63 豊穣の神
次の日。
アラマンダはルートロックが送ってくれたドラゴンに乗って、無事帰国することができた。
とはいえ、ドラゴンは毎日、シーダム王国とファイ国を行ったり来たりして二人の文書を運んでいたから、いつでもアラマンダが帰国しようと思えばできる状態にはあった。
「アラマンダ!!! 心配したよ。そなたの無事を直接会って確認するまで、安眠できなかったくらいだ」
「うふふふ。大げさですわね。でも、ご心配おかけ致しました」
「いや、こちらこそ大変な時に何も手助けしてあげられなくて申し訳なかったと思っているよ」
「牢屋に入ったのは……しかも、他国のですけれど、初体験でしたわ。石床で寝るのは至難の業ですわね」
アラマンダは苦労話を、笑い話に変えてルートロックに報告した。
もちろん、最後に会った時にユイン王子が食糧難で餓死者が出ているという話も伝える。
「う~ん。どうだろう。国交を結ぶのは、もう少しファイ国が落ち着いてからにしようと国王陛下に進言しようと思っている。為政者が変わるとこちらにも少なからず影響があるからな。でも、食糧難で苦しむ民には他国だけれど、手を差し伸べようと思っている。恩は売れるだけ売っておきたいしな」
「そうですわね。食糧難民が出てくると、他国へ流入してくる可能性も出てきます。このシーダム王国までやってくるとは思いませんが、価格変動の影響はこちらまで出てくると思いますわ」
「同意見だ」
「……それで、ご相談があるのですが、メオ様は猫の神様ですけれど、豊穣の神様というのはご存じでしたか?」
ルートロックは、顔を上げて自分の考えを述べる。
「実はアラマンダが、聖獣召喚の儀で猫を召喚してから、調べてみたんだ。そなたは猫の神様は「豊穣」に関わっていると理解していたから……召喚したのではないかとね」
「うふふふ。私のこと、よくおわかりになっていらっしゃいますね。そうなのです。豊穣の神様であれば民が飢えることがないと思いまして、猫の神様を召喚したかったのです」
「ということは、メオ様を連れていけば一気に食糧難の問題は解決できるのか?」
「メオ様にお聞きしたら、メオ様をお連れして『えいっ!!』とすれば一気に作物が育つそうなのです」
アラマンダもルートロックもにわかに信じがたいけれど、メオ様ができるとおっしゃっているのであれば可能なのだろう。メオ様は嘘は言わないし、元からレベル9999超えの能力を有していることはわかっていた。
「じゃあ、ここは一気にメオ様に『えいっ』とやってもらって、サクッと作物を蘇らせてもらおうか」
「そうですね、そういたしましょう」
アラマンダの指輪の中で、話を聞いていたメオは
「人使い……違ったにゃ、猫使いが荒いにゃ~」
と愚痴をこぼしながらも、それが一番手っ取り早い方法だからサッサと行って、ファイ国の土地を豊かにしてこようと思っていた。




