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64 女神とイケメン従者

 再び、ドラゴンの上にルートロック、メオ、アラマンダは跨り、ファイ国を訪問した。


 ルートロックは、今回上空からメオ様が『えいっ』と豊穣の力を与えるだけの御業を自分の目で確認するためについて来ただけで、ゴタゴタの収まっていないファイ国の王城に立ち寄る予定はなかった。


「では、行くにゃ。えいっ」


 上空で、メオ様は前脚を上に挙げて、下に振り下ろす。

 すると食べつくされてしまっていた稲が瞬く間に、元の元気を取り戻して生き生きとしていく様子が確認できる。


「お~~~。さすがだなぁ」

「すごいですわ、メオ様」


「それっ」


 気分が良くなったメオは、どんどん前脚を振り下ろし辺り一面の稲や小麦畑を再生していくと、隣の村、その隣の町と空を移動しながら豊穣の力を施して行く。


 ファイ国、全域を空から周りその日はシーダム王国にとんぼ返りした。


 ■■■


 数日後。

 

 

 ファイ国から豊穣の力を与えてくださりありがとうございますというお礼が、ユイン王子から届いた。

 どうやら、寝台の上で文章を書くのは許可されたらしい。


 今回、ファイ国にアラマンダが毒餌の材料を持って滞在している間に、ルートロックが何もしなかったわけではない。

 

 アラマンダが用意しておいて欲しいという「サツマイモ」の苗を入手して、ファイ国に向かうドラゴンに持たせていたのだ。

 アラマンダは前世の森野かおりの時の記憶から、歴史上、食糧難を乗り切るためにサツマイモが植えられて生き抜いたことを思い出し、その苗がこの大陸にないのかルートロックに探してもらっていたのだ。


 そのサツマイモはこれからファイ国で育てていくことで、さらに食料不足は解消されると思われる。


 そのサツマイモの苗のお礼から始まったユイン王子の文章を読み続けていくことと、後半におかしなことが書かれていた。



 ルートロックは、この文章を読むまで、一つ大きなミスをしていることに全く気が付いていなかった。


「何々……この度は、ファイ国への多大なるご支援ありがとうございました。


 ……我が国では、先日、不思議な光景を目撃したと民が口々に述べております。


『大きなドラゴンに乗った、美しい女神が、イケメン従者と共にファイ国全土を飛び回った瞬間、農作物が命を吹き返す光景を見た』

 

という目撃情報があり、ファイ国に豊穣の女神が加護を分け与えて下さったと人々は涙を流して喜んでいるそうです……と」


「あれ?」

「ん?」


 アラマンダとルートロックは一つの重大なミスに思い至った。


「あの時、ドラゴン様、『隠ぺい魔法』をかけ忘れていたのでは……」

「私も今、気が付いた。確かに丸見えだったような気がする……」


 そして、ルートロックはアラマンダを指差した後、自分の顔に向かって指を差した。

「アラマンダが豊穣の女神で……私がイケメン従者……」


「はははははははは」

「うふふふふふふふ」


 二人は顔を見合わせてから大笑いをした。


 ドラゴンは見られてしまったが、今回、本当の豊穣の神である猫の神様、メオに誰も気が付いていないのも、それはそれで気の毒なような気がした。


 その後、指輪の中から二人が大笑いする声を聞いて、自ら飛び出してきたメオが、


「縁の下の力持ちだから……気が付かれていなくても、悔しくないにゃ……。でも、でも……我は今回、結構頑張ったのににゃーーーーーー!!!」

 と叫んだのは言うまでもない。


 こうして、無事、ファイ国の件は解決したのである。

 アラマンダはこの後、メオの好物、魚型のマドレーヌをたんまりと用意したことで、メオの機嫌はすぐに良くなった。

お読みいただきありがとうございます。


ファイ国編完結致しました。


この夫婦と聖獣のお話はまだ続きますのでお付き合いいただけますと嬉しいです。

次は、シーダム王国に隣国から王子が留学にやって来るというお話になっております。

出向いてばかりのアラマンダですが、次回は自国でゆっくりできるのでしょうか。

(ストック出しきったので、水.土曜の定期更新になります)


楽しんでいただけましたら、ブックマーク、↓の★★★★★の評価をしていただけますととても嬉しいです。

執筆の励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

<(_ _)>

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