59 解毒薬の完成
あれから、数日が経った。
アラマンダは、今も塔の中で解毒薬を作り続けている。不眠不休に近い状態で、少しでも早く完成するように尽力している。
シーダム王国のルートロックは、すぐに迎えにくることはせず、ドラゴンが毎日、超高速移動で塔の中にいるアラマンダとルートロックに手紙を運び続けて、状況を知らせていた。
ルートロックは本当にアラマンダが危機的な状況に陥ったら、来るつもりなのだ。それまでは、アラマンダのやりたいようにさせて、必要な物や足りない物があれば支援すると申し出てくれていた。
(遠く離れていてもルートロック殿下の優しさが手にとってわかるわね)
アラマンダはルートロックの愛と懐の深さに感謝していた。普通であれば、他国の王太子妃を捕まえて牢に入れるなど、まかり間違えば戦争に発展してもおかしくない。ルートロックも前回、訪問した時にファイ国の置かれている状況は何となくわかっていたので、ファイ国の民を思って事を荒げるのは避ける努力をしていた。
「王太子妃が牢屋に入れられたって本当ですか?」と驚愕の事実を知ったサルフ宰相の小言を聞くはめにはなるが、それはいつものことだから問題ない。
「う~ん、おかしいわね。これで完成したと思うんだけど……」
その声を聞いたメオが指輪の中から顔を出した。
「にゃ。お~~~~さすがアラマンダ!! 解毒薬、完成しているにゃ」
「え? 本当にこれで解毒できますか?」
「う~ん……できるにゃ!!」
しばらく考えてからいつものように自信を持って返事をしてくれるメオ様は本当に素晴らしいとアラマンダは思っていた。
(何かの……○×測定器みたいね。100%合っている時はきちんと教えていただけるもの)
「じゃあ、どれくらいで効果が出るのか検証してみましょう!」
「アラマンダ……自分の身体で実験しなくてもいいにゃ。あのノアとかいう王子に任せたらよいにゃ」
「ん~、でも、自分の目で完成を確認したいのよね。ほんのちょこっとこのシーダム王国にない毒の耐性をつけるだけよ。ね? それからすぐに解毒薬すぐに飲むから」
メオは、猫なのに「はぁー」とため息をつく。
「わかったにゃ。ちょこっとだけにゃ」
「ありがとうございます。では!」
アラマンダは致死量に至らない、ほんのわずかな毒を口にする。
(……身体が熱くたぎるようだわ、眩暈も少しあるかしら。ふむふむ)
「メオ様。私の舌には赤い斑点が出ていますか?」
「うむ。出てきておる。さぁ、早く解毒いたせ」
「わかりましたわ」
アラマンダは、すぐに解毒薬を口に含み嚥下した。
(少し解毒には時間がかかるかしら……でも、身体のたぎるような熱さはスゥと引いていくわね)
「よし、検証終了!! 早速、ノア様にこれをお渡しして国王陛下に飲んでいただきましょう!」
■■■
その後、ノア王子からは無事、国王陛下の解毒はできたと報告がきて、アラマンダもこれで一安心だと少し眠りについた。
その後、国王陛下を弑逆の疑いで第一王子は捕らえたと報告が入った。国王陛下に毒を盛った者はすでに口封じで第一王子により殺されていたようだ。
第一王子が捕まったことにより、アラマンダは再び貴賓室をあてがわれたが、すぐにシーダム王国に帰るわけにはいかない。まだやるべき大事なことが残っている。
第五王子のユインの治療を行うためには、指輪に隠れているメオの力が必要だったから、アラマンダは衛生的な場所で静かに行いたかったのだ。
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