く。


「そうなのですね。私は辺境伯領から王都までは遠かったので、寮に入っても良かったのですが、隣国とのトラブルや小さな抗争が多くて父のいる領地を離れることができませんでした。王都の貴族学院に通わずに家庭教師だけで得た知識ばかりなので、貴族学院がどういう場所でどういう内容の授業があるのか、恥ずかしながら無知なのでございます」


「ははははは。家庭教師だけの教えで、あれほど優れた才能があるなんて素晴らしいと思うけどな」


 ルートロックは、アラマンダの博識は本人の努力の賜物だということを十分理解している。家庭教師だけでなく、自分自身でかなり調べたり本を読まないとここまでの才能は開花しないのではないかと思っていた。


「それでだ。話は元に戻るのだが、ナトラ王国のガルーム第二王子が貴族学院に通っている間、不都合などが出てきたり、学院内でお困りになることが起こり得るかもしれないから、シーダム王国から通訳を兼ねて二人ほど貴族学院に通ってもらって、ガルーム第二王子と同じ授業を履修する者を選ぼうと思っている」


「まあ! 素晴らしいお考えですわね。確かに傍でお支えした方が柔軟にも対応できますし、何かトラブルがあったときにも迅速に対応ができて良いかもしれませんわね」


 アラマンダもルートロックの考えに両手を叩いて賛同する。

(なるべくガルーム第二王子の傍にいてすぐに応対できるようにしておかないと、王宮まで報告が上がってくるのがどうしても遅れてしまうと、不快な思いをされるかもしれない。それは、避けたほうがいいですものね)


「私自身もナトラ王国に留学に行った際に、通訳をつけてもらい、いろいろと細々とした対応してもらって助かったことが多かったから、同じように快適な学びの場を提供できればと考えている。……そこでだ」


 その言葉まで言うとルートロックは、少し悪戯な表情をアラマンダに見せて、ニヤリと笑う。


「アラマンダに……貴族学院に通って補佐役兼通訳をお願いしようと思っているのだが、どうだろうか」


 アラマンダはルートロックの提案にとても驚く。


(本当は……王都の貴族学院に通ってみたかったのですけれど……このまま王太子妃になり、学院に通う機会なんてもうないだろうと思っていましたわ。どうして私の心の中がわかったのかしら?) 

 アラマンダは、最愛の夫が自分の気持ちを汲み取って、提案してくれたことに嬉しさがこみ上げてくる。


「ありがとうございます!! ずっと……貴族学院に通ってみたかったのです! 謹んでお受けいたします!」


 アラマンダは、ルートロックの手をとり上下にブンブンと振ってどれだけ夢見ていたことかとお礼を伝える。


「よし、じゃあ。あともう一人は……誰が適任かな。ちょっと人選してみるとするか」


 アラマンダの喜ぶ笑顔が見られて、釣られて笑顔になるルートロックはもう一人の補佐役として誰を選ぶべきか早速、脳内で考え始めた。

今回は、シーダム王国の貴族学院に通うアラマンダのお話です。


もう一度(今、通っている方はすみませんっ)、学校に通うなら何を勉強したいですか? 

私は……Webのイラストと鍼灸の勉強をしてみたいです。

ちなみにシーダム王国の「シーダム」は、タイ語の「黒色」という意味です。

もしタイに行って、お買い物をするときに……黒色が欲しければ「シーダム!」と言ってみてくださいね。

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