45 聖獣ドラゴンへの指導
服毒して生き残ったことで王太子妃になったアラマンダと、その夫であるルートロック王太子は、国交のないファイ国から助けて欲しいと文書を受け取り、その真偽を確認するためデートと称して夫婦二人と聖獣二匹でファイ国に向かうことになった。
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出立する日。
ルートロックは宰相であるサルフに不在の間の仕事内容を確認している。
ルートロック王太子の父である国王も健在で、シーダム王国の宰相は一人だけではなく四人体制なので、サルフが過労で倒れることもないだろうとルートロックは考えていた。
(数日ですぐに帰ってくるつもりだから、それほどサルフの負担にはならないはずだ)
「では、そろそろ行こうか、アラマンダ」
「ええ」
王太子のルートロックは城の屋上で指輪の中にいるドラゴンに声をかけて呼ぶと、スーと座って翼を閉じたままのドラゴンが姿を現した。
アラマンダの足元にいた純白のフサフサの毛の猫の聖獣、メオはドラゴンが出てきた瞬間にドラゴンの背中に飛び乗る。
「もうお互い顔見知りだから、聖獣同士が会えば『最近どうしていた?』とか聞いているのかしら?」
アラマンダは、夏休み明けに会った級友に話しかけているような感じだろうかとドラゴンと猫の組み合わせを少し離れたところから見守る。
実際は……そんな可愛らしい会話はしていないのだが。
ドラゴンの背中に飛び乗った聖獣のメオは早速、今日の高速移動における注意点を先に述べておく。
「そなた、今回は障壁魔法を展開しながら飛んでくれないと、我が落ちてしまうにゃ」
「……障壁魔法?」
「何? そなた障壁魔法を展開して飛んだことがにゃいのか?! 高速でしがみついている我の気持ちを考えてみたか? 爪をずっと立てておかねばならぬではないか。我だけではない! か弱いアラマンダもいるのだぞ!」
「……やり方を教えていただけませんか、メオ様」
「簡単にゃ。飛び立ったら『障壁魔法展開』と言うだけにゃ。そなたはレベル9000あるのだろう? 今までどうやって飛んでいたんだにゃ?……まさか、そのまま空をぶっちぎって飛んでおったのかにゃ? 近くなら良いが、人間と共に今回のように、長距離を高速移動するのなら、風圧を考えて快適な空間を用意できるように配慮しないといけないにゃ」
「わかりました……やってみます」
(ルートロックの召喚したドラゴンは能力が高いのに、知識が足りていないようだにゃ。時々、指導した方が良さそうにゃ)
レベル9999超えの猫のメオは、ルートロックの聖獣ドラゴンと会話をして、能力があるのに魔法の知識を持ち合わせていない、宝の持ち腐れ状態のドラゴンの指導が必要だと感じていた。
ドラゴンの上にはルートロック、メオ、アラマンダの順に座り、ゆっくりとファイ国に向かってドラゴンは翼を広げて飛び立った。もちろん、メオの言いつけ通り、障壁魔法を展開して、さらにドラゴンの姿が見えないように目くらましとして、『隠ぺい魔法』を施して人の目に触れないように移動して行った。
(やればできる子にゃ。よしよし)
メオは先ほど教えたことを、きちんと実践したドラゴンを心の中で褒めていた。
(あとは、もっと早く超高速移動できるはずにゃ。その魔法も知らないということか……)
その後、休憩時にメオはドラゴンに『超高速移動』の使い方を教えたら、あっと言う間にファイ国に到着することができた。
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