55 やって来たノア第三王子
「あの高さも平気なのですね」
アラマンダがポツリとつぶやくと、もう一匹のメオが答える。
「あれくらい朝飯前だにゃ」
アラマンダは、クスリと笑う。
「本当に、そっくりなのですね」
「我もメオだからにゃ」
アラマンダは前世の忍者を思い出した。
(何ていったかしら……忍者が同じ身体を分裂させる術がありましたわよね……えっと……『分身の術』!!)
前世の記憶なのに、忘れずに思い出せたことが何となく嬉しい。
アラマンダはユイン第五王子の無事を願い、これから起こり得る悪いシナリオのシュミレーションを行ったいた。
どれくらい時間がたったのだろう。
小窓から差し込む太陽光の影の位置からすると昼過ぎくらいなのかもしれない。
アラマンダの塔の扉がガチャガチャと音がしたので、もう一匹のメオも指輪にスッと入ってしまった。
「すみません。失礼致します」
初めて顔を合わす男性が扉部分に立っていた。緑の髪に眼鏡をかけた、細身の男性だ。
(私を殺しにきたわけでは……なさそうね)
「私の名はノアと申します。第三王子です」
「私、シーダム王国の王太子妃、アラマンダと申します」
アラマンダは、美しいカーテシーで挨拶をする。
「アラマンダ王太子妃殿下。兄が申し訳ございません。実はご相談したいことがございまして、兄に気づかれないようにこっそり伺いました」
(この人は国王陛下の味方なのかしら。ユイン王子との関係も探らないと敵か味方か今の段階ではわからないわ)
アラマンダは、とりあえず会話をしてみて、このノア第三王子の目的を探ることにした。
「実は、国王陛下が毒を飲んでしまったようなのですが、解毒薬がわかりません。何かお知恵をいただくことはできませんか?」
(この方は……国王陛下を亡き者にしようとはしていないようね……。先ほど”兄がすみません”とおっしゃっていたのだから、私を牢に入れる時に来ていた王子は第一王子か第二王子ということになりますね)
アラマンダは、会話を続けながら、誰が国王陛下やユイン王子の味方で、誰が敵なのか会話の中の単語で読み取っていく。
「あのう、ご協力したいのはもちろんなのですが、国王陛下にお会いして直接診察することは可能でしょうか?」
「……それは、残念ながらできません。兄の手配した衛兵が国王陛下の部屋の前にいるので、私も入室できずにいるのです。毒を飲んでからの症状は、医師に詳細を教えていただきました」
(ん~。直接お会いする方が毒の特定が早いけれど、医師の方が診察した症状が細かくかかれていれば、何の毒かある程度特定できるかもしれないわね)
「わかりました。では、その医師の診断書を拝見しても宜しいでしょうか」
「えぇ……こちらになります」
アラマンダは、ファイ国の言葉で綴られた診断書をゆっくり目で追っていく。
(この大陸の全ての言語を学んでおいて良かったわ。これも幼少期からルートロック殿下をお支えするために身に着けて学習して成果だけれど、今、こうして役にたっている)
アラマンダは、診断書に目を通していると気になる記述を見つける。
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