50 支援の決断
「無事に方向性が見いだせたようで良かったな」
「そうですわね」
貴賓室のソファでくつろいでいたルートロックとアラマンダは、今日の話し合いについて思い出していた。
「これで、無事シーダム王国へ明日帰ることができそうだな」
「そうですわね。ユイン第五王子にすぐにお会いできたのは良かったですね。でも、明日シーダム王国へ帰ったら、私、すぐに毒餌の材料を用意しないといけませんね」
アラマンダは、シーダム王国の虫に効果の高い毒をいくつか頭に思い描いている。
(ポイントは、虫には毒になる物で、人間には害のない毒を選ぶ必要があるということよね)
「そうだな。毒餌の材料と……殺虫剤の材料も念の為用意して……もう一度アラマンダにファイ国に足を運んでもらうのが良さそうだ。それで、うまくババタの件が解決したら、国交を結ぶかどうかお互い検討してみても良いかもしれないな」
「そうですわね。……でも、第一王子などではなくて、どうして第五王子のユイン様がこの件に携わっているのでしょうか?」
「ん~。想像の域を出ないが、第一王子や第二王子がこの件が失敗すると無能と見做されて、後継者に相応しくないと民に思われるのを嫌って、第五王子あたりに押し付けたんじゃないか?」
「確かに、あり得そうですわね。この問題を自国内だけで治めるのは難しいと思いますもの」
アラマンダは、前世で蝗害が発生した場合、食料を求めてバッタが他の国に飛翔して移動したことで、被害が拡大して行ったことを知っている。対応が遅れれば遅れるほど、被害が拡大して近隣諸国にも迷惑がかかるのは目に見えている。
「それは、私も思っている。ここでシーダム王国がファイ国を支援して恩を売っておくのも大事だが、それよりも駆除に協力しておかなければ、ババタは飛翔して移動できるから近隣諸国にも同様の被害が出てくるだろう。そうなると、いずれ我が国にも何かしらの影響が出てくるかもしれないからな」
アラマンダとルートロックの考えは一致していた。ファイ国に手を差し伸べて、早めに収束に至ったほうが良いと。
その時。
扉をノックする音と、廊下からユイン王子が手配してくれた執事の声が聞こえた。
「お休みのところ失礼いたします。湯浴みの準備が整いました」
「わかった。ありがとう」
「殿下、どうぞお湯が冷めないうちに行ってらっしゃいませ。私はその間にメオ様をお呼びして、リラックスしていただこうと思っております。」
「では、遠慮なく先にいただこう」
ルートロックが浴室に向かうのを見届けてから、アラマンダは指輪から聖獣の猫であるメオを呼び出す。
「メオ様~。出てきて、どうぞお寛ぎ下さいませ」
「にゃ~~~~~~~~~~~~」
「遅くなって申し訳ございません。指輪の中は……快適ではなさそうですね」
「いや、快適ではあるのだが……退屈にゃ」
メオは自由気ままな猫の聖獣なのだから、自由奔放に動き回れる方がやはりいいらしい。




