51 ユイン王子
「メオ様は指輪の中にいても、こちらの会話などは聞こえているのでしょうか?」
「にゃ。意識をすれば聞こえるにゃ。ぽけ~とくつろいでいると聞こえてこないにゃ」
「そうなのですね。メオ様は、ファイ国のユイン王子についてどう思われましたか?」
アラマンダは、先ほどルートロックと話していたこの蝗害の対応で一生懸命に収束させようと努力しているユイン王子の顔を思い出す。
(すごく聡い方なのでしょうけれど……周りに味方がいらっしゃらないのか、瞳の奥を見ると……なぜだか危なっかしく感じるのよね)
特にこれだという決定的な物はないのだが、なぜかあまり幸せそうな感じは……正直しなかった。
「ん~。赤い目の王子だから……忌避されていると思うにゃ。国によっては瞳が血を連想させるからと、生まれてすぐに殺されてしまう場合も多いにゃ。ユインは、王族だから生かされているだけなのかもしれないにゃ」
アラマンダはシーダム王国にいたころを思い出す。確かに赤い目をした人を見たことはあるけれど、それほど多くないし、みんな顔が隠れるようなフードをかぶっていた。外見で判断するのは良くないけれど、何もしていなくても見た目だけで怖がられてしまう存在なのかもしれない。
「メオ様。私は、信頼しても良いお方だと思ったのですが、メオ様はどうですか?」
「にゃ? 信用して大丈夫だと思うにゃ。彼は隠していたけれど、ものすごく強いと思うにゃ。まぁ、我の足元には到底及ばないが、腕は良いと思うにゃ」
(街中で会った時は、騎士服をお召しになっていたから、ひょっとしたら普段は騎士として街の安全にも尽力していらっしゃる王子なのかもしれないわね)
「明日、ルートロック殿下と私は一度、シーダム王国へ戻り、私は毒餌の材料を用意してまたファイ国に来る予定にしております」
「うむ、それでいいと思うにゃ」
メオとの意見交換も終わった、次の日。
シーダム王国に帰る二人の前に、捕まえたババタをユイン王子がどういう虫なのか、持ってきて見せてくれる。
昨日、アラマンダが見た事がないから見せて欲しいとお願いしていたから、夜の間に捕獲してくれたのだろう。
(う~~~~。予想以上に大きかったわ。日本のバッタの十倍くらいの大きさがあるわね)
「ユイン様。ババタを見せて下さりありがとうございます。……私の思っていた物と姿は同じですが、大きさはかなり大きくて、驚きました。これが大量発生して蝗害が出ているのでしたら、そのままにしておくのは大変危険ですわ。早急に毒の材料を持って参りますので、数日お待ちいただけますか?」
「それは助かります。私も空から殺虫剤が散布できるよう、浮遊魔法を扱える者を集めておきます」
「本当に、大きなババタだな。シーダム王国でもこの大きさのババタは見たことがないな」
ルートロックもアラマンダと同意見で、これを早く駆除しないと食糧難がどんどん加速すると考えているようだった。
「でも、昨日、教えていただいた通りに日が暮れてから灯火を焚いてみたら、どんどんババタが寄ってきましたので、とても駆除しやすかったです」
ユイン王子はあの後、すぐに松明を焚いて、灯火が駆除に効果があるのか調べてくれていた。
(やはり……ユイン様は行動力も、柔軟に対応する能力をお持ちの方なんだわ……)
アラマンダは、提案した内容をすぐに検証してくれたユイン王子にお礼を述べる。
「では、ユイン殿。我は帰国するがアラマンダがまたこの地に戻る故、しばしお待ち下さい。駆除の目途が付きましたら、食料の支援も検討して追って沙汰しよう」
「それは、どうもありがとうございます!」
ルートロックとアラマンダは、ユイン王子に別れを告げると、来た時と同じ城が見える丘まで行き、そこでドラゴンを出してから帰路についた。
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